PROJECT
2021/10/13
コミュニケーションを開発する文化を、オンでもオフでも - 株式会社アイリッジ様
今回はプロジェクト振り返りインタビュー回。
株式会社アイリッジ様のオフィスリニューアルプロジェクトを、アイリッジ様と共に振り返ります。 プロジェクトが開始した2020年7月といえば、1回目となる新型コロナウイルス感染症・緊急事態宣言の解除を経て、世の中の企業が「これからどのように働くべきか」と頭を悩ませていた頃です。
そんな中、リモートワークと出社を組み合わせる「ハイブリッド型の働き方」を実現すべくスタートした本プロジェクト。「当時の様々な決断の背景」や プロジェクトを通して見えた「働き方」についてお話を聞きました。
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー

自分たちが、「働き方」で注目されるなんて思ってもみなかった
今井(ヒトカラ):オフィスをリニューアルしてから半年が経ちました。使い勝手はいかがですか?
杉浦(アイリッジ):実は、ほとんどの社員がリモートワークを継続していて……まだオフィスを使い尽くせていないんです。大体、全社員の1割程度といったところでしょうか。
このオフィスのリニューアルプロジェクトでは、4割の社員が出社するのを前提としていたので、本格的な使い勝手が分かるのは”これから”です。
斎藤(アイリッジ):出社した社員は、よくオフィス内を”探検”していますよ。窓際のラウンジスペースに行ってみたり、ソファを使ってみたり。
座っている席によって、今どんな気分なのか、なんとなく察せるのが面白いです。

WebMTGの背景でオフィスのどこにいるのか分かることもあるそう
今井(ヒトカラ):専門情報誌の『人事実務』にも働き方の事例として掲載されていましたね。
杉浦(アイリッジ):そうなんです。
『人事実務』だけでなく、”オフィス環境”や”リモートワークがうまくいっている会社”としての取材が続いているんですよ。
斎藤(アイリッジ):アイリッジのカラーはイケイケではなく、堅実・慎重な方なので、自分たちがまさか「働き方」で注目されるなんて思ってもみなかったです。
以前、オフィスの一部でフリーアドレス制を試したことがあるんですが、その頃は毎日荷物を持って違う席への移動ができないメンバーが多くて、結局全然うまくいかなかったんです(笑)

▲株式会社アイリッジ 杉浦さやか 様(左)斎藤美保 様(左から3番目)
働き方のルールは付け焼き刃では浸透しない

松原(ヒトカラ):アイリッジさんが自社のスタイルを堅実・慎重と感じているのは、意外ですね。
今井(ヒトカラ):2020年7月には、もう完全にリモートワークへ移行していましたもんね。
まず、それがすごいなと思いました。コロナへのアクションが、こんなに早いんだと。
杉浦(アイリッジ):コロナが流行する前から、あくまで”例外的なケース”を前提としたリモートワークの準備を進めていたんですよ。
インフルエンザの症状が収まった後の待機期間や、育児で出社が難しい場合などを想定したルールのテスト運用を始めようというタイミングでコロナ禍になって。結果的に全社に展開したんです。
チャットのテキストコミュニケーション文化があったから上手くいった、とも思います。以前から、記録を残して皆に共有するという意識もありましたし、リモートワークに移行しても、やっていることはあまり変わらないのかなって。
今井(ヒトカラ):そんな背景があったんですね。
とはいえ、コロナ禍の話を抜きにしても、やっぱり働き方に対して前のめりな印象です。

杉浦(アイリッジ):いえいえ、ここまでの道のりも多難でした。
以前からリモートワークの希望はとても多かった一方で、会社の方針として「顔を合わせてやりたい」という明確なポリシーがありました。だからベースとなったリモートワークのルールも、綿密に組み上げていた。これが功を奏したんです。
実際にリモートワークになって不便なことはないか、今後どれくらいの出社が必要そうか、など経営陣から各部長にヒアリングが行われました。その上で、アフターコロナは週2出社・週3リモートワークというポリシーが決まりました。
なので、一定のリモートワークを前提としたハイブリッドな働き方を想定して、2フロアだったオフィスを1フロアにすることになったんです。オフィスも週2出社の人数が入るように計算して、設計・デザインをお願いしました。

