PROJECT
2024/2/21
全メンバー参加のワークショップから生まれた「オフィス内ショールーム」がカギ。 歴史あるメーカーがさらなる挑戦のために選んだこと
医療業界において、従来の“白”にとらわれない色鮮やかな着衣・スクラブの開発・販売で確固たるポジションを築いてきたフォーク社。このほど、創業120周年を迎え、さらなる成長を目指すべく大規模なオフィス移転を行いました。コミュニケーションの活性化、そしてイノベーションを誘発する仕掛けを作ったオフィスを振り返ります。
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー
1. ワンフロアで自由に行き来できるオフィス空間を

▲フォーク株式会社 代表取締役社長 小谷野 淳 様
――まず、今回のオフィス移転を計画した背景について教えてください。
フォーク・小谷野 淳様(以下「小谷野」):前オフィスは縦型の7階建てビルで、部署ごとにそれぞれの階に分かれて業務を行っていました。業務中、階の行き来はほぼなく部署間のコミュニケーションについて課題を感じていたんです。
ハイブリッドワークが主流となった今、大げさに言えば仕事はどこでもできます。そうした中で「それでもオフィスに来る理由は何か?」を考えました。そこで、従業員同士のコミュニケーションを活性化させることで、新たなイノベーションを起こす糸口になるのではないかと思ったんです。
また、社会的背景も大きな要因になっています。私たちの業界は、他業界と同じように人材不足が深刻化しています。前オフィスは30年前に購入したもので、レイアウトもほぼ変わっていなかった。従業員が働きやすく魅力的なオフィスに変えることで、リテンションを高めると同時に、採用活動にも良い影響を与えるだろうと考えました。
――今回のオフィス移転で特に重視した点はどこになりますか。
小谷野:オフィス移転に際し、オフィス選定から空間づくりまで支援されているヒトカラメディアさんにさまざまな物件を紹介してもらい、実際に足も運ばせていただきました。そして、最終的に広々とした1フロアを持つ今回の物件に決めました。旧オフィスから近く、駅までのアクセスが良いところも良かったですね。新しいオフィスではフリーアドレスを導入することで、部署ごとに仕切りを設けるのをやめ、従業員が自由に行き来できる空間にしました。
2. ワークショップで従業員の思いやニーズを具現化

――物件探しと並行して、「新しいオフィスでどんな働き方を目指すのか」「そこでどんなことを起こしていきたいか」といったことを話し合う『オフィスづくりワークショップ』を開催させていただきました。実際に行ってみて、どのような効果を感じましたか。
小谷野:従業員の想いやニーズを紡いでいくワークショップというプロセスがあったことで、私や担当者だけで進めるよりも、より良いワークプレイスをデザインすることができたと思います。移転に対する従業員のコミットメントが高まったこともあり、新オフィスに対する満足度は総じて高かったですね。

ヒトカラメディア・八塚 裕太郎(以下、「八塚」):私は、ワークショップを実施していく中で、フォークさんのチャレンジ精神の高さに驚かされました。フォークさんは白衣業界の変革者じゃないですけど、いち早くカラフルな着衣を作り、それが今や業界のスタンダードになっている。そうした先進的なモノづくりをしてきた会社だけあって、みなさんからはオフィスの仕掛けや場をどう活用するか、についての意見が多く出されましたね。
そして、今までのオフィスではできなかったこと、やりたかったこと、もやもやしていることについて、ワークショップを通じて具体化させていきました。
3. ショールームの隣にバーカウンター!?

――今回のオフィスでは、ショールームやバーカウンターの設置など、執務スペース以外にも強いこだわりが感じられます。
八塚:ショールームに関しては、ワークショップの中で生まれたアイデアでした。フォークさんが扱う商品について、今まで実際に手に取って見られる空間というのがなかったんです。ただ、限られたオフィス空間をどう利用しようかと考えたときに、会議室と併用して活用できる場にすればいいんじゃないか、またセミナーやオンライン配信など多用途で使えるような設計にしようと議論が深まっていったんです。

