PROJECT
2024/1/18
エリアを起点としたオープンイノベーションプログラム『ROOOT』始動! 選ばれた5つのアイデアが、下北沢で動き出す。
エリアを起点として地域の課題解決や価値創出を目指すオープンイノベーションプログラム『ROOOT』。京王電鉄とヒトカラメディアが共同で運営する本プログラムでは自由に変わり続ける下北沢を舞台に事業プランを6つのテーマを設定して募集してきましたが、2023年12月、70社にも及ぶ提案の中から5社が採択され、それぞれのアイデアがいよいよ街へ放たれました。 ここでは、改めて本プログラムが目指す到達点や思い描くシーンなどについて、両社の推進メンバーに伺っていきます。
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー
1.京王電鉄が「長期戦略室」を立ち上げた背景とその使命

――本プログラムを先導しているのが京王電鉄の「長期戦略室」ですが、この部署が新設された背景について、まずは教えていただけますか。
京王電鉄・齋藤 充様(以下「齋藤」):今まで沿線というものをきちんと細分化して捉えられていなかったんですが、これからは、エリアごと、沿線ごとに違う特性をちゃんと分析して、それに合わせた戦略を長期的に練っていかなければいけないと思ったところが出発点です。立ち上げ当初から、エリアを活性化させる施策として、オープンイノベーションプログラムやアセクラレータープログラムをやりたいという計画はしていました。
1年目である2021年は、コロナの影響から大きな課題感を持っていた鉄道部門と組んで『KEIO OPEN INNOVATION PROGRAM』というプログラムを実施しましたが、やはりエリアを起点とした取り組みも始めたいと思い、そのプログラムと並走する形で考えていたのが、この『ROOOT』でした。
――『ROOOT』の最初の舞台として、なぜ下北沢を選ばれたのですか?
齋藤:まず、前提として、この『ROOOT』は今後、さまざまな場所で横展開していくようなプログラムにしたいという思いがありました。当然、エリアによって登場人物は変わるし、特性も違うのでやり方は変わっていくと思うんですが、少なくともどんな人や企業がつながっていくとエリア、つまり地域を起点とした共創・オープンイノベーションが生まれ、取り組みが連鎖的に発展していくのかという法則というか、ある種の型をなるべく早い段階で見出さないといけないと思っていました。そう考えた時、最初にスタートする場所はある程度土台が出来ている、つまり、『ミカン下北』の開発を通じて、地域の方々とコミュニケーションが取れている下北沢がベストだろうと。

▲京王電鉄株式会社 開発事業本部 菊池 祥子 様
京王電鉄・菊池祥子様(以下「菊池」):下北沢には約2年前に複合施設『ミカン下北』ができ、その中に『SYCL by KEIO』というワークプレイスが出来て、「誰かの“やってみたい”が街とつながる」というコンセプトのもと、少しずつ街や街の人との繋がりが見え始めているところです。
こういったプログラムは新宿など大規模な都市からまずやろう、最初のインパクトこそ大事だ、ということもあるかもしれませんが、下北沢では『ミカン下北』の開発を機に、地域の方々とのコミュニケーションのきっかけとしての『妄想会議』や、誰かのやってみたいを応援するアクセラレーター的なプログラム『studioYET』をスタートさせてきたので、この街でやることで京王としても良い成功体験が詰めるのではないか、と思ったんです。
2.全員の課題と思いを集結させた6つのプログラムテーマ

