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2023/4/4

歴史ある企業のオフィスリニューアル。 3つのゾーニングで新しいチャレンジを促し、よりコミュニケーションが生まれる空間に

約9ヶ月間にわたり、ヒトカラメディアがプロジェクトデザインからオフィスづくりワークショップ、プランニングまで携わった渋谷レックス社のオフィスリニューアルが昨年11月に完了しました。福島県福島市で長きにわたり菓子の卸売業を展開してきた渋谷レックス社。今回のリニューアルにあたっては、全社員を巻き込んだワークショップを行いながらこれまでの歴史や自分達のチャレンジを振り返り、この先にどんな歴史を重ねていくのか? そのために必要なオフィスとは?を考え抜きました。リニューアルを終え、すでに新しい風が吹き始めている新オフィスを訪ね、今回のプロジェクトを改めて振り返りました。

ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー

1.“何のためにやるのか”を一緒に言語化する

――まずはじめに、今回のプロジェクトの経緯についてお伺いしたいのですが、自社ビルの1階オフィスをリニューアルするプロジェクトが立ち上がった背景にはどういった思いや理由があったのでしょうか?

渋谷レックス・渋谷裕司(以下「渋谷」):言葉にするのが難しい部分ではあるのですが、創業から70年以上が経ち、新しいことにどんどん挑戦して行っている中でオフィスとのギャップを感じていました。いわゆる事務所然とした空間で、隣の席の人は何年も同じ人。お客様が訪ねてきた時も毎回同じ人が仕事の手を止めて受付するみたいな…。新しいことをやっているのに、場所はあまり変わっていない。また、旧オフィスのレイアウトが部署間の垣根を作ってしまっていて、全体的にもコミュニケーションが足りていないように感じていました。経年劣化が問題になっていた箇所もあったので、まずは1階部分をリニューアルしようということになったんです。

――今回のリニューアルプロジェクトを任されたおふたりは、渋谷社長からリニューアルの話を受けた時にどんなことを思いましたか?

渋谷レックス・渡辺麻友(以下「渡辺」):現場の私たちとしても問題意識はありました。まずは自分たちでどうにかできないかなと思っていろいろ調べたり、仮のレイアウトを組んでみたりもしていました。

渋谷レックス・秡川奈々(以下「秡川」):人が増えた時、別の場所から持ってきた机とイスで即席で配置していったこともあり、使い勝手も見た目も非常に悪くなっていました。商談スペースも足りていない状況でした。でも、外部の方にリニューアルをお願いすることは当初は念頭になくて、配線などどうしてもできないところ以外は自分たちで何とかするものだと思い、渡辺さんと一緒にエクセルでレイアウトを組んでみたりしたのですが、頭を悩ませていました。

▲渋谷レックス株式会社 代表取締役社長 渋谷 裕司 様

――そのような状況の中でヒトカラメディアがリニューアルのご提案をさせていただいたわけですが、どんなところに共感いただけたのか改めてお伺いできますでしょうか。

渋谷:やっぱり「まずは、何のためにリニューアルをするのか一緒に考えましょう」と言っていただけたことですね。そこに一番のピンときました。オフィスのリニューアルというと、機能的なことや単純にキレイにすることを考えてしまうと思うんですが、ヒトカラさんのお話を伺った時、渡辺さんと秡川さんが一生懸命考えてくれていた理想のレイアウトをベースとしながらも、それを会社のビジョンや方向性と紐づけて重ねられた方がより良いものになるだろうという感触がありました。

ヒトカラメディア・小島 亮(以下「小島」):リニューアル案をご提案させていただくにあたって、最初に渡辺さんと秡川さんが作られた要件書を拝見したのですが、そこには“何のためにやるのか”までは書かれていませんでした。リニューアル後はフリーアドレスにしたいというお話は伺っていましたが、それを“なぜやるのか”をまずはちゃんと掘り下げて納得した上で決めたいと思ったんですね。フリーアドレスは1つの選択肢でしかなくて、社内のコミュニケーションを促したいからフリアドにする、というのは間違っている場合もあります。僕らとしては、“なぜやるのか”と“どうなっていきたいか”を一緒に言語化することが今回の最初の仕事だと思いました。

▲渋谷レックス株式会社 渡辺 麻友 様(左)、秡川 奈々 様(右)

秡川:渋谷社長には、管理部門の私たちが1から考えて作り上げるという経験を積んで欲しい、やらせてあげたい、という思いがあったと思うのですが、私と渡辺さんでいろいろ調べたりしながら、ヒトカラさんに途中から入っていただいたことで、オフィスを一新するだけでなく、リニューアルというプロジェクトが会社全体や私たちの成長というか、変化していくきっかけになったような気がします。

小島:今回のプロジェクトを進める中で、管理部門に所属されているおふたりが初めて出張を経験されて東京にいらっしゃったことは、実は自分の中で大きなポイントでした。僕の持論ですが、バックオフィスの方って、“バック”とは言うけど、営業マンとは違う意味でけっこう“フロント”だと思っているんですね。ガンガン新しい情報をキャッチしながら未来のことを見ていないと、社内のことってなかなかジャッジできない。今回のプロジェクトをきっかけにおふたりがオフィスも福島も飛び出して東京でオフィスを見て回ったり、最前線でプロジェクトを推進されたりする姿を見ることができたのは、今回すごく嬉しかったことのひとつですね。

渋谷:ありがとうございます。普段の仕事ではどうしても最初の動き出しは自分や取締役が担う形になることが多いので、彼女たちだけじゃなくて、それを周りで見ていたメンバーにとってもすごく良い刺激になったと思います。

2.HOP-STEP-JUMPで小さなチャレンジを支え、育てていく

―今回のリニューアルプロジェクトでは、具体的な設計に入る前に“何でやるのか”や“どうなっていきたいか”を一緒に探るためのワークショップを実施しました。全社員を巻き込んでこのようなワークショップをやられるのは初めてのことでしたよね?

渡辺:はい、初めてでした。ワークショップでは「これまでどんなチャレンジをしてきましたか?」という問いをもらって、最初は「チャレンジなんてあったかな…」と思っていた部分もあったんですが、みんなで少しずつ話していくと、今まで知らなかったことや見えてなかったことが次々と出てきて…。「私たちけっこうチャレンジしてきたじゃん」とか「向いていた方向は意外とみんな一緒だったな」とか、いろんなことが見えてきて、それを共有できたことは大きかったですね。それを軸にして、「じゃあ、ここからさらにチャレンジしていくにはどんな空間や場所が必要か?」というのを再度ワークショップをしながら考えていったのですが、自分と同じことを思っていた人が結構いたり、「この課題を持っていたのは私だけじゃなかったんだ」ということがわかったり、会社ってひとりで働いているわけじゃないっていう当たり前のことに改めて気づく機会にもなりました。

渋谷:どうしても大きなチャレンジばかりが目立ってしまうけど、それぞれ小さなチャレンジを重ねてここまで来ているわけだし、小さなチャレンジをどんどん生み出すためにまずは挨拶って大事だよね…みたいな事にも改めて気付いたし、新しいオフィスではそういう小さなチャレンジの背中を押すような雰囲気やチャレンジしやすい空気を大事にしていきたいなとワークショプを通して感じました。

――そのワークショップから生まれたのが、壁面にステンシルで描かれている“HOP” “STEP” “JUMP”という言葉なんですね。このテーマを空間にはどのように落とし込んでいったのですか?

ヒトカラメディア・牧野なな子(以下「牧野」):HOP、STEP、JUMPの割合をどうするか、というのがけっこう難しかったですね。JUMPばかりになってしまうとプレッシャーがかかってしまうし、入口のHOPから始まって、どの辺にどのくらいのSTEPがあるといいのか、JUMPまでどう繋げるか、というのはたくさん話し合いながら動線やゾーンニングを考えました。緩やかな曲線で全部を繋げたことで、圧迫感やプレッシャーがなく過ごせる感じになったと思います。

小島:会議室の向きを斜めにすることで人の動きが出やすいようにしたり、ハイテーブルを導入して歩いている人とハイテーブルの人の目線が合うようにしたり、空間的にはHOPをベースにしながらJUMPもあまり目立ち過ぎない形で落とし込んでいくことを考えました。

3.一企業の新しい挑戦が、地方都市の活性に繋がる

――リニューアルが完了して4ヶ月ほど経ちましたが、以前と比べてオフィスの使われ方や社員の皆さまに変化はありましたでしょうか。

渡辺:私が一番強く感じているのは他の部署とのコミュニケーションですね。以前は固定席で毎日隣の人が一緒だったので、他の部署の人と喋らない日がけっこうありました。今は全員が毎日違う席に座っていますので、ちょっとした会話がしやすくなり、毎日気づきや発見をもらっています。

秡川:以前は毎日ずっと仕事だけをしていて、キーボードを打つカタカタっていう音だけが聞こえていたような空間だったんですが、今は音楽も流れていて会話もけっこうあります。作っていただいたバーカウンターでコーヒーを飲みながら休憩している場面もあって、リニューアルを担当した私たちではないところからそれが自然発生的に生まれてきたことがすごく嬉しかったですね。

渋谷:まず、みんなのテンションがぜんぜん違いますよね。私は普段は役員室の中にいるのでどんな会話が起きているかまでは分からないですが、中にいても分かるくらいテンションも雰囲気も違います。来客があった際にはとても驚かれますし、オフィスツアーからまず始めるのが定番になってきました。

――地方の歴史ある企業である渋谷レックスさんがこのような新しい取り組みをされたことが、今回のプロジェクトの大事な意味のひとつだと私たちは感じています。ここから良い影響が市内やもっと広く波及していくといいなと思っています。

渋谷:それは私も強く感じていますね。社内に対する変化はもちろんですが、それ以上に社外への影響は計り知れないし、いろいろ変わっていきそうです。新しいことを仕掛けていきたい、飛躍したいと思った時、そういった思いとオフィスがちゃんと紐づいていた方が説得力があるし、“この会社は何かをしようとしている”というのが強く伝わりますよね。しかも、こういう地方だとそれがより目立ちますし、率先して我々がやれたことはすごく大きいと思っています。この会社で働きたいと思ってくれる人も自然と増えていくはずです。

小島:地方を元気することって行政や国に期待しがちですが、実は地元企業が先導した方が近道の場合がけっこうある気がしているんですよね。ひとつの企業が始めたことが近くの会社や住民、学校に影響を与えて、何となくそのエリアが盛り上がり始め、そこに後から行政が乗っかってくるようなかたち。そういう意味でも今回のレックスさんのリニューアルは大きな反響を与えそうですし、そこに携わることができて本当に良かったです。

渋谷:この前お会いした時にもお話しましたけれども、今回のリニューアルはスタート地点だと思っています。今回は1階だけをリニューアルしましたが、オフィスビルにはまだ2階もありますし、社員の3分の2は隣の倉庫で働いています。隣の敷地には店舗もあります。今回のワークショップから生まれた言葉『チャレンジする風土の継承』が、我々の中長期の経営戦略のビジョンにもなりましたが、ここからまたどんどんチャレンジしていきたいですね。

小島:嬉しいです。ここがまたスタートということでこれからもよろしくお願いします。

【リニューアルしたオフィスの全貌はこちらから】


編集/ヒトカラメディア編集部