PEOPLE
2022/1/21
下北沢で一番大きなワークプレイス「SYCL by KEIO」で、これから何が起きるのか。
2022年3月、下北沢駅の高架下にオープンする「ミカン下北」。飲食店舗を中心とした商業エリアと、「遊ぶように働く」を体現するワークプレイスが同居した施設で、多様な人々がジャンルや価値観を超えて混ざり合い、予想もつかない何かが生まれる場所を目指します。
ヒトカラメディアは、この「ミカン下北」内に誕生するワークプレイス「SYCL by KEIO」の施設プロデュース及び運営を担うことになりました。下北沢で一番大きなワークプレイスとなる「SYCL by KEIO」の狙いと、そこで実現したいこととは? 企画の主要メンバーに話を聞きました。
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー
誰かの“やってみたい”が街とつながる

ー「SYCL」と書いて「サイクル」と読むんですね。どんな施設なんでしょうか?
影山直毅(以下、影山):「SYCL by KEIO」は、「ミカン下北」のA街区(4〜5階)とB街区(3〜5階)の、2棟合計5フロアからなるワークプレイスです。
テーマは、「誰かの“やってみたい”が街とつながる」。
オーナーは京王電鉄さん、ヒトカラメディアが企画・運営・リーシングまでを担当しています。
▲A〜E街区に分かれる「ミカン下北」。
影山:A街区には、コワーキングスペースと個室メインのシェアオフィスがあり、2022年3月にオープンします。
B街区には、10~30坪程度のオフィスが7区画あって、2022年の夏頃にご入居いただけるよう準備を進めています。
2022年1月現在、下北沢で一番大きなワークプレイスになるんですよ。
▲フルタイム契約の場合、24時間利用可能。
ー「SYCL」という名称には、どんな想いが込められているのでしょうか。
影山:「Shimokita Yellow Creative Lounge」の頭文字を組み合わせて「SYCL」になりました。
サイクルという言葉には「循環」という意味がありますよね。
これ"やってみたい"という想いを持った人を中心に、その想いに共鳴する人たちが「SYCL」に集まり、大小さまざまなプロジェクトが生まれて、その活動や熱量が下北沢の街に波及していく。
そしてそこで生まれた熱量が誰かの心に伝播して、また誰かの"やってみたい"になって「SYCL」に返ってくるという循環を生み出せたらと思っています。
ー「SYCL」の「Y」は「Yellow」なんですね。確かに、ティザーサイトを見るとビビッドな黄色が目立ちます。
影山:「Yellow(黄色)」は自己表現やオープンさ、積極性を象徴する色なので、キーカラーとして採用しました。
これは偶然なんですが、下北沢エリアのテーマカラーも黄色なんですよ。
ーなんと、偶然のつながり! ちなみに「誰かの“やってみたい”」の「誰か」って、どんな人を想像していますか?

三川慧(以下、三川):下北沢で何かを仕掛けたいと考えている人ですね。
下北沢でお店を営んでいる方の事務所として借りてもらうとか、近所に暮らしている方の作業場として使ってもらうとか。
打ち合わせなどで外部の人を呼ぶこともできるので、「下北沢を面白がりたい」と思っている方との接点が増えると、より面白くなりそうだなと思っています。
新古を繋ぐ“人”こそが、下北沢という街の個性

ー下北沢という街全体を視野に入れたプロジェクトなんですね。
三川:そうですね。飲食店などのお店もたくさんあるので、入居者さんにはオフィスだけじゃなくて、街そのものを仕事場として活用してもらえたらなと。
ー下北沢といえば、古着や雑貨、音楽や演劇などのイメージがありますが、改めてどんな街だと思いますか?
小島亮(以下、小島):僕は大学が小田急沿線だったので、線路がまだ地上にあった頃から街を見ていて思うことは、駅前の開発が進んで、商業ビルは増えているものの「残るものはしっかりと残っているな」という印象ですね。
都市部だと、建物を「壊して作って一新すること」が当たり前になっているけど、下北沢は昔からの匂いを感じられる街かなと思います。

小島:都市部はお店とかモノに焦点が当たるけど、下北沢って人間の匂いがプンプンするじゃないですか。
「ミカン下北」は新築ですが、街の空気感を継承しながら、下北沢に馴染む場所にしたいんです。
壁の落書きがアートとして捉えられるような、雑多な雰囲気もそうだし。他の街では出会えないような、個性的な商店や小さな定食屋さんも、長年愛されている。「そこに誰かが居た」とか「こんなルーツがあった」という、「痕跡」や「残像」がちゃんと残っているんじゃないかなと。
ーなるほど、人ありきの街なんですね。
影山:人ありきだけど、「一見さんお断り」というわけでもなくて。
下北沢は、南側と北側でもちょっと空気感が違いますが、「お互いを尊重して許容し合っている幅のある街だな」と感じます。
小島:人の顔はちゃんと見えているけど、排他的じゃないところがいいですよね。
新しいとか古いとかはあまり関係なくて、それが「面白いから」とか「旨いから」とか、中身の濃さや特徴に目を向けて評価する人が多いからかな。

