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2024/6/27

【後編〜WAW 赤坂第35興和ビルPJ】 ”駅チカ優位”を覆す商品企画とリーシング、非常駐でも良好な関係性を築くプロパティマネジメントのひみつ

2024年2月にオープンした「WAW 赤坂第35興和ビル」。主にオフィスビルの不動産仲介を行う日鉄興和不動産株式会社が手掛けるシェアオフィスシリーズ「WAW」の1つですが、オープン前にほぼ満床にすることに成功しました。ビル全体の開発や空間設計について訊いた前編に続いて、後編では、日鉄興和不動産の石森様に加えて、今回リーシング、プロパティマネジメントを担当した竹林と三川を迎え、本プロジェクトの具体的な戦略に迫ります。

1. ”駅チカ優位”を覆す、魅力的な商品設計とリーシング術

――今回の「WAW 赤坂第35興和ビル」プロジェクトでは、事業企画の支援や設計監理に加え、オフィス商品企画、リーシング、プロパティマネジメントもヒトカラメディアが担当しました。一貫してヒトカラにお任せいただいた背景にはどんな理由があったのでしょうか。

日鉄興和不動産・石森 様(以下「石森」):「WAW」をシリーズ展開していく中で、「それぞれが魅力をもつシェアオフィスにできた」という自負がある一方で、これまで培ってきたものを生かしきれていないというもどかしさも抱えていました。具体的には「WAW」のターゲットや商品設計が社内外で分かりづらいという課題です。

そこで、今回の「WAW 赤坂第35興和ビル」では、ターゲットの設定、賃貸条件などの商品企画の部分も外部の方の力をお借りしてしっかり作り上げていきたいと考えました。ヒトカラさんはオフィスの仲介や施設運営もやられているので、より芯をとらえたご提案をしていただけるのではと思い、お願いすることにしました。

ヒトカラメディア・三川 慧(以下、「三川」):石森さんからお話をいただいて、まず最初にオフィス商品企画のためのヒアリングを実施したのですが、ヒトカラメディアのオフィス仲介チームへのヒアリングはやはりとても参考になりましたね。この立地、このビルで、どんな商品であれば引きがあるのか。不動産仲介のチームが常に近くにいてくれて、リアリティのあるニーズと客層を掴めるのがヒトカラの強みだなと改めて思いました。

――そういった独自のリサーチをもとに企画していったのですね。

三川:そうですね。もともとのビルの設計や区画を活かすこともかなり考えました。どうしても間仕切りの都合で窓のない部屋が生まれてしまいましたが、亀井とも話す中で、そこを会議室にして専有部とセットにして貸すことを思いつきました。会議室と専有部が離れていることに若干心配はありましたが、蓋を開けてみると特に問題はなく、それよりも専用の会議室を持てて、会議室確保にまつわるストレスから解放された喜びの声を多くいただいています。

そのほか、壁紙や床の変更、家具などがオプションで選べる仕様は、飲食店でトッピングを選ぶようなイメージで、こちらがあらかじめ選んだものを提供することにしました。これも大変喜ばれましたね。

――その後のリーシングは、どのような戦略で展開していったのでしょうか。

三川:まず、虎ノ門駅、神谷町駅至近に位置しているオフィスビル複数棟をベンチマークに設定し、それらに勝つための条件を考えていったという流れです。「WAW 赤坂第35興和ビル」は、最寄駅3駅のどの駅からも歩いて10分ほどの距離で、いずれの駅からも坂を登る必要がある高台にあります。当然、駅近のビルと比べ利便性は負けてしまいますので、ほかにはない“個性”を強調する売り出し方を意識しました。赤坂エリアのもつ歴史・雰囲気を生かしたラウンジや屋外テラスの心地よさに加え、設置台数の多いテレブースや広いレンタルルームといった、機能面でも優位性がある物件でしたので、そのあたりを引き立てるような形で進めていきました。

――通常のオフィス賃貸と比べ、商品性や料金体系が複雑なシェアオフィスのリーシングは難しいように思いますが、今回はいかがでしたか?