ヒトカラメディア・辻 竜也(以下、「辻」):ショールームはさまざまな要件に対応できるようになるべくシンプルな用途に設計しました。商品を吊り下げているレールは取り外しが可能ですし、部屋の外までレールを敷いています。ドアを開放すれば、オフィス空間との仕切りがなくなり、大人数でのミーティングやイベントなど広く使えるような工夫を随所に凝らしています。
小谷野:もともと、創業120周年の記念行事として、どこか別の場所を借りてポップアップストアを開催しようという話はあったんです。だったらその機能をオフィス空間に組み込んでしまえばいいんじゃないかと (笑)。
自社の従業員が現物を確認することはもちろん、お客様が実際に我々の商品を手に取って感じていただく。オフィスに来てくださった方に少しでもそうした体験を提供することで、我々のことをより良く知っていただく機会になります。そうした自然な企業ブランディングに繋がればいいなと期待していますね。
――バーカウンターがすぐ近くにあるのも理由があるのでしょうか。

小谷野:ええ。私たちのお客様はエンドユーザーである医療従事者だけでなく、間にはいっていただいている販売代理店さんも重要なパートナーです。今考えているのは、夕方頃に営業部長がその代理店の方にショールームで現物を見ながら商品を説明する。その後、バーカウンターで一杯飲めればということを考えています。そのために、ショールームの近くにバーカウンターを設置しました。当社は全国に拠点があるので、出張に行くたびに地酒を買って銘柄を増やしていますよ(笑)。
4. 分科会を設置し、従業員自らが働きやすいアイデアを発信

――オフィス移転プロジェクトでは、移転するだけで終わりではなく運用方法も大事になってくると思います。そのあたりはどうでしょうか。
小谷野:私もオフィスは移転して終了ではなく、むしろ稼働した後のオペレーション・運用方法が大事になると思っています。例えば、新たなオフィスを運用していく中で、座席をフリーアドレスにしたのは良かったのですが、どうしても席が固定化してしまうという課題に直面しました。
そのため、出社すると、朝一で抽選を行いランダムに当日座る席を決める運用方法に変更しています。従業員も最初は困惑していたようでしたが、あまり接点のない同僚などと話せる機会に繋がったり、毎朝新鮮な気持ちで業務に打ち込めたりしているようです。また、バーカウンターに関しては、仕事をしている人や帰宅する従業員(オフィスの出入り口に行くにはバーカウンター前を通過する必要がある)に配慮するため、仕切りを設けようと考えています。
――オフィス運用を考える分科会も設置しましたね。
小谷野:正直、働く場という“ハコ”を用意するだけでは、意味がないと思っているんです。そのため、ショールーム、バーカウンター機能を含めたオフィス運用について、分科会を設けました。オペレーション方法について、従業員1人ひとりが自発的にアイデアを持ち寄り、より良い運用を模索していってほしいと切に願っています。やがて、それが社員間の良質なコミュニケーションにつながり、より良いカルチャーが形成されていく効果も生まれてくるのではないかと考えています。
辻:すでに、オンライン・リアル展示会をショールームで開催予定ということで、フォークさんが今後オフィス空間をどのように活用していくのか、非常に楽しみです。本日はありがとうございました。

◉若手メンバーが振り返る移転プロジェクト
中井啓允さん(生産管理部)
正直言うと最初は、自分たちの希望が通るのかどうかこのプロジェクトには懐疑的でした。でも、自分たちが働くうえで何を大切にしているかを『オフィスづくりワークショップ』で出し合ったりして完成したオフィスは、社員同士の距離が近く、見回せば誰が在席しているかが一目瞭然なので、すごくコミュニケーションが取やすくなりました。
ふとした疑問や横から聞こえる会話に口を挟んで問題を解決したり、逆にしてもらったりして業務がスムーズに流れていると感じます。オフィス内で誰かが何となく話していたことに誰かが反応して、それにまた誰かが反応して…なんとなく話していたことが 予期せずに別の人を介して新しいアイディアに繋がる様な、今まででは起こり得なかったことがここからもっと起きたらいいなと思っています。
薄葉 彩さん(営業部)
以前は、部署ごとに階が違ったため、コミュニケ―ションがとりにくい状態でしたが、新しいオフィスでは全員がワンフロアにいるので相談もしやすくなりました。圧迫感がなくなり、気持ち的にも仕事がしやすくなりました。
私は営業を担当しているので、話しやすくなった環境をちゃんと生かしてお客様から得た情報を企画メンバーと積極的に共有していきたいです。それと、取引先様や医療関係者の方々が気軽に商品を見に来てくださるような企画も考えたいです。『オフィスづくりワークショップ』では、自分にとっての働く意味ややりがい、モチベーションって何だろう?という問いもありましたが、知らなかった一面を見れた方もたくさんいて、今回のような場がなければ、それぞれの思いや考え方を知ることができなかったと思うので良い機会になりました。
取材・文/太田祐一
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー





