IDEA
2025/6/9
いま注目すべきは湾岸エリア!毎年恒例『オフィス坪単価マップ』から見えてきた、オフィスの今
ヒトカラメディアの名物『オフィス坪単価マップ』が今年も完成しました。独自の調査ではじき出したデータにより「リアルなオフィスの相場が分かる!」と毎年ご好評いただいているこのマップ。ヒトカラメディアの仲介チームに所属し、自他ともに“ビルマニア”と認める木幡が、今年もこのマップをもとに最新のオフィス事情を分析、解説していきたいと思います。この1年でオフィス街の坪単価はどのように変わったのか?今後の注目エリアについても解説していきます。
ヒトカラメディア
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はじめにーー『オフィス坪単価マップ」とは?
『オフィス坪単価マップ』は、もともとは私が半ば趣味で作りはじめたもので、オフィス物件を探すときにリアルに役に立つ坪単価をマップにしたものです。
私はオフィスビルが大好きで、長年にわたり賃料やスペックを調べたりしてきました。その結果、オフィスビルの外観を見れば、およその賃料や面積が分かり、エリアごとの相場もだいたい検討がつくようになったのですが、世に出ている賃料相場と実際に契約に至ったときの賃料のズレを感じるようになったのです。
この疑問を解決すべく、ビルマニアの知識を活かし、東京中のオフィスビルを独自に調査・分析。長年にわたり更新し続けてきた『オフィス坪単価マップ』は、お陰様で多くの方にご好評をいただいています。

1. オフィス回帰の影響大。空室が昨対比30パーセント減
さっそくですが、今年の坪単価マップから見えてきたことを解説していきたいと思います。今回、調査の対象になったのは昨年の調査対象600棟から大きく減って、約400棟のオフィスビル。募集している空室テナントが大きく減ったことが、2025年のひとつ目の傾向です。コロナ禍が本格的に落ち着き、オフィス回帰の流れにあると言われていますが、オフィスビルの空室状況からもその動きが加速していることが分かります。
コロナ禍を経て、働き方は多様化しました。リモートが主体になった企業、どちらも取り入れハイブリットな働き方を推奨する企業、フル出社に戻った企業。働き方はそれぞれですが、コロナ禍で縮小したオフィスを再び拡大しようとする傾向が強く、増床したり、より広い面積に移転したりする企業が多く見られます。そのため空室がどんどん減っていき、物件の取り合いになっているのです。
2. 約85%のエリアが賃料上昇
ふたつ目の傾向は、空室の減少により賃料が全体的に値上がりしていることです。調査した38エリア中、32のエリアで相場が上昇。坪単価30,000円以上のエリアが5つ、丸の内エリアの坪単価は50,000円を突破しました。
丸の内エリアは坪単価の上がり幅が大きく、渋谷エリアも賃料が上がっています。空室が減ると物件の取り合いになり、値下げしなくても借り手が決まるため、オーナーも強気に値上げを行なっている印象です。価格の天井はまだまだ見えず、しばらく相場上昇は続くと思います。
3. 穴場は湾岸エリア!高グレードかつコスパの良い物件が多数揃う
丸の内や渋谷は物件の取り合いにより賃料が上昇。そうなってくると移転を検討している企業は、エリアを変えざるを得なくなります。そこで全力でおすすめしたいのが天王洲、お台場、勝どきなどの湾岸エリアです。
このエリアは丸の内や渋谷に比べるとアクセスが悪いと嫌厭されがちですが、実際は、お台場は渋谷から電車1本で20分ほど。しかも、湾岸エリアのオフィスビルは駅のすぐ近くにビルが密集しているので、渋谷駅から徒歩15分の物件と比べると、アクセス時間はそこまで大差がないというのが事実です。
この湾岸エリアをもう少し詳しく見ていくと、まず、勝どきは大江戸線が使えるだけでなく、隣の月島駅まで歩いていけば(徒歩約10分、距離は約800m程度)有楽町線も使えるので、実は銀座や有楽町、永田町などへのアクセスが良いのがポイントです。
お台場は、テレビ局がある関係でエンタメ系をはじめ様々な企業が集まり、商業施設も多く、バラエティ豊かな場所です。東京都が今まさに注力しているエリアでもあり、街の開発がこれからますます進み、さらなる発展を遂げると思います。天王洲は高層ビルが立ち並ぶエリアですが、各ビルがデッキで繋がっているので雨に濡れずに移動できる珍しい造りをしています。そんなビルの足元にはたくさんの飲食店や物販店があるので、ビル群がひとつの街のように感じられます。
そんな湾岸エリアの最大の魅力は、坪単価が渋谷エリアの半分程度という点。坪単価15,000円ほどでラウンジ、ワークスペースなどがあるハイグレードなビルのオフィスを、広い面積で借りることができます。さらに渋谷エリアはフリーレントが平均2〜3ヶ月程度に対し、湾岸エリアは過去に10ヶ月〜1年以上だった物件もあり、中には内装費用をオーナーが負担してくれる物件も。コストパフォーマンスが高く、浮いたお金を給与や手厚い福利厚生に回し、社員の士気を高めることにも繋がっています。
実際に私が担当した企業様も、移転先を最初は日本橋界隈で探していましたが賃料が予算より高く断念。その後、勝どきに移転を決めました。アクセスを心配する声も最初はあったそうですが、ビルのグレードが上がり広くなったことで社員からはポジティブな意見の方が多く集まったそうです。
4. 東京都が注力する湾岸エリア。手厚い移転資金も
湾岸エリアは今、東京都が推進する『東京ベイeSGプロジェクト』により、50年・100年先を見据えた大規模な再開発が進行中です。2025年秋に開業予定の『トヨタアリーナ東京』、東京都が2025年末に完成を目指す巨大噴水『ODAIBAファウンテン(仮称)』など、商業施設などのオープンが続き、街全体がさらに活気づくことが予想されます。こうした再開発の波に合わせて、東京都は『臨海副都心にぎわい・活力創出事業』を開始。臨海副都心エリアへの移転を希望する創業10年未満のスタートアップ企業を対象に、工事費や内装費、備品購入費など最大5,000万円の補助金が支給される制度も始まりました。
もちろん、すべての企業にマッチするエリアだとは思っていません。外まわりの多い職種や関連企業との行き来が多い会社には向いていないかもしれません。
しかし、渋谷や丸の内の狭くて高いオフィスと比べると、坪数を2倍にしても湾岸の方が安い、といったようなことが多々あり、浮いた資金を内装費にまわしたり、新たな投資や採用を強化する・・・というパターンが十分あり得るということをぜひ知っておいていただきたいと思っています。会社のカルチャーや組織に一体感を持たせたいというニーズや、じっくりプロダクトを開発するフェーズの会社に応えられる物件がたくさんあります。
周囲に高いビルが少なく、海が目の前に広がるこのエリアは、働きながらオーシャンビューやキレイな夜景を望める環境も魅力的ですよね。都心部とは違い、リフレッシュしやすく心にゆとりを持って働けるようになったという声も、移転した企業から上がってきています。最近ですと、株式会社カンリーやスパイスファクトリー株式会社、株式会社GOKKOのほか、コナミの本社事務所もこのエリアに移転してきていますね。
このエリアの住宅物件の賃料がじわじわ上がってきていますし、今後きっと移転する企業も増え注目されるエリアになると思いますので、ぜひ選択肢のひとつに入れてもらえたらと思います。
5. その他の注目エリアーー五反田は引き続きスタートアップに人気
その他のエリアで触れておきたいのは、五反田です。2025年の坪単価は微増したものの、まだまだ20,000円以下を維持。移転先の候補として渋谷エリアを考えていたけれど、賃料的に難しい企業などに引き続き人気です。
新築や広い面積のオフィスが多い場所ではありませんが、TOCビルが建て替えを中止しテナントの再募集を行ったことで、この辺りを選ぶスタートアップ企業も再び増えています。今後は募集が減ることが予想されるので、早めに抑えるのがいいでしょう。
6.まとめーー今後の坪単価予想
今後、どのエリアも賃料が上がっていくことは間違いないです。これからのオフィス選びは投資を目的としたものか、コスパを重視するかで、大きく分かれてくると思います。
リモートワークやハイブリッドワークなど、各企業の働き方が落ち着いてきた2025年。それぞれの企業が自分たちに合う働き方を考えながら、実現するためにはどのエリアを選ぶのがいいのか、ぜひ『オフィス坪単価マップ』を参考にしながら考えてみてください。
今後も引き続き、都心のオフィスビルトレンドに注力していきますので、また2026年度版の『オフィス坪単価マップ』でお会いしましょう。

ヒトカラメディア名物『オフィス坪単価マップ』の特徴
「オフィス坪単価マップ」は、世に出ている物件相場と実際の相場に違和感を感じたことをきっかけにヒトカラメディアが毎年公開しているもの。これまで数多くのオフィス仲介に携わり、業界内では”ビルマニア”と呼ばれている、ヒトカラメディアの木幡(企画営業部 事業部長)の独自リサーチによってまとめています。
募集時の賃料(=定価)ではなく、成約時に近い賃料にて算出
→実情に沿ったリアルな相場を知ることができる
紹介エリアは、区ごとではなく移転先の検討時によく挙がるエリアで括る
→比較検討しやすい
主要ビジネスエリア以外も含むさまざまなエリアを見て選択肢の幅を広げることができる
『オフィス坪単価マップ』があることで、オフィス移転を検討しているお客様は他エリアの相場を知ることができ、選択肢を広げることが可能に。それ以外にも不動産開発・オフィス商品企画等に関するさまざまな場面で皆様のお役に立っています。
取材・文/酒井 明子
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