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2024/12/6

UR都市機構とヒトカラメディアが梅田・芝田地区ではじめる、街の賑わいのための「コトづくり」と「場づくり」

JR大阪駅北側に位置する梅田・芝田地区(大阪市北区)、通称・うめしばエリアをご存じでしょうか。UR都市機構の共創スペース「UMESHIBA BASE by UR」を中心に、オモシロい取り組みが始まりつつある今注目のエリアです。今回は、ヒトカラメディアがうめしばエリアで行っている取り組みを中心に、このエリアの未来について、UR都市機構の沼野氏、山田氏、株式会社トーハクの市橋氏を交えて深堀りしていきます。

ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー

1. うめしばエリアが抱える課題

――まず、UR都市機構が「UMESHIBA BASE by UR」という共創スペースを立ち上げた背景について教えてください。

UR都市機構・沼野良太(以下「沼野」):このエリアで専門学校を複数経営されている法人様から、一緒に将来の街について考えてほしいとご相談いただいたのが最初のきっかけです。私たちはうめしばエリアと並行して『うめきた2期プロジェクト』という大型開発プロジェクトを現在進めています。2013年に開業したグランフロント大阪を皮切りに、街が徐々に変わっていく様子に感銘を受けて、学校を経営されている理事長さんが私たちに相談してくださいました。

――うめしばエリアには当初どのような課題があったのでしょうか。

沼野:梅田はグランフロント大阪が建設され、JRの駅ビルもあり、茶屋町エリアのリノベーションなども実施されたことで若者が多く集まるエリアになっています。梅田・芝田地区はその中にあるにも関わらず、そこまで目立った特色がまだ見つかっていないという課題がありました。

そこで、梅田・芝田地区、通称“うめしばエリア”と私たちは呼んでいますが、このエリアの価値向上に資する街づくりを実現するため、「UMESHIBA BASE by UR」という共創スペースを立ち上げました。専門学校として利用されていた建物の1階部分をリノベーションする形で、2020年12月にオープンいたしました。

オープン当初は交流拠点として多種多様な活用を行い、運営しておりました。その中で共創が生まれるスペースにもなるのではと感じました。ただ、共創スペースの運用方法やノウハウを持ち合わせておらず、このエリアでどういう拠点を目指すのかも、まだ手探り状態でした。そこで、運営業務を株式会社トーハクの市橋英紀さんにお願いすることにしました。市橋さんは、神戸の「三宮プラッツ」という施設で賑わい作りのためのイベント企画などされていて、ここでも多種多様な”モノ”や”コト”を興していただけるんじゃないかと思ったんです。

 

トーハク・市橋 英記 様 (以下「市橋」):私は昨年の10月頃から「UMESHIBA BASE by UR」に関わりはじめましたが、まずはどんな方がこのエリアにいらっしゃるのか、どのような方がこのエリアで新しく”コト”を起こし、活躍するプレーヤーになりうるのかを知ることが先決だな思い、月に15~20回ほどのイベントを企画・開催してきました。そこから少しずつ利用者の方の顔が見えてきて場の活用が進んできたので、施設のガイドラインも策定しました。

2. ヒトカラメディアの「プレーヤーを堀り起こし、街にはみ出す」に共感

――UMESHIBA BASEの活用とエリアの活性化について、ヒトカラメディアにご相談をくださったのはどんな経緯があったのでしょう。

沼野:UMESHIBA BASEのガイドラインを策定していく中で、ここは地域内外の多種多様な方々による共創スペースとしても機能するのではないか?と仮説を立てたんです。これまでは”コト”を起こすきっかけやそのための場所などが不足していましたが、潜在的なニーズやプレーヤーは存在するだろうと思いました。それで、その仮説を立証するために、まちづくりに関するコンサル経験が豊富なヒトカラメディアさんにご協力していただこうと考えました。決め手は「SYCL by KEIO」などの下北沢での取り組みですね。実は、弊社の部署内でもヒトカラメディアのまちづくりの取り組みは話題になっていて、今回の「UMESHIBA BASE by UR」が目指す姿と「まさにぴったりだ!」と思ったんです。

――ありがとうございます。特に、どのような部分に共感いただけたのでしょうか。

沼野:まず”梅田・芝田地区には何が必要なのか”を考えたんです。それで、この街に来れば自己表現ができて、自分がやりたいことの最初の一歩が踏み出せるような場所にしたいなと思ったんです。その目指すべき姿が決まった後に、「プレーヤーを掘り起こし、街にはみ出す」というスローガンを掲げるヒトカラメディアの下北沢での取り組みに非常に共感を覚えましたね。どんなプレーヤーがいるのかを徹底的に調査し、彼らを巻き込んで新しい何かを興す、ということをしてきたヒトカラメディアから素直に知見をお借りしたいと思いました。

3. あの「梅しば」とコラボ商品の開発・販売!?

――10月上旬には、「うめしばクエスト」というイベントをヒトカラメディアと共に実施しました。うめしばエリアにゆかりのある方が、さまざまなお店を出展され楽しいイベントになりましたね。どのような成果を感じましたか。

沼野:2つの成果を感じました。一つ目はファミリー層が多く来場してくれたことです。うめしばエリアは、雑居ビル、JRA、病院、専門学校などの機能は揃っている一方で、子どもやファミリー層はあまり立ち寄らない街です。そんななか、「うめしばクエスト」ではファミリーがたくさん遊びに来てくれました。今後、ファミリー層とも共創していける可能性を見出せたことは大きかったですね。

もう一つは、前述したファミリー層も含んでいますが、関係人口が目に見えて増えたことです。近隣地域でエリアマネジメントの活動をしているような方も来場してくれ、イベントを通してこのエリアを知ってもらうことができました。イベントの開催をきっかけに、うめしばエリアの認知が広まってくれたのは素直にありがたかったですね。ヒトカラメディアの畠山さんがブース出店してくれたのには驚きましたが(笑)。

――今回どうして畠山は出店しようと考えたんですか。

ヒトカラメディア・畠山「(以下、畠山)」:うめしばエリアにおける共創機能について検討を進めている中で、まずは私たち自身で小さく"共創"の実績をつくってみることができないか・・・と考えたんです。

今回は、”うめしば”というエリア名に引っ掛けて、梅製品の「梅しば」でお馴染みの村岡食品工業さまへお声掛けし、「梅しば」を利用したオリジナルドリンクをコラボ商品としてこのイベントのために開発して出店しました。これには、全国的な知名度のある製品の名前をお借りすることで、エリアの認知度を高めたいという狙いがありました。また、このような取組みを村岡食品工業さまとヒトカラメディアの"共創"として、地区内の方々やイベント来訪者に見ていただくことで、まちに対する期待感を高めてもらえるのではないかと考えました。

また、共創という言葉自体のハードルを下げようという意図もありました。軽やかさを持って、チャレンジできる街ですよ、ということを伝えたかったんです。出店ブースのブッキングややり取りには市橋さんに入っていただいたことで、UMESHIBA BASEをはじめとする内外部のプレーヤーを巻き込みながらチャレンジできる場を提供することができたんじゃないかと思っています。


UR都市機構・山田耕「以下、山田」:「梅しば」とコラボするという発想がそもそもすごいですよね。企業へ打診し、商品開発して出店まで行うという一連のプロセスを間近で見られたのは私たちも非常に勉強になりました。

沼野:企画してから実現までのスパンもかなり早かったですよね。企画したのがイベント開催の3カ月ぐらい前だったので、「正直難しいのでは?」と思っていました(笑)。しかし、蓋を開けてみると、コラボ製品の開発だけでなく、出店ブースの暖簾やオリジナルT-シャツと提灯まで作ってくださって、想像以上のクオリティで実現されたことには驚きました。

4. アイデアを自由に発散する「UMESHIBA BASE プロデュース会議」

――「UMESHIBA BASEプロデュース会議」という地域参加型のワークショップも「UMESHIBA BASE by UR」で開催されています。まず、概要について教えてもらえますか。

畠山:「SYCL by KEIO」で下北妄想会議 というソフトプログラムを実施しているのですが、これにオマージュして「UMESHIBA BASEプロデュース会議」という名称でワークショップを行い、UMESHIBA BASEの利用者さんやイベントの出店者さんに参加していただきました。UMESHIBA BASEという"場"を用意するだけではなく、そこからチャレンジが生まれるような仕掛けとして「プロデュース会議」というソフトプログラムを実施しています。

――「UMESHIBA BASEプロデュース会議」を2回開催されてみてどんな手応えを感じていらっしゃいますか?

沼野:これまで、私たち自身が「UMESHIBA BASE by UR」のユーザーさんと接点を持つ機会が少なかったんです。率直にそういった機会を持てたことが有意義でしたし、プロデュース会議を通して、さまざまなアイディアが出され、活発な議論が参加者同士で生まれている場に立ち会えて嬉しかったです。

畠山:過去2回のプロデュース会議は、市橋さんと共同で企画・運営を行いました。会議をファシリテートする中では、参加者の方々がお互いのことをよく知ってもらうことや、各々の活動分野からアイディアを出しやすいようなテーマ設定を意識しています。プロデュース会議というプログラムを継続することで、UMESHIBA BASEが起点となって、新しい繋がりやチャレンジが生まれるきっかけがつくれるのではと考えています。

5. 自己実現したい、一歩踏み出したい人を後押しをしたい

――ヒトカラメディアと共にこのプロジェクトを始めて半年ほどになりますが、どのような実感をお持ちですか。

沼野:ヒトカラメディアさんのクリエイティブなアイデア、実行力の賜物ですが、今まで関係を築けなかった外部のプレーヤーと、イベントやワークショップを通してつながれたことが非常に良かったですね。数多くのプレーヤーと意見を交わすことで、エリア理解にもつながり、「梅しば」とのコラボなど、新しい取り組みにも結実しています。

――最後に、うめしばエリアについて今後の構想を教えてください。

沼野:現在の「UMESHIBA BASE by UR」は、“共創スペースになる”という仮説を持って、運営しています。ヒトカラメディアさんの伴走のおかげで、だんだんと”モノ”も”コト”も起こり始めていますので、今後は少しずつ事例を発表していければいいなと思っています。最終的には、「UMESHIBA BASE by UR」を拠点に、「自己表現したい、一歩踏み出したい」人が実際に何か”コト”を興せる、そんな活気あふれるエリアにしていければ嬉しいです。

山田:うめしばエリアは、さまざまな属性やプレーヤーが集まるエリアです。引き続きそういう特徴を守っていきたいです。大阪梅田には、元から半分下町の要素があったと思っています。オフィスビルばかりかとおもいきや、今はなくなりましたが、駅構内の階段の下には街の串カツ屋があったりしました。ただ、現在は少し整理が進み、画一的な街になってきている感がある。

ですので、本来もつ大阪の良さを生かしつつ、気取らずに子育て家庭がほっと一息つけたりするような、そんな場所になれたらいいなと考えています。その一方で、クリエイティブなカッコいい空間もある。最終的には、それらが融合した街にしていければいいですね。

▲株式会社トーハク 市橋 英記 様(左)、UR都市機構 沼野 良太 様(左から2番目)、UR都市機構 山田 耕 様(右から2番目)


取材・文/太田祐一