影山:時代が流れて新旧が入り混じっても、新しくできた建物やお店が街に馴染んでいくのは、そこに居る“人”の力や存在が大きいと思います。
下北沢を盛り上げる活動をされている方って、たくさん居るんですよ。
地域密着型webサイト・アプリの「I LOVE 下北沢」を提供するアイラブさん。下北沢カレーフェスティバルのマスコットキャラクターであるカレーまんさん。下北沢に多数の飲食店を展開する呑もうぜグループさんとか。ほかにも例を挙げると本当にたくさん。
そういう地域に根差したプレイヤーの方々にも、「SYCL」に混ざって場を活用していただけたら嬉しいです。
空間のコンセプトは、働く人が主役のJAMとCO-OP
A街区 4階|JAM
ー「SYCL」が目指しているのは、「スタイリッシュで新しい」じゃなくて、「中身が詰まっていて濃い」なんですね。これらは、空間にどのような形で反映されているのでしょうか?
小島:まずはA街区の4階について。
「人がどう混ざっていくか」を大事にするために、デザインのキーワードを「JAM」にしました。
「JAM」には「ミュージシャンが集まって即興で演奏すること」という意味があったり、銃弾やコピー用紙が詰まったときに「滞留」という意味で用いられたりするんですよ。
僕たちは、この施設を単なる働く場所ではなく「人の魅力に気付ける場所にしたい」と考えているので。人と人、人とコトが混じり合うような、「JAM」を体現できる空間づくりを意識しました。
ーワークスペースとしてはめずらしい、細長い建物ですね。
小島:入口から奥の方に進むにつれて、空間の機能がグラデーションのように切り替わるデザインになっています。
入口付近は、ショップのような顔を持たせることで、足を踏み入れやすい雰囲気を演出しました。バーカウンターなども設置予定なので、気軽に会話をたのしんでもらいたいです。
中間部分には、フリーアドレスのコワーキングスペースを配置しました。ここではイベント開催も予定しているので、さまざまな状況やレイアウトに対応できるように、モノの動かしやすさを意識しています。
奥は集中して作業に没頭できるエリアなので、静かで落ち着きのある環境を求めているときに最適です。こんな感じで、4階は「動」と「静」の表情の違いが生まれるようなデザインにしました。
導線が単一化されているぶん、入居者さん同士で顔を合わせる機会も増えるので、「JAM」を実現しやすくなんじゃないかな。

三川:A街区には2つの会議室(定員6名)と、5つのフォンブース(定員1名)があるので、ミーティング設備も充実しています。
用途に合わせて場所を使い分けてもらえたらと思います。
A街区 5階|CO-OP
ー5階はどのようになっていますか?
小島:A街区の5階は、1〜4名用の個室のシェアオフィスが並んでいます。
「もう一つの我が家のように愛してもらえたら」という想いを込めて、デザインコンセプトを「CO-OP」にしました。
学生時代に住んでいたアパート名に「コーポ」が付いていたんだけど、「コーポ」って上の階に大家のおばあちゃんが住んでたりしない? あくまでも僕の肌感覚だけど、「メゾン」よりも「コーポ」の方が親しみやすいなって(笑)。
自分の部屋みたいな居心地の良さを感じてもらえるように、全体的にやわらかいデザインに仕上げました。
個室が並ぶとどうしても閉塞感が出てしまうので、扉をアーチ型にするなど、ポップでリズミカルな雰囲気づくりを大切にしています。
影山:5階にはテラスがあるので、外の風に当たってリフレッシュもできるんですよね。
ちなみに、5階の入居者さんは4階のコワーキングスペースもご利用いただけます。
B街区|セットアップオフィス
ーB街区のオフィスはいかがでしょうか。
三川:家具と、最低限の内装が付いたスモールオフィスになっています。
別途会議室が欲しい場合は、工事して構築もできますが、A街区の会議室やフォンブースも使っていただけます。
小島:どのフロアも、主役は「働く人」だと思っているので、入居者さんに「いいでしょこのオフィス!」って自慢してもらえるような場所になれば嬉しいですね。
下北沢は、中身を大事にする人たちが集まる街なので、愛着を持ってもらえるような空間デザインを心掛けました。
「SYCL」はわらしべ長者で面白くなる