斎藤(アイリッジ):例えば、1日はチームメンバーとコミュニケーションを取る日、もう1日はプロジェクトメンバーとコミュニケーションを取る日と決めたらいいかもね、という意見もありました。
以前、オフィス見学などを経て踏み切ったフリーアドレス制がうまくいかなかった経験があるからこそ、オフィスの使い方や働き方のルールは付け焼き刃では浸透しないと、身にしみて分かっていましたからね。
自発的にアクションする文化が、今の環境にあったコミュニケーション方法の開発につながる
今井(ヒトカラ):社内向けのオンラインでの取り組みも色々やっていますよね。
杉浦(アイリッジ):はい、最近では「チャットタイム」という取り組みが生まれました。
リモートワークに移行してから「雑談が生まれにくい」という声が多くあって。
それを解決するために、”社員をランダムにピックアップして自動でカレンダーに落とし込む”プログラムを、エンジニアたちが自発的に作っていました。
松原(ヒトカラ):プログラムをお手製でつくっちゃうんですね!

斎藤(アイリッジ):昔から、自発的にアクションするという文化はあるかもしれません。
”好きだからやる” ”解決すべき問題があるから解決法を考える"。そのようなメンバーが多いので、プログラムをお手製で開発するような文化が長続きしているんだと思います。
今井(ヒトカラ):コミュニケーションを”開発”する文化っていいですね。

杉浦(アイリッジ):コロナ前から続いている、希望者参加型の全社飲み会「アイリッジバー」を毎月1回、オンラインで開催していたり、他にも週に1回、全員参加のオンライン朝礼をニュース仕立てでやってみたりもしています。
斎藤(アイリッジ):ほかには、「#coffee」というSlackのチャンネル内では、タイミングの合う人を募って、各自で淹れたコーヒー片手に喋りながら一息ついているようです。
杉浦(アイリッジ):部活も盛んで、猫部などもあります。WebMTG中に猫自慢をしているかたもいらっしゃいます(笑)
松原(ヒトカラ):コミュニケーション方法をどんどん開発してて、すごい……。
杉浦(アイリッジ):コミュニケーションでいうと、1on1の充実化も進めています。
もともと1on1が必須な会社ではなかったんですが、気付いたら8割のチームが自発的に始めていました。

斎藤(アイリッジ):ちょっとした様子の変化を取り逃がさないように、私の部では新入社員は毎日1on1を、他のメンバーも週1回の頻度で1on1でのコミュニケーションを取っていますね。
杉浦(アイリッジ):今までは近くにいたから雑談できていたのが、リモートだと「報告」になってしまう。
その点、1on1だとちょっとネガティブなことも言いやすいんですよね(笑)。上司との雑談って大事だなぁと改めて思いましたね。
松原(ヒトカラ):アイリッジさんって、コミュニケーションの感度が高いですよね。
リアルイベントをやっていたり、ブログで人や活動の紹介をしていたり。オフラインでのコミュニケーションを大事にされている印象がありました。それがリモートになっても消えずに発展しているのがすごく良いと思います。
今までは意識していなかった、ちょっとしたコミュニケーションが大事だったことに気づきます
杉浦(アイリッジ):「リモートワークって難しいな」と感じていることも、もちろんあります。
例えば、WebMTGの画面をオフにしてしまうと、顔が見えない。「同じチームの人の顔がわからないんです」と困っている新入社員もいました。
斎藤(アイリッジ):たしかに。
全員に共有されている写真付きの社員プロフィールがとても役立っていますよね。初めてプロジェクトが一緒になったメンバーの社員プロフィールを事前に確認したりしています。
あとは、やっぱりメンバー同士の雑談など息抜きの機会をもう少し増やした方がいいかなと思います。
今井(ヒトカラ):やっぱり、息抜きは対面ならではのメリットなんでしょうか。
斎藤(アイリッジ):それでいうと、この間実装されたSlackの”ハドル”機能が良さそうですよね。
”コール”とほぼ機能は同じなのに、なんとなく入れる半分オープンな感じや、ちょっと声を掛けられる感じをチャット上で表現できていて丁度いい。
うちのオフィスにも”ハドル”がある!って思いました(笑)
松原(ヒトカラ):オフィス内に4箇所設けた”ハドル”スペースのことですね。
これは、要件ヒアリングの際に社内のコミュニケーションの話を聞いていたので、ぴったりハマるだろうなと思って提案したんですよね。


