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2021/9/8

ヒトカラメディアが目指す、「場づくりを通じた共創支援カンパニー」って何?

「競争」よりも「共創」という価値観が定着しつつある現在。オフィスをはじめとする「場づくり」の現場では、どのような取り組みが行われているのでしょうか。そして、「個」と「コミュニティ」の時代に求められる、まちづくりやビル運営の在り方とは?

“「都市」も「地方」も「働く」も「暮らす」ももっとオモシロくできる!”を軸に事業を展開している、株式会社ヒトカラメディアの代表取締役・高井淳一郎に語ってもらいました。 

ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー

さまざまな人たちの「共創」を支援する会社を目指す

ーいきなりですが高井さん、「場づくりを通じた共創支援カンパニー」って何ですか?​​

高井:

じゃあ、まずは「共創」のところから話そうか。

ここでいう「共創」とは、垣根を超えて何かしら共通のテーマやビジョンを持ったコミュニティなるものが、一人では成せないことを実現すること。

複雑化した課題に直面したとき、さまざまな角度からアプローチしないと解けないとなったら、一人で解決するには大変。だから、あの手この手をつかって協力しながら解決する、垣根を超えたコミュニティが主役になると考えているんだよね。

ーなるほど。

高井:

ヒトカラメディアでは、各企業のオフィス内で社員同士が手を取り合えるような共創環境を実現することはもちろん、オフィスビルの利用者や地域の人たちが交流できる共創コミュニティをつくりたいと考えている。

僕は、これからは建物内にシェアスペースやコミュニティマネージャーなどの「人が交われる機能」が組み込まれていることが、もっと当たり前になると感じていて。行政やデベロッパー、電鉄の方々からも、コミュニティを内包した場づくりに関するご相談が増えているじゃない?

ー確かに……。これから交流型の施設がますます増えそうですよね。

高井:

そう。だからこそ、「活躍するべき人たちが、活躍できる場をつくる」ことにより力を注いでいきたいって思うんだ。

不動産業者の視点だけで考えると、「一定額以上の賃料を支払ってくれる企業を誘致したい」みたいな発想になりがちだけど、それと同じくらい「どういう人たちに集まってほしくて、これからどういう場所にしていきたいのか」という視点が大事なんじゃないかな。

依頼主やステークホルダーのことを考えながら、「誰のための空間なのか」「チャレンジしたい人の発掘や応援ができるのか」ということを重視した、「ヒトを起点にした場所づくり」を推し進めることが、これからのオフィスビル開発・運営に求められると考えてるよ。

ーさまざまな人たちの「共創」を支援する。だから「共創支援カンパニー」なんですね。

高井:

そうだね。

企画から運用まで、責任を持ってプロジェクトに入り込むことで、これからもお客様の「実現したい環境づくりのサポート」をしていきたいな。

ひとつひとつを積み重ねた先に、ヒトカラメディアが「場づくりを通じた共創支援カンパニー」として認識していただけている未来があれば嬉しいよね。

「相手ありき」で、最適なプロジェクトを組み立てる

ー高井さん、この話をするとき目が輝いてますね(笑)。では、具体的にどのような取り組みをしているのか、改めて教えてもらってもいいですか?

高井:

オッケー。では、あらためてヒトカラメディアの自己紹介だね。

企業のオフィス移転支援では、いつも理想的な「働く場」について考えるところからはじめています。

高井:

もちろん、こうした内容を固めたうえでご相談に来られる方もいらっしゃるから、進め方はこの限りではないけど。

「そもそもなぜやりたいのか」「何をやるのか」といった、プロジェクトの上流部分を一緒に考えたほうがよければ、要件定義から取り組む。「やりたいことは明確だけど、どうやって形にすればいいか分からない」という場合は、下流部分からサポートしてるね。

ーヒトカラのメンバーはみんな、「相手ありき」「お客様あきり」で動くことを心がけてますよね。

高井:

そうだね。「お客様に寄り添いながら形にするパートナー」でありたいよね。

こちらから一方的にデザイン案をお渡しすることもできるけど、ヒトカラの強みは、リアルなお客様の声を引き出して場に反映させることだからね。

【↑市役所をよりよい空間にするために、市民向けのワークショップや職員向けのアンケートを実施したことも】

ー物件探しはもちろん、設計・デザインをはじめ、内装・施工、施設運営にいたるまで幅広く手がけてますけど、そこにはどんな想いがあるんですか?

高井:

どんなプロジェクトだってプランだって、実現できなきゃ意味がない。だから実現できるようプロジェクト全体をサポートする。

そのためには、入口から出口までの全体像を把握して、最適な形でプロジェクトを組み立てる必要がある。だから、自社で全工程をカバーできるようにしたんだ。全体像を把握できている人がいないと、「こんなはずじゃなかった」というギャップや、「場所は完成したけど、その後はどうするの?」といった困りごとが生じやすいからね。

もちろん、他社さんや外部のデザイナーさんと一緒にプロジェクトを進めることもあるし、「うちで全部やらせてください」と言いたいわけではない。プロジェクトごとに最適な体制を組めることが大事だね。

課題を「自分たちごと化」しながら並走する

ー「やりたい」がきちんと「実現可能」になるまでサポートする……ってことですかね?

高井:

だね。それでいうと、サポートというより「並走する」ってイメージが近い。ただ場所をつくって渡すだけじゃなくて「隣で走りながら実現しますよ!」という存在でありたいんだよね。

僕は、依頼主やステークホルダーがWin-Winになれる、「持続可能なもの」をつくりたいと強く想ってるんだ。「続かないもの」の外側だけを格好よく見せて掲げても、「嘘をついているだけ」ということになりかねないから。

だから、働く人やまちの人が主役になれる空間づくりはもちろん、場所探しや設計のプロセスでは、なるべく経営者の方々の意思決定を正しく導けるようにつとめているよ。

ー高井さん、「選択肢を広げて、かつ適切に判断してもらうことが大事」って、社内で口酸っぱく言ってますもんね。

高井:

そういうこと。あと大事なのは、自分ごと化することだね。

ー「自分ごと化」…これも社内でよく聞く言葉ですね。

高井:

実は、ヒトカラオフィスの中目黒から下北沢へのオフィス移転も、「どうせやるなら、形になるまでサポートしたい」という思いから生まれた判断なんだよ。

ーきっかけは何でしたっけ?

高井:

京王電鉄さんから、下北沢の再開発プロジェクトのご相談をいただいたことかな。どういう施設をつくれば、下北沢のまちが盛り上がるのかを考えた結果、オフィスビルをつくることになって。地域とオフィスって切っても切れない関係というか、1日のなかで働いている時間が1番長いから、オフィスがあるとまちが栄えるんだよね。

それで、京王電鉄さんに「入居企業さんのことを“下北沢を一緒に面白くするプレイヤー”だと捉えて誘致しましょう」とプレゼンして、企画を進めていたんだけど……社内で「僕たちもプレイヤーになって伴走できたら面白いよね」という声が上がって、気づいたら下北沢に移っていたという(笑)。


【↑オフィスづくりは、まちづくりにも繋がっています】

ーHPにもある“おせっかいな共創パートナー”という言葉が、改めて腑に落ちました!

高井:

これはやや極端な例だけどね。

「自分たちごと化」することで、面白いアイデアや発見をプロジェクトの一員として伝えられるからね。これからも、状況に合わせて拠点を増やしていけたらいいなと思ってる。

これからの世の中を生み出す新しい"うねり"を仕掛けていく

ー最後に……社名の由来を聞いても良いですか? 「メディア事業を手掛けている会社ですか?」って質問をよく頂くので(笑)

高井:

確かに、「メディア」と名乗ってたらそう思うよね(笑)。

9年ほど前に起業したときに、これからの世の中はもっと“個”が中心になるだろうし、その動きをつくる一端を担いたいと思っていて。人を真ん中に据えた場づくりはもちろん、社会にそういう「在り方」を発信できるような会社にしたくて「ヒトカラメディア」と名付けたんだ。

「メディア」は「媒体」という意味合いで使ってるから、会社という「発信媒体」だと捉えてもらうと分かりやすいかな。

ー「ヒトを起点にする」ことに重きを置いた会社だから「ヒトカラメディア」なんですね。

高井:

僕は建築学科の出身で、もともとは建築家になりたいと思ってたんだ。でも、建築のことを学ぶうちに、まちや建物やチームのなかにいる“人”の可能性を引き出すプロセスづくりに興味を持つようになって。

あとは自分の人生のテーマとして「意志を持って生きる人や、その熱源を増やす」を掲げているから、「働く」という領域で事業を展開することに決めた。企業の「働く」の価値観や考え方がアップデートされれば、世の中により大きなインパクトを与えられるからね。

【↑組織と個人がいきいきするようなオフィス環境づくりをサポート】

【↑地域の交流拠点や、工場の休憩棟なども手掛けています】

ー意志を持って生きる人や、その熱源を増やす、ですか。

高井:

「人生の主役」として胸を張って生きられる人が増えれば、個々の幸福度が高まるのはもちろん、結果的に世の中の課題を解決できると思うんだよね。でも、理想の未来に近づくためにはまず「チャレンジしたい人を受け入れる器」が必要だなと。

もっと言うと、そういう人たちの存在や場の空気に刺激を受けて、新たな一歩を踏み出す人とか、横の繋がりが増えていったら最高だよね。だからヒトカラメディアは、「器」とか「世の中の熱源を増やすための装置」づくりに取り組んでいるような感じかな。

ーいまでこそ「個の時代」と言われてますけど、9年前ってまだフリーランスの働き方も確立されていないような状況ですよね。なぜ、いち早くそういう意識を持ったんですか?

高井:

僕自身が、「人生の主役になりたい」と思っていたところが大きいのかもしれない。幼少期から「自分は何者なのか」というアイデンティティのゆらぎを抱えていたというか……僕は名古屋出身なんだけど、小学生のときに岐阜に引っ越して、新参者としてアウェイな環境で生きてたんだ。

運動もあまり得意じゃないし、勉強はまあそれなりにできたけど、一番にはなれなくて。ずっと「自分は中途半端だし、何者にもなれない」というコンプレックスを抱えてた。でも、18歳の頃に芸術家の岡本太郎さんの本を読んでから「全ては自分の心の持ち方なんだ」と思えるようになって、少しずつ視界が開けたんだよね。

ー環境や能力に左右されない、自分の「在り方」こそが重要なのだと。

高井:

そうだね。僕がこのことを誰よりも信じているから、約40名のヒトカラメンバーと一緒に、企業の成長や地域の課題解決を後押しできるような「人を中心にした場づくり」を続けているよ。

さらに言うと、ヒトカラメディアの仕事は「場づくり」の枠にとどまらない。世の中の「複雑な課題」を解決するための「共創」を生み出すきっかけをつくることだからね。

同じテーマや目標をもった様々なプレーヤーが繋がることでムーブメントが生まれる。これからの世の中を生み出す新しい"うねり"を仕掛けていくことが、ヒトカラメディアがやるべきことだと考えているよ。

取材・文/馬場澄礼

編集/ヒトカラメディア編集部