ーさて、企業誘致いわゆるリーシングもヒトカラメディアが担っていると聞きましたが、これはどういうことですか?
三川:オフィスビル誘致といえば、不動産業者に情報を公開して集客してもらう方法が一般的です。
ただ、今回僕たちは、直接企業に声を掛けています。
ーどんな企業をお誘いしているのでしょうか。
三川:下北沢という街に合いそうな企業を妄想しながら、現在進行系でアプローチしています。
もしご縁が無くても、「お知り合いで下北沢にゆかりがある人が居たらご紹介をお願いします」と伝えていて。わらしべ長者のようなテナントリーシングになりつつあります(笑)。
「学生時代に下北沢のファミレスに通っていました」とか「共同創業者と下北沢で出会いました」という方々と知り合えているので、地道に誘致を続けていきたいです。
ー実際に興味を持ってくださる方はいますか?共通項なども興味あります。
三川:やっぱり、連絡をいただくのは下北沢と何かしらの接点があった人が多いですね。
物件の賃料などの詳細が出ていなくても、下北沢のことが好きな人って、プレスリリースを見た段階で「入居したいです」と言ってくださるんですよ。街が持つ力って面白いし、すごいなと改めて感じました。
業種はアパレル、アミューズメント、ITなどバラバラでも、過去に下北沢のライブハウスでラッパーとして活動していた方や、居酒屋でバイトしていた方などが、「SYCL」の立地を気に入ってくださっています。
ーそもそも、下北沢って働く場所が少ないですもんね。
三川:最初は、シェアオフィスのニーズがどれくらいあるのか検討がつかなくて。
下北沢は、オフィス探しの候補地として名前が上がってこない街だから、誰も予想できない状況だったんです。でも蓋を開けてみたら、「待ってました!」とばかりに反響がきて嬉しかったですね。
これから、どんな方々に集まっていただけるのかたのしみです。

「ミカン下北」から、街に新しいうねりを生み出し続ける
ー下北沢の街で、ワクワクしながら働きたい人が集まる。オープンが待ち遠しいですね。
影山:「ようこそ。遊ぶと働くの未完地帯へ。」
このフレーズをコンセプトとして掲げる「ミカン下北」のなかで、仕事のアイデアやプロジェクトが広がるようなサイクルを生み出すために、僕たちもいろいろと企んでいるところです。
影山:何かコトが生まれるのって、「やりたい」とか「面白そう」っていう想いを共有できる仲間と出会えたときじゃないですか。
人が集まる場やコミュニティづくりに注力するために、「SYCL」にはメンバー間の触媒となるようなコミュニティマネージャーが常駐する予定です。また、コトを生み出す仕掛けとしていくつかのプログラムを行う予定です。
そのなかの1つとして「下北妄想会議」を準備しています。

ー下北妄想会議とは?
影山:下北沢の街やミカン下北というアセットを活用して「これやりたい!」を妄想、発散し合うプログラム。「これ面白くない?」というジャストアイデアで構わないので、やわらかな妄想を持ち寄る場にできたらいいなと。
SYCLの入居メンバーだけでなく、ミカン下北のテナントさん、下北沢の街の方々、または下北沢外からの参加者まで、幅広く参加できる場にしたいと考えています。妄想を話し合うなかで、マッチしそうな人をご紹介できる場合はお繋ぎしますし、「ミカン下北」など京王電鉄さんの施設をお借りして実現できそうな妄想であれば、実現に向けたコーディネートをします。
みなさんの妄想から様々なプロジェクトが生まれる支援をしていきます。
ーそれは夢が膨らみますね!
影山:将来的には街に滲み出ていって、下北沢のお店とか、小田急電鉄さんの「下北線路街 空き地」や「BONUS TRACK」などとコラボレーションしながら、広くフラットに開催できたらいいなと妄想しています。

ーたのしみです。最後に、一言コメントがありましたらどうぞ。
小島:ここを使って頂ける方々には、SYCLを自分の場所と捉えていただいて、好き勝手使い倒して欲しいですね。
「働く」ってことに留まらず、好き勝手思いのままに。
影山:これから下北沢には「働く」という文脈が増え、下北沢に訪れる人の顔ぶれにも変化が生まれます。だけれど、一方的に変化を起こしたい訳ではなく、この街にある「営み」としっかり接続していきたいと考えています。
SYCLはグルーヴ感のある場に育てていきたいので、たくさんの方のご利用をお待ちしています!
三川:ヒトカラが五反田にベンチャー/スタートアップを約30社仲介してしばらくしてから、五反田バレーが産声を上げました。オフィス仲介って積み重なると街の雰囲気が変わる力があると思ってます。今回のPJによってシモキタに根付いている文化と「働く」が混ざりあるとどうなるか、、、楽しみです!
ーありがとうございました!
施設概要
【名 称】SYCL by KEIO
【オープン予定日】2022年3月 ※B街区は2022年夏開業予定
【入居者募集】2021年12月15日より開始
【面積】
・A街区4〜5階 約540㎡
・B街区3~5階 約440㎡
【利用可能時間】24時間
【WEBサイト】https://sycl.space
【事業主体】京王電鉄株式会社
【企画・運営】株式会社ヒトカラメディア
SYCL by KEIOのプレスリリースはこちら:
取材・文/馬場澄礼
編集/ヒトカラメディア編集部
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー





