月に一度、働き方おじさんこと「やつさん」が夜な夜な開催する「居酒屋やつ」。 働き方というキーワードに誘われ集まったメンバーに、あれこれ問を投げかけます。
今回のテーマは「あたらしい仕事が生まれるきっかけ」。テレワークの導入をきっかけに、複業がこれまで以上に馴染みのあるワークスタイルとなりました。また、ビジネスチャンスの気配を感じているという声もちらほら耳にします。
今宵は、ゲストスピーカーにメンバーは全員複業、運動する"場"から仕事を生み出している、リージョナルスポーツ代表理事の加藤さんを交えて、「仕事が生まれる環境、仕事を生み出す方法」について掘り下げていきます。
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー
「本業未満だけど趣味以上」の人が市場を開拓していく、アテンダーという仕事

▲一般社団法人リージョナルスポーツ 代表理事 加藤慶一(左下)
ー 今夜はお客さんがいらっしゃっています。運営メンバーの全員が複業という一般社団法人リージョナルスポーツの加藤さん。加藤さんは、元ヒトカラメディアのメンバーですね。積もる話もありますね。
やつ:そうだね、久しぶり。1年半ぶりくらいだっけ。この1年特にいろいろあったと思うけれど、どうだった?
加藤:お久しぶりですね。月〜木の4日間は都内の五反田で、業務委託という形である企業に務めながら、金〜日で一般社団法人リージョナルスポーツの運営をしています。リージョナルスポーツでは「運動する場を増やす」というテーマで活動していまして、今は逗子エリアを中心に、スポーツを体験してもらうイベントを企画しています。あと、水泳のコーチ業もやっていますね。
やつ:トリプルワーカーってこと?
加藤:ですね、トリプルワーカーです。ちなみにリージョナルスポーツは、今年で4期目を迎えました。2020年はコロナの影響をもろに受けまして事業は予想外の展開で大変でしたが、今では月に40回ぐらいイベントできるようになり、事業もいろいろ展開を広げられていますね。
やつ:すごい数のイベントですねー。となると、加藤さん以外の分身というか一緒にメインとなって動いているメンバーが居るってことですね?
加藤:そうなんです。今関わっていただいてるのは20人弱ぐらい。業務委託という形で携わっていて、メンバーは全員複業スタイルで。規模もちょっとずつ増やしている感じですね。
やつ:ちなみに、リージョナルスポーツではどんなイベントを企画しているんでしょう?

加藤:活動のテーマに「運動する場を増やす」を掲げているんですが、例えば、週末にお父さんがスポーツ少年団とかサッカーだけを教えてるじゃないですか。ああいうノリってもっと還元できるんじゃないかと思っていて。最近は、「アテンダー」という名前で、「本業未満だけど趣味以上」の一般の人を主体にイベントをアテンドしてもらう、っていう企画を逗子で中心に始めています。
実際の例でいうと、一般の主婦の方なんですけどトレイルランが好きな方がいて。その方をアテンダーをお願いして、走るコースの内容など全部決めてもらって逗子から三浦半島ずっと縦断するイベントを企画しました。33kmのトレイルランイベントなんですが、税込3300円の参加費で5名くらい参加申し込みがありましたね。
もちろん、アテンダーの方にもちゃんと報酬を還元しまして、今後こういうイベントを月間300本やろうと計画立てて動いています。なので、おかげさまで忙しくさせていただいてるっていう感じです。
やつ:いいですねー。さっそくだけれど、逗子ではアテンダーっていう仕事が生まれているんですね。ちなみに、ツアーガイドやイベンターとは何が違うんですか?

加藤:これには前段が必要でして。まず、一般の方が参加するイベントって大きく分けて3種類あると考えています。
1番浅いレイヤーが「体験する」イベント。体験会みたいなやつですね。2つ目が「習う/教わる」というイベント。勉強したい、レベルアップしたいっていうニーズへ訴求するのがこのレイヤーです。そして、一番深い3つ目のレイヤーがが「挑戦する」イベント。大会とか発表会がこれに当たります。
この中で、一番サービスとして世の中に普及しているのが、「習う/教わる」レイヤーのイベントなんですね。マネタイズもしやすいし、イベントの企画もしやすい。ただ、すでにある程度の興味を持った人を対象に企画するから、最終的にはパイの奪い合いになってしまうんですね。
これに対して、「体験する」レイヤーのイベントは市場を開拓できる。ただ、設計しづらいんです。プロが企画すると、どうしてもガチになってしまうから教えてしまう。だから例えばトレイルランだと、「走ること」ではなく「いい景色を見に行く」という目的で、トレイルランをしながらアテンドするっていうくらいがちょうど良いんです。
やつ:この3段階のレイヤーで分けるのは面白いですね。
加藤:そして、この「本業未満だけど趣味以上」っていう人は、自分の好きを発信したいっていうモチベーションを持っていることが多いんですね。そういう人にコンテンツをお願いすると、とても密度のあるコンテンツを作ってきてれるんです。
やつ:あ、これ、アテンダー自身にとっては、「挑戦する」レイヤーのイベントにもなっているってことなんですかね。「習う/教わる」レイヤーだった人が、ステップアップする手段としてもアテンダーがきっかけになるっていう。
ー アテンダーのお話には、今回のテーマである「仕事が生まれる環境、仕事を生み出す方法」の要素が含まれているような気がしますね。
豊かな暮らしのための複業。ファンが10人できたら小さな経済圏が生まれる

加藤:今回のテーマの"仕事が生まれる環境"について考えてきたんですよ。環境というか条件ですが、複業を生み出す条件はこんな感じかなと思っています。
個人として好きや趣味を“ちょこっと”超えた得意技
法人じゃなくて、個人に向けた“ちょっとした”サービス
世の中に“ありふれた”サービス
この中で、「世の中にありふれたサービス」であることが結構重要です。すでに市場があるところで始める。全く新しい事業を複業で始めるのは、難易度が高い。
次に、ToCサービスであること。個人がお金を生むのは個人向けのサービスだと思うんです。法人からお金もらうのは難易度が高い。
あと、これも大事なんですが、ちょっとした得意技があってそこにニーズがあれば、スペシャリストとしてサービス提供することが成立するんですよね。もちろん宅建士や弁護士みたいな国家資格が必要なものもありますけど、民間資格はなくてもできちゃう。
やつ:民間資格は、スキルを証明するものって感じだもんね。
加藤:そうですね、箔がつくのは良いんですが、必須ではない。最近あった例だと、社会人2年目の方にスマホのカメラ講座やってもらったんです。この方はプロカメラマンじゃないんだけど、すぐ6人ぐらい集まりました。内容も、やっぱりスキルが長けていると、知識も深いんですよね。意外と知らない機能が多い。しっかり講座として成り立つし、ちゃんと対価も発生させられる。
ー 集客方法が気になります。イベント情報が上手く広まらないと、集まる人も集まらないですよね。

加藤:その通りで、まず最初にぶつかる壁は集客なんですよね。「今日はお客さん明日は主催者」ってリージョナルスポーツではよく言っていることなんですが、はじめは人が集まっているところに相乗りするのがいいですね。同じ趣味を持つ人の界隈をターゲットにして小さく始める感じです。で、自分のファンが10人できたら、小さな経済圏が生まれます。
やつ:これって、主目的はお金儲けってよりは、豊かな暮らしのための複業って感じがするよね。自分のスキルが誰かの何かのに役に立って貢献できて、自分にも多少還元されて、っていうね。
加藤:そうですね。あくまでも「これで食っていくぞ」という本腰ではないことが前提ですね。これが、本腰入れて「これで食うぞ」っていう仕事にしようとすると、もっとしっかりマネタイズしないといけないから、ビジネスの設計方法が変わってくると思います。
その人のB面のスキルや魅力に触れることが、仕事が生まれるきっかけになる
加藤:仕事が生まれる環境でいうと、小さな経済圏のなかで「この前自分のイベントに参加してくれたあの人が主催しているイベントがあるから、参加してみようか」みたいな、ライトな感じっていう環境というのは、とても大事だと思いますね。
うちの近くに、結構活用されているレンタルスペースがあるんですけど、それこそ近所の主婦の方が産後ピラティスとか、なんか子供向けの何か音楽教室とか、いろんなイベントを回しているんです。まさに「今日のお客さんは明日の主催者」状態なんですよね。
駐車場では、マルシェが始まったりとか、これは何かクオリティうんぬんというよりは、街の人達が好きなことをやっているという状況。そこから、好きを超えた得意技が生まれている感じです。
やつ:このレンタルスペースっていうのがきっかけになっている気がするよね。でないと、公民館を取り合うか、誰かの家に行って誰かに負担かけることにになっちゃうっていう。
加藤:ですね。あと、イベントを通した「偶発的な出会い」もモチベーションにつながる大事な要素だと思うんです。たまたま開場で会った方が、実はトレイルラン好きで、めっちゃ走ってまして、みたいな。これは、Webの情報だけではちょっとわからないんですよ。
やつ:その人のB面のスキルや魅力が仕事が生まれるきっかけになる、ってことが全然あるってことだよね。それでいうと、B面に触れる頻度を増やすってのもポイントかもしれないね。


やつ:じつは僕が昨年の秋からDIYをやっていて。最初は、今住んでいるマンションの看板を作ったくらいだったんだけど、その事例が次の話を呼び込む形になって。古本市の本棚だったり、商店街の屋台だったり、最近いろいろ話が舞い込んできてます。
で、面白いのが、この動きをマンションの管理会社さんが察知して、マンションの1FにDIY工房を作ろうって話が出てきたんだよね。
加藤:やつさん住んでるマンションでってことですか?すごい巻き込み方だなぁ。
やつ:やりたいっていうきっかけをどう作るかだよね。工房の話も、僕が1人で工房欲しいって言ってても実現しなかった。だけど、古本市だったり屋台だったり、ムーブメントが発生して、管理会社が「これなら人を呼べるぞ」という期待するようになった。こうなると利害がだんだん合ってきた。
加藤:ちなみに、管理会社から何かフィーをいただいたりはしているんですか?
やつ:そこが現状の課題で、ここからどうやって利益を出していくかって考えているところ。実際に、管理会社だけじゃなくて、マンションの他の住民もなんとなくムーブメントを察知しているせいか、「DIYの相談に乗ってもらいたい」って話が出ているらしくて。
ただ、DIY工房ができても機器の扱い方とか最初はアテンドが必要なんだよね。となると、工房のメンテナンスは必要になってくるから、そこの役割担うよって感じでフィーを打診してるところですね。
オンラインを経由してのオフラインが生み出す、ワクワクする空気感

ー 仕事が生まれる環境を考えるにあたって、オンラインって結構重要そうですね。ちなみにオフラインはどうでしょうか?
加藤:複業を小さくスタートするには、オフラインのコミュニケーションが結構大事ですね。
オンラインって、自分から取りに行かないと情報取れないじゃないですか。さきほどの3段階のフェーズでいうと、「習う/教わる」や「挑戦する」っていうレイヤーの人でようやくオンラインを上手く使えるようになる。だから、複業のターゲットとして向いている「体験する」レイヤーの人は、なかなかオンラインじゃ見つけられない。
じゃあ、「体験する」レイヤーの人はどこで見つけるのか。経験からなんですが、圧倒的に「友達が連れてくる」ケースが多いんです。結構SNS中心に集客施策を売っているんですけど、「友達が連れてくる」に勝てなくてですね。アテンダーというポジションも、この経験から発想が生まれたんですね。
まず体験して、例えば山登りでもハマる人がいたら、その先はWebでもいいと思うんですよ。だからファーストタッチはどうしてもやっぱオフラインかなと思っています。
やつ:なるほどね。一方で、なにかテーマを絞った集まり、例えばセミナーとか勉強会については、最近のオンラインはすごいなと思うよね。場所というハードルがなくなるから、海外からの参加者と知り合いになることもあるっていう。
あと、オンラインを経由してのオフライン。このシチュエーションにアツさを感じてますね。初めて会うのに、「あなたが!」みたいな。ハジメマシテっていう関係値を一気に通り過ぎて「ようやく会えましたね!」っていう達成感を味わえる。これは、オンラインとオフラインを融合したシチュエーションならではだし、このすごくワクワクする空気感を、仕事を生み出すアクションの後押しにできるといいね。
--
編集:ヒトカラメディア 企画編集チーム
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー





