オフィス街探訪 vol. 11 水道橋

大手町まで2駅。それでも、まだ”穴場”なオフィスエリア「水道橋」の魅力

高澤 彩乃


2026/10/27 公開

教育・出版・東大ベンチャー。水道橋を彩る企業たち

水道橋を語るとき、切り離せないのが周辺の大学の存在です。このエリアには大学が多く集まっており、それに連動するように教育系・出版系の企業が古くから根を張っています。そこから少し本郷エリアに近づくと、東京大学発のスタートアップも非常に多いです。大学の研究所やインキュベーション施設も整っていて、高度な専門性を持つ企業が集積しています。

そんな企業の中にはオフィスの”住所”にこだわる会社も多く、水道橋駅前を流れる川の手前が文京区、渡った先が千代田区で、地図で見れば隣り合わせなのですが、「オフィスの住所は絶対に千代田区でなければ!」という声をよく聞きます。物件自体は要件にピッタリで気に入って「役員が千代田区のアドレスでないと納得しない」という理由で、移転先が決まらないケースをいくつも見てきました。水道橋エリアで移転先を探す場合、”千代田区”という住所が持つ高級感やブランドイメージを重要視するなら、まず住所を確認すると良いですね。

逆に、文京区アドレスのメリットもあります。文京区は、千代田区に比べてセットアップオフィスの平均坪単価が約3,000円ほど安いというデータがあります。単純に文京区になれば3,000円安くなる、という訳ではありませんが、文京区ではコストメリットに優れた物件が見つかる可能性が高いので、水道橋エリアでセットアップオフィスを探している方は、ぜひ積極的に川を越えた文京区で探されると良いと思います。

大手町まで「2駅5分」でも賃料は割安な今が狙いめ

昨今、都心部では、あらかじめ家具や什器の揃ったセットアップオフィスの需要が高まっていますが、水道橋エリアのセットアップの坪単価は24,000〜27,000円ほどで、通常オフィスでも13,000〜18,000円/坪と、近隣の神田などの賃料と比べても金額は少しおさえめです。大手町まで2駅約5分、タクシーでも10分程度という立地を考えると、コスパの良い”穴場エリア”と言えるのではないでしょうか。東京駅に近いため、出張や地方からのお客様が多い企業との相性が良く、前述の通り周辺に大学も多いので、学生インターンを活用するベンチャーやスタートアップにもおすすめです。

私がこのエリアをおすすめしたい理由は、そんな利便性やコスパだけではありません。個人的に気に入っているのは”多様な景色”です。川を渡れば千代田区のオフィス街、東京ドームの方向へ歩けばレジャーの空気、大学の方へ向かえば学生たち——ひとつの街に、まったく異なる顔が共存しています。ずっとオフィスビルだけに囲まれた環境で仕事をしていると、ふと息が詰まる瞬間がありませんか?ここでは、東京ドームやその隣にはレジャー施設があり、行き交う学生たちからも活気を感じられます。働く日常の中でさまざまなシーンの空気を感じられるのがこのエリアの魅力のひとつだなと感じています。

本郷周辺に押し寄せている賃料上昇の波は、じわじわと水道橋エリアにも近づいています。「知らなかった」ではもったいない水道橋へ、今のうちにぜひ一度足を運んでみてください。

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