三川:今回はできる限り不動産仲介の方が紹介しやすいように”坪単価で貸せるシェアオフィス”を意識しました。従来のシェアオフィスはブランド毎に料金体系、付帯サービス、従量課金の有無、利用人数の考え方等が異なり、正直、とっつきにくい印象を持っていた不動産仲介の方もいたと思います。そこで、「WAW赤坂第35興和ビル」は不動産仲介の方が普段から慣れ親しんでいる坪単価で賃料が計算できるようにしました。これにより、通常のオフィスと同様、坪単価で横並びに比較、提案ができるので、シェアオフィスだからといって敬遠されることがなく、普段シェアオフィスをあまり扱っていないような不動産仲介会社様もお客様を連れてきてくれました。

2. オフィスツアーにも個性とアイデアを

――内見に来られたお客様に対して行うオフィスツアーもかなり工夫していると聞きましたが、実際にどのようにご案内されているのでしょうか。

三川:今回に限らず、内見の際は、お客様にどの場所から見ていただくか、その動線や時間配分はかなり考えていますね。今回この物件では、一番の魅力であるラウンジと屋外テラスを最初に見ていただき、その後、レンタルルーム、テレブースなどの共有部、そして、専有部に向かい、最後に日本庭園が広がる屋上に上がるというルートを設定しました。

この経路にすることで、最初にインパクトを与えつつ、その後、機能面も充実していることを順序立ててお伝えすることができます。また、オフィスツアーはゆっくり行うと30分ぐらいかかるので、その中でお客様の採用計画、事業計画、働き方などの課題をじっくり聞くことができます。そうした課題に対して、どのようにこのオフィスで解決できるか、までお話しすることも意識していますね。

――今回はオープン前にほぼ満床になったということですが、この物件のどんなところが一番の引きになったと思いますか。

三川:物件ならではの魅力ですかね。他の物件と比べると、アクセスの良さについては正直負けていても、この場所で働くことに対して「心地よく過ごせそうだ」と感じていただいた方が多く、それによって”駅チカ優位”を覆せた感覚はありました。

▲日鉄興和不動産株式会社 賃貸事業本部 リーシング推進部 事業創造グループ グループリーダー 石森嵩彬 様

石森:閑静なエリアで、落ち着いた雰囲気も高評価してもらってますよね。

三川:そうなんです。もともと赤坂エリア以外にオフィスを構えていた企業さんからも、今回は多く移転/入居していただきましたね。

石森:赤坂エリアの持つ歴史・雰囲気や、この物件の魅力が正しく伝わっている証だと思いますね。立地や価格で、横並びになりがちな不動産仲介ですが、それ以外の付加価値の部分を適切にお客様にお伝えすることができて良かったです。

3. 開業時のリレーションが鍵。良好な関係性と距離感を築くヒトカラメディアのプロパティマネジメント

――「WAW 赤坂第35興和ビル」では、施設運営の面でもヒトカラメディアがお手伝いさせていただいています。オープンから4カ月ほど経過しましたが、入居者様の過ごし方はどうですか。

ヒトカラメディア・竹林 孝文(以下、「竹林」):引越しが終わり、初めて「WAW 赤坂第35興和ビル」に来た入居者様は、皆さん一様にラウンジや屋外テラスを見て、目を輝かせていますね。社外の方と打ち合わせする際はラウンジを積極的に活用されていて、メンバー間でも活用することで、コミュニケーションの促進にも一役買っているようです。ほかにも、カウンターに設置してあるモニターを使った打ち合わせや、ラウンジにあるボードもうまく活用してもらっています。基本的に、ラウンジで打ち合わせを行い、外部に聞かれたくない会議などは専有部や貸し会議室を利用し、イベントやセミナーなど大人数での集まりはレンタルルームで行うなど、機能を使いわけている企業が多い印象ですね。

石森:結構、外観のヴィンテージ感と、ラウンジや屋外テラスなどの内装のギャップに驚き、楽しんでもらえていることが多いですよね。

――この施設の運営に関して、特に気を配っていらっしゃるところはどんなところでしょうか。

竹林:普段、お客様とのやり取りにおいては、近すぎず遠すぎずの距離感を意識しています。これは、入居者様が良い面も悪い面も私たちに言いやすい雰囲気にするためです。運営自体については、入居前に経営者はもちろん従業員に至るまで、事細かに入館説明を行ってきましたので、これまでトラブルもなく順調に運営できています。

今回の運営形態は巡回管理なのですが、オープン当初はほぼ常駐していました。最初の段階で何でも相談できる関係性を築き上げていくことが非常に重要で、こうした関係性を作り上げられれば、今後は常駐回数を減らし、巡回管理になった際にもトラブルなく運営することが可能になると思います。

石森:運営していく中で「ラウンジでアルコールを飲みたい」「屋上でバーベキューをしたい」といったご要望もいただいていますが、どんどんこの施設を使いこなしていこうとされている感じがすごく嬉しいですし、それも入居者さんとも関係性をきちんと築けているからこそだと思います。

竹林:引き続き、運営面で精一杯お手伝いさせていただければと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。

  • 【前編記事はコチラ】 開業前にほぼ満床を実現した、築古ビルの開発PJ。物件の個性を引き継ぎながら働きやすさを実現するシェアオフィスへ。



取材・文/太田祐一