▲京王電鉄株式会社 経営統括本部長期戦略室 齋藤 充 様
齋藤:約1年をかけてヒトカラさんと一緒にこのプログラムを準備してきましたが、事業を募集する際のプログラムテーマをどう設定するかというのは、かなり大切に議論してきましたよね。運営陣である僕ら京王とヒトカラさん、地域(下北沢)の方、応募してくださる企業、みんなが課題として抱えていることをテーマにすべきだと思っていました。
誰かひとりの課題解決にしか繋がらない、というふうにはなってはいけないなと。特に、京王としての課題感がそこになく、ボランティアでやっているような見え方になってしまうのは絶対に良くないなと思っていました。“本気度”ってすごく大事だと思うんですよね。社員一人ひとりが仕事をするうえで本気になれることは何なのか、上司から言われたものではなく、自分なりに本気に取り組める課題は何なのか。社内版『下北妄想会議』を実施して、そこで出てきたものを紐解きながら、街が持っている課題とマッチングさせて最終的にテーマを決めていきました。
京王電鉄・角田匡平様(以下「角田」):街にとっては絶対いいことだけど、これって京王の事業とどう絡むの?という部分は、採択企業を決める際にも大事にしました。そこがちゃんと見えていないと、途中で「何のためにやっているんだっけ?」となってしまいゆくゆくはプログラムを継続していくこと自体が難しくなってしまう可能性もあるなと思っていたので、そこはこだわりましたね。事業性が見込めるプログラムを採択したいというお話を、企業とも街の皆さんともちゃんとできるというのは気持ちがいいですよね。お互いすっきりするというか、嘘のない関係性をさらに築ける気がしています。
齋藤:アクセラレーションという言葉には、主体に対して応援するという意味がありますが、このプログラムは自分たちも主体であることが大事なので、名称を“オープンイノベーションプログラム”とすることも今回は大事にしました。
3.働く人それぞれの解像度に合わせて提案できるチャレンジメニュー

ヒトカラメディア・影山直毅(以下「影山」):ヒトカラメディアが運営を担っている下北沢のワークプレイス『SYCL by KEIO』にとっても、この『ROOOT』はステップアップの機会になったと思います。これまで、下北妄想会議やstudioYETを通して会員さんのやってみたい活動の支援をしてきましたが、『ROOOT』がローンチしたことで、会員さんの事業成長にもよりダイレクトに寄与できるきっかけを提案できるようになりました。実際、『ROOOT』の説明会に『SYCL by KEIO』の会員さんがたくさん参加してくださってすごく嬉しかったですね。

角田:そうですね、選択肢が増えましたよね。「もしよかったら下北妄想会議に参加してみませんか?」から始まって、やりたいことが思いついたら「studioYETで実験してみます?」と声をかけて、もっとチャレンジしたかったら「『ROOOT』っていうプログラムがあるんですけど・・・」みたいな。会員さんのやりたいことの粒度や解像度によって提案できるメニューが増えた感じですよね。これまでは“個人のやってみたいことを応援する”というスタンスだったところから“共創”するという関係性も築けるようになりました。
ご応募いただいた企業の事業プランに対して京王としてどう関われるのか、それを見出せるものを採択するということはもちろんなのですが、そのアイデアの中にないものを京王の事業部門をかけ合わせながらどうやって生み出していくか。そういったことができるのも下北妄想会議やstudioYETでていねいに積み上げてきた土壌があるからこそできることだと思っています。
4.このプログラムを持続可能なものにするために

ヒトカラメディア・柳川雄飛(以下「柳川」):『ROOOT』というプログラムは、従来のエリアマネジメントとは違い、利益と接続させることをきちんと追求しているところが大きな特徴です。エリマネという仕組み自体が、利益を生み循環を作りだすものになっていかないと・・・という思いも、実はこの『ROOOT』に少し含んでいます。僕らがやるのであれば、きちんと利益を生み出しながら持続可能な仕組みを作りたいなと。僕らが『ROOOT』でやりたいと思っていることを街の方が理解してくださったこともすごく大きかったですね。
角田:そうですね。今後、他のエリアでも『ROOOT』を展開していきたいと思っていますが、街と京王電鉄とが共存できる関係性をきちんと築くことをこれからも意識して進めていきたいです。それがさまざまなエリアで展開できれば、街を舞台にしたプログラムとして新しいモデルケースになり得るんじゃないかと思っているところです。

Photo by Aki Iwata
編集/ヒトカラメディア編集部
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