オフィスビルマニア vol. 10 SOA TOWER

【SOA TOWER】著名建築家が手掛ける唯一無二のオフィスビル

木幡 大地


2026/8/25 公開

今日は”オフィスビルらしくないオフィスビル”をご紹介したいと思います。

そのビルは、渋谷から宮益坂を上がった先、表参道へと続く落ち着いたエリアにあります。ビルというより、まるで彫刻のような存在感で、いわゆる一般的なオフィスビルから受ける印象とは一線を画します。設計は青森県立美術館やルイ・ヴィトンの店舗建築で知られる著名な建築家の青木淳氏。ビル全体のシルエットは四角形ではなくRのかかった独特の五角形のような形状で、大きさも配置もバラバラな窓がオフィスビルの常識を良い意味で裏切ってくれています。竣工は2008年で約18年が経過していますが、古びた感じがまったくしないですよね。グッドデザイン賞も受賞しており、建築としての完成度の高さは折り紙つきです。

天高4,900mmという、異次元のスペック

このビルを語るうえで外せないのが、天井高です。標準フロアで有効天井高4,900mmという数字は、オフィスビルの世界ではかなり稀有な存在です。新築の大型ビルでも2,900〜3,000mmが最近の標準であり、2,700mmあれば「天高はそこそこあるね」と言われるなか、4,900mmはもはや異次元です。私は何度か内見したことがありますが、その高さは体感として圧倒的でした。

こうした天井高を活かすため、照明は天井埋め込みの蛍光灯ではなく、ビルの標準仕様としてペンダントライトが採用されています。上から吊り下げられた照明が空間にリズムと温もりを与えていて、内装を凝らなくても洗練されたオフィスを構築できます。

また、オフィスビルの床下には通常OAフロアが設置されていますが、このビルの場合、その高さが一般的な5〜10cmではなく、約20cmと非常に高くなっています。これだけの余裕があれば、配線が多い場合でも床下にすっきりと収めることができ、空間の美しい見た目をそのまま維持しながら実用的なオフィス環境を作ることができます。さらに、空調は床下から吹き出す方式で、天井が高いことによる空調効率の低下を避ける合理的な設計にもなっています。

青山通りから一本入ったところに位置し、表参道駅と渋谷駅、どちらからも約8分ほど歩きますが、渋谷駅前の喧騒とは無縁の落ち着いた環境を確保できますし、坂の上という特性に加えて、階高が高いため、高層階でなくとも眺望が良いこともポイントです。窓の外に広がる景色と大きな窓からの自然光が相まって、室内は非常に明るい印象です。
「似たものは存在しない」と言い切れてしまうこのビル。自社の事業やプロダクトだけでなく、オフィスにも個性や存在感を求める企業に強くおすすめしたいと思っています。

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