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2024/9/19

【前編】離島でチャレンジする人と共に、オモシロい未来を目指すヒトカラメディアの挑戦〜東京都主催スタートアップへの事業化支援「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」

東京都主催のスタートアップと離島の共創プログラム「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」。ヒトカラメディアは、株式会社JTB総合研究所(以下「JTB総研」)の企画・運営パートナーとして参画しています。本事業は、島しょ地域の課題解決を目指すスタートアップの事業展開について、伴走支援するというもの。なぜ、オフィス移転事業を手掛けるヒトカラメディアが関わっているのでしょうか? プロジェクトデザイン事業部のふたりの口から飛び出したのは「ソフトとハードの垣根を超え、世の中をオモシロくしたい」という熱き想いでした。

1. 島民とスタートアップが事業を通して本当の”仲間”になるお手伝い

――まずは、「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」の概要を教えてください。 

柳川雄飛(以下「柳川」):簡単に言うと、スタートアップの斬新なアイデアや優れた技術を活用して「島しょ地域(※)の暮らしを豊かにする」という東京都主催の事業です。2023年度から始まり、今年度から2期目に入りました。公募により採択されたスタートアップが島しょ地域で実際に事業展開を目指すのですが、島民とのつながりや現地調整など、実装に向けて様々な面でヒトカラメディアが事務局としてお手伝いしています。具体的には、募集のためのミートアップ、審査会、成果報告会などを開催しました。ほかに、事務局メンバーがメンターとなり、それぞれのスタートアップの伴走支援も行っています。初年度は、伊豆大島、利島、新島、式根島、神津島が対象地域で、さまざまな領域で活躍するスタートアップ6社が採択されました。

※島しょ=伊豆諸島の9島(大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島)、小笠原諸島の2島(父島、母島)の計11島のこと

[ 2023年度 採択事業者 ] 

  • アイランデクス株式会社

    離島引越しに関わる課題改善と雇用づくり

  • エアロセンス株式会社

    国産ドローン・次世代VTOLによる誰も取りこぼさない物流

  • 株式会社Sanu

    セカンドホーム・サブスクリプションサービス

  • Space Aviation株式会社

    観光振興と地域課題解決を両立するエアモビリティ事業

  • FLOATBASE株式会社

    島しょ地域の医療アクセス向上に向けた都内の診療所をつなぐサテライト診療所デバイス

  • 株式会社ライトライト

    高齢化地域の事業・経済を活性化する事業承継マッチングプラットフォーム

――今回のプロジェクト「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUP」という名称にはどのような意味が込められているのでしょうか。

 

柳川:ISLANDHOODは造語で、離島を意味する「ISLAND」に、集団・仲間などの意味がある「HOOD」をつけ足しました。これには、“島に関わる人がみんな仲間になる”という意図が込められています。

島しょ地域の島同士の連携はもちろん、今回採択されたスタートアップとも事業を通して“仲間”になる。漫画『ワンピース』ではないですが(笑)、そうした壮大な目標が掲げられています。そして、ヒトカラメディアはそのつながりを構築し、支援していく役割を担っています。

 

2. ”オモシロさ”を追求する、ヒトカラメディアの新たな挑戦

――ところで、オフィス移転事業を行うヒトカラメディアがなぜ本事業を行うのでしょうか。

柳川:私たちのビジョンは、「『都市』も『地方』も『働く』も『暮らす』も、もっとオモシロくできる!」です。

今までヒトカラメディアでは、「働く」の領域、つまりオフィスを起点にそこで活動する人や組織の挑戦を後押ししてきました。この事業においては、「島しょ地域で暮らす人々の暮らしを豊かにする」というところに対象を広げ、これまでヒトカラメディアが支援してきた「スタートアップ企業の挑戦」を重ね合わせながら、新領域の事業としてチャレンジしてきました。

――東京都からはどんなことを期待されていますか?