ハドルはもともとアメフトの用語で、円陣を組んで数十秒で作戦会議・情報共有をすること
斎藤(アイリッジ):こういう半分オープンな場所って、さじ加減が絶妙でコミュニケーションしやすいですよね。
オフィスのハドル、使いこなしていきたいです。
コミュニケーションを開発する文化が、設計側の意図を超えた空間を生み出す
斎藤(アイリッジ):リニューアル後のオフィスは、回遊できるところがとてもいいなと感じています。
オープンスペースの仕事っぽさ、ブースの集中してできる雰囲気、窓際のリラックスできる感じがグラデーションになっていて良い感じです。


オフィスはそれぞれのエリアを完全に仕切ることなく繋がるように設計されている
松原(ヒトカラ):オフィス全体が、地続きのレイアウトですからね。
エリアの境界線が曖昧になることで、エリアの合間に新たな空間が生まれるといいなと思っていました。
これはもしや、設計側の意図を超えた空間になるかもしれないなと、ワクワクしていますね。
斎藤(アイリッジ):新しいエリアが生まれるって良いですね。このオフィスは探検しがいがありそうです。
杉浦(アイリッジ):メンバーが20名ほどの大きなプロジェクトが始まったら、ここのスペース(=オープンエリア)は一時的にそのプロジェクトルームにする、とかもできそうですね。

自由の高いオープンエリア。壁一面はホワイトボード仕様になっている。
斎藤(アイリッジ):今はホワイトボードが真っ白なのが寂しいです。
「消さないで!!」みたいな書き込みがあったりすると人の気配があっていいですよね。
杉浦(アイリッジ):本当は皆、書き込みとか大好きなんです。まだ新しいから気を使って、キレイに使っているみたい。
松原(ヒトカラ):色々書いてあるとハードルも下がりそうですし、意図的にキッカケを差し込んでみてもいいかもしれません。

杉浦(アイリッジ):あと、最近はブースの利用頻度が高いですね。
ブースごとにライトを備えているんですが、その光が背後の壁に反射しているのを見て、姿が見えなくても、なんとなく気配を感じています。
最後にヒトカラから、ひとこと
今井(ヒトカラ):最後にヒトカラメディアからも、プロジェクトを振り返ってひとことお伝えさせてください。
タイゾー(松原)さん、いかがでしたか?

松原(ヒトカラ):期間がなかなかタイトだったので、実は始まるまで結構ドキドキしていました(笑)
ただ、リモートワークの方針をはじめ、方向性がしっかりしていて判断軸がぶれないので、とてもスムーズにプロジェクトが進みました。こちらが提案したものに対して「こうやって伝えよう」と一緒に考えてくれたりもして、後押しをしてくれたのも心強かったです。
杉浦(アイリッジ):短期間でしたが、一緒にタッグを組んでプロジェクトを達成したって感覚ありますよね。
このオフィスは、本当に一緒に作ったという感じがします。
斎藤(アイリッジ):私もデザイナーなので、出した案に色々細かく言われた時の「ひとつひとつ意味があってデザインしてるのにな…」と思う気持ちがすごく分かるんです(笑)だからこそ、ベースのデザイン案にはほとんど口出ししませんでした。
アプリ開発もそうなんですけど、スケジュールを組んで、決めることをキチンと決めるって、すごく大事。しっかりプロジェクトマネジメントをしてくれたので、とても有り難かったです。

今井(ヒトカラ):プロジェクトマネジメント面にもフィードバックありがとうございます!
では、僕からもひとこと。
相反する方向ではなく、同じ方向を向いている実感がありました。”一緒にやった”とすごく感じられたプロジェクトだったなと。プロジェクトが終わったあとでも、気軽に挨拶に来れる関係で嬉しいです。
杉浦(アイリッジ):出社が始まってオフィスが使われてきたら、是非また見に来て欲しいです。
その頃には、もっと現実的な悩みとかも出てきているかもしれませんから(笑)。
編集部あとがき

ハイブリッド型の働き方に合わせたオフィスづくりを選んだ株式会社アイリッジ様。
リアルとリモートそれぞれの特徴を活かしながら、”働き方”と”働く場”の両面からアプローチするプロジェクトになりました。
一度完全なリモートワークへと舵を切ったことで見えた、対面コミュニケーションで得ていた何気ない情報の大切さ、そして新たなコミュニケーション方法を開発する文化を再認識したお話がとても印象的でした。
今後も節目節目でお伺いさせていただき、その時々の”オフィスの今とこれから”を一緒に考えていけたらとても嬉しいです。
取材協力/株式会社アイリッジ様
取材・文/照屋有理子
編集/ヒトカラメディア編集部
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