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2024/10/2

【後編】離島とスタートアップが本当の“仲間”となり、持続できる関係性を築くまで 〜東京都主催スタートアップへの事業化支援「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」

東京都が主催する、スタートアップと離島の共創プログラム「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」。ヒトカラメディアは、株式会社JTB総合研究所の企画・運営パートナーとして参画しています。前編に続き、プロジェクトデザインの柳川、中川へのインタビュー記事をお届けします。後編では、2024年度に採択された採択事業者についてや、本プロジェクトの終了後を見据えた、未来像について語ります。

前編(1〜4)はコチラから  >>>>>>>>

5. 新たな離島が対象に。昨年度のノウハウを活かしながら真摯に向き合う

――いよいよ2024年度の「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」が始まりましたが、前年度からの変更点や今年度の意気込みを教えてください。

柳川雄飛(以下「柳川」):そうですね。今年度は対象となる島が変わり、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島になりました。昨年度で培った経験・ノウハウが活用できる部分はもちろんあるのですが、島ごとにそれぞれ課題や特徴も全く異なるので、そこは真摯に手探りでやっていこうと考えています。

  

中川陽子(以下「中川」):私は、プロジェクトが本格的に始まる前から、島民の方とのミーティングの時間を前年度以上に多く取るようにしています。事業展開をしてみたい島や訪問したい島について採択された企業からヒアリングして島側と調整し、同時に、それぞれの島の方々が感じている課題を拾い上げるようにしています。採択事業者による島への訪問など、本格的にプログラムがスタートする前から密にコミュニケーションをとることで、採択事業者が島を訪れた際にスムーズに事業展開のイメージや事業構想をより具体的に練ることができるのでは? と考えています。

いろいろな島に散ってプロジェクトをそれぞれで推進することになるので「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」として、ひとつのまとまりや協力体制、連携をどのように取っていくかも今回課題になりそうです。

[ 2024年度 採択事業者 ] 

 

6. 離島との医療と雇用を変える?

 

――今回採択された事業者の中で注目している企業はありますか。

 

柳川:初年度と負けず劣らず、今回も魅力的な事業者が集まりました。その中でもびっくりしたのが、私たちが東京・下北沢で施設プロデュースと運営を担っているワークプレイス『SYCL by KEIO』に入居されているセレクトエージェントさんが採択されたことです。

セレクトエージェントさんは、公務員試験の合格実績全国No.1を誇る「FFS消防士ゼミナール」や「公務員 合格CAMPUS」といった試験対策講座を行うオンラインサロンを運営している企業です。今回は、離島に興味はあるが仕事が見つかるかどうかが不安という人に対して「公務員 合格CAMPUS」などを受講してもらい、離島の職員に合格すればそのまま島暮らしが実現できるという事業プランで応募してくださいました。「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」と非常に親和性の高い事業だと感じました。

 

――中川さんはいかがでしょうか。

 

中川:診療支援キット「TytoCare」を提供されているSOMPO Light Vortexさんですかね。高解像度カメラが内蔵されたデバイスを使用して、耳の中を検査したり、喉の検査をしたり、心音や聴診音、心拍数などを図り、そのデータを島から離れた医師に送ることで、遠隔診察を実現できます。島しょエリアでは病院や医師が不足していることが課題としてありますので、この事業はかなり期待しています。


7. ”想いと想いのチューニング”が私たちの仕事

――2年目となる今年はどんなゴールが切れそうですか?いま描いている展望を聞かせてください。

柳川:今年度も新たな採択事業者が決定し、昨年度とは違う離島を舞台に一緒に島しょ地域を盛り上げてくれる“仲間”を増やしていきます。それと同時に、昨年度の採択事業者との関係性も途絶えさせたくはないと思っています。いつか「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」のプロジェクトが終了しても、スタートアップをはじめとする企業の方々と島の方々が繋がりつづけていけるように、そのための仕組み化も検討しています。

また、離島の人々と、そこで何か興そうとしている人たちだけでなく、かつては島で暮らしていたけど今は離れている人や、何度か島へ訪問したことのある人も巻き込んでいきたいなと思っています。けれど、それは非常に時間がかかることですからね。地道に一歩ずつ歩んでいきたいと思っています。

中川:現状にある社会課題を、なかなか“自分ゴト化”して考えてもらうことは難しい側面があります。そこで、私はよく“未来志向”という言葉を使っています。例えば、このまま人口減少が進めば島の存続がますます厳しくなるかもしれない、などです。このままいったらどうなるか、5年先、10年先、30年先を考えながら島の将来について関係者の皆さんを巻き込んで解決に向けて歩んでいければと考えています。

――このプロジェクトを通してスタートアップをはじめとする事業者側の課題感は、どのように受け取っていますしょうか。支援していく中で感じた課題を教えてください。

柳川:スタートアップはスピード感が非常に大事なので、とりあえずやってみて、上手くいかなかったところを改善していく、そうしたアジャイルな方法で事業展開しているところが多いです。

その一方で、地方とイノベーションを起こそうと考えた場合、「やりたいことは分かるけどすぐにはできない」という現実的な問題も多く発生します。そうした課題に対し、私たちのような存在がその間を取り持ち、関係性をつないでいくことが必要だと考えています。共創することで新しい視点が生まれることもあると思いますので、精一杯私たちも伴走していきたいですね。

 

中川:私も本当にそう思います。「これはどういう目的で話しているのか」「何が解決できるのか」「何が問題になっているのか」など、島の関係者と採択事業者とでは解釈が若干異なることが多い。そこを私たちがチューニングしてあげる。“島を良くしたい”という両者の“想いと想いのチューニングをする”というイメージです。非常に繊細なことではありますが、だからこそやりがいがありますし、使命感を持って今年度も伴走していければと思っています。

前編はコチラから  >>>>>>>>


取材・文/太田祐一