柳川:運営事業者を決定する際、JTB総研とともに東京都へのプレゼンに臨みましたが、企画内容を高く評価していただきました。これは、私たちが今までオフィス移転を通して培ってきたスタートアップへの支援実績が結実した結果だなと考えています。

スタートアップのシード、アーリー、ミドル、レイターとステージごとに即した支援を行ってきたヒトカラメディアだからこそ、ほかの企業より解像度が高かったのかもしれません。2期目は、初年度の振り返りや反省点、新たに対象となる離島のリサーチも徹底して臨んだ結果が評価され2期続けて採択されたのだと思います。

――なるほど。ハードやソフトといった垣根を越えて“オモシロく”するということが根底にあるのですね。では、今回の事業で意識したことなどはありましたか。

 

中川陽子(以下「中川」):柳川も話していましたが、仲間づくり、横の繋がりの構築に重きを置いていました。スタートアップは、島民の人からすれば外部の人間で、当然警戒心もあります。そこで、「どういう形だったら受け入れてもらえるか」ということを念頭に現地の職員、観光協会、商工会、そして島民の皆様と対話を重ねました。

 今回の「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUP」は3カ年計画ですが、事業の終了と共にスタートアップと離島の関係が終わってしまうのはもったいないと思っています。できれば、採択されたスタートアップがその島に根付き、スタートアップ、島民、そして島同士まで、今後も関係性を維持できるようなつながりを作っていきたいです。そのためにも“中長期で島の未来を考えていく”という視座に立って事業を進めています。

3. オンライン診療ブースがお薬自動販売機に。対話を重ねることで真のニーズを掴む 

――スタートアップの事業支援を行っていく中で、印象に残ったことはありますか。

中川:私が担当だったFLOATBASEさんの展開する事業が、島民との対話により形が変わっていったことが印象に残っています。FLOATBASEさんは、今回のプロジェクトで島しょ地域の医療アクセス向上に向け、都内の診療所とつながるサテライト診療所デバイスの事業を考えていました。

まず10月に伊豆大島で、利島、新島、式根島、神津島を含めた、それぞれの関係者を招いてキックオフミーティングを行いました。その後、新島の村役場、商工会、診療所や、式根島の診療所にも出向き、デバイスの説明をして回ったんです。すると、事業自体は評価されたのですが、設置には確認事項が多すぎて現実的じゃないという話になりました。そこで議論を重ねていく中で、代替のアイデアとして出たのが小型のお薬自動販売機です。

――薬の自動販売機ですか!?

中川:ええ。同じデバイスを使用しながら小型のお薬自販機を開発しました。島にはコンビニやドラッグストアがなく、風邪薬を買うのも大変だということで、ニーズが非常にあるとのことでした。FLOATBASEさんも一方的に自分たちの事業を押し付けるわけではなく、柔軟に意見を取り入れ、結果的にプロダクトの形が変わったんです。

そういうことだったらと、式根島診療所、体操教室、商工会、役場、喫茶店などで設置が検討してもらえることになりました。対話を重ねながら、「島に本当に必要なプロダクトは何か?」を考えていったこの事例は、本プロジェクトを大いに象徴するものだと感じています。最終的には、新島の各施設で設置することができました。

▼FLOATBASE社が本プロジェクトで開発した薬の自販機

4. 「TOKYO ISLANDHOOD DAY 2024」開催。仲間が集い、島の未来を本気で語らう時間 

――2023年度の締めくくりに成果報告会も実施しました。報告会に寄せた想いを聞かせてください。

柳川:成果報告会は都内からオンラインで繋げることを最初は想定していましたが、それでは「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUP」のコンセプトを体現しきれないと感じました。そこで、2024年2月に伊豆大島のコワーキングスペース「Izu-Oshima Co-Working Lab WELAGO」で「TOKYO ISLANDHOOD DAY2024」を開催することにしたんです。

ただの振り返りイベントにするのではなく、「これまで関わった方、今後関わってほしい方」に声をかけ、東京の離島だけでなく、さまざまな離島で活動している多彩なゲストと共に島しょ地域の未来を考えられるようなイベントにしたいと思いました。オンラインで視聴している方も、地方創生について“自分ゴト化”して考えられるものにしたかった。今回で終わりではなく、ここからまた新たなスタート(2期目)を切ろうというキックオフ的な立ち位置でもありましたね。

中川:私が成果報告会で印象的だったのは、神津島観光協会の理事長を務める稲葉豊美さんが、プロジェクトを振り返り「島の未来をここまで考えたことはなかった」と発言されたことです。”島の課題や問題を解決するための事業プラン”というより、島の人たちと”一緒に考えるきっかけ”にしたいと思いながらこの日まで進めてきたので、その一歩を踏み出せたように感じた日になりました」

▼「TOKYO ISLANDHOOD DAY2024」の様子。※「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」公式YouTubeチャンネルより

後編はコチラから  >>>>>>>> 

前編のインタビューはここまで。後編は、現在進行形である2024年度の取り組みについて、採択されたスタートアップの詳細や今期の展望や想いを聞きました。


取材・文/太田祐一