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2023/9/22

 [ オフィスゾーニング #2 ] カルチャー形成に寄与するオフィスゾーニング

ヒトカラメディアのプロジェクトで実際に提案した複数のゾーニング案を比較しながら、いかに配置やゾーニングによって働く人の行動や意識に変化を与えることができるのか?を探るシリーズ。第2弾は約30坪の小規模オフィスを深掘りしていきます。約30坪という規模感は“初めての自社オフィス”となるケースも多く、会社の基盤づくりの一端を担うと言っても過言ではありません。そんな小規模オフィスの空間づくりについて、今回は現場を見る前から4つものゾーニングパターンを引いていたというプランナー・江川郁美に訊きました。

ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー

――――4つのゾーニングについて伺う前に、まず、プロジェクトの背景について簡単に教えてください。

ヒトカラメディア・江川郁美(以下「江川」):こちらのクライアントさんは、今回が初めてのオフィスでした。これまではシェアオフィスを使われていたのですが、今後メンバーも事業もますます拡大していく計画があり、自分たちだけのオフィスを持とうということでした。会議室に加えて「ブース席を多めに設置したい」「働き方から考えたい」というリクエストを最初にいただいていたのですが、せっかく初めて自分たちのオフィスを持つのだから、いただいた空間要件そのままに作っても・・・という懸念があったので、もっとイメージを広げていただくために4パターンのプランを用意して提案させていただきました。

 

――最初のオフィスということもありますし、どうしても自分の経験値や体験からの発想やアイデアになってしまいますよね。

 

江川:そうですね。自分の頭だけで考えていたものがいざ図面や目に見える形になると「あれ・・・思っていたのとは違う」となったりするのは当然です。なので、まずはどんなプランが考えられるのかをお見せしたかったですし、自分たちだけオフィスを初めて作りこれからどんどん成長していこうというタイミングで働き方のバリエーションについても一緒に考えたいと思っていました。

1. A案:全社への情報共有で組織の一体感UP

江川:メインとなるワークスペースを真ん中にすることで、別々の仕事をしていてもお互いを何となく感じられるのがこのA案ですね。会議室は必ず1つは欲しいというリクエストがあったので、その要望は叶えつつ、ちょっとした相談が気軽にできるソファ席と、集中して作業したい時やオンライン会議で使えるひとり用のファミレス席を作りました。ファミレス席は完全に囲むのではなく、半オープンにしたところがポイントです。どこの場所にいても、働くみんなの顔が見えて「共有していこう」という意識を高めてくれるのがA案ですね。

2. B案:声をかけ相談し合いチームの一体感UP

江川:B案はA案と少し似ているんですが、会社全体というよりは“チーム”を意識してゾーニングしたパターンです。島を3つ作っているんですが、それぞれのデスクの端には気軽に座れるスペースを設けてあって、どの島にも声を掛けやすい仕掛けを用意しています。わざわざ会議やミーティングの時間を設定しなくても「ちょっと相談なんですけど・・・」って気兼ねなく話しかけられる空間を作りたいと思いました。

3. C案:メリハリをつけて生産性UP

江川:このC案は、クローズな空間とオープンな空間をしっかり分けてメリハリをつけながら働くことを目指したゾーニングになっています。ひとりで集中したい時はスペース奥のブース席へ。メンバーと話したり相談したりしながら働きたい時は手間のオープン席に。会議室を挟んで向こう側とこっち側では雰囲気がガラッと変わって感じられると思います。

4. D案:一緒に過ごし、お互いを知ることで安心感UP

江川:D案は、リクエストにはまったくなかったカウンター機能を付け足した案です。お客さんにとってここが初めてのオフィスになるわけですが、これからどんどん大きくなってメンバーも増えていくことを考えると、初期からいるメンバーと新しく入ってきたメンバーが繋がれる仕掛けを作りたいなと思ったんですね。このカウンターでコーヒーを飲みながら雑談してお互いのことを知れたり、買ってきたお昼を食べて近況を話したり、採用面接や商談前に飲み物をお出ししたり・・・そんなシーンが生まれるといいなと思いました。

5. 小規模オフィスの可能性

――最終的にD案に決定した理由はどんなところにあったんでしょうか?

 

江川:カウンターが決め手になったと思います。こういったカウンターって、機能として使えるというだけじゃなくて、これがあることで“そういうことをしてもいい空間”になりますよね。初めてのオフィスにカウンターがあればコーヒータイムの文化が根付くでしょうけど、なかったらその先にそういったカルチャーはできないかもしれない。誰かが食後のコーヒーを淹れていたら自分も飲もうかな…って他の誰かが寄ってくる、みたいなことも起きないかもしれない。自分の仕事に集中するか、会議室でミーティングするかの二択になってしまうかもしれないところを、カウンターがその余白を埋めてくれるんですよね。こちらのは今回初めてオフィスを構えるということで、そういったこともすごく大切に考えて決められていたように思います。

 

――最初に要件だけを取り入れた提案をしていたら、このカウンターは生まれていなかったということですね。

 

江川:そうですね。なので、お節介だったかもしれないけど4案も提案させていただいてよかったなと今は思います。

実は、ひとつの案件で4パターンも提案させていただくのは今回が初めてでした。これまでは最大でも3案だったんですが、今回は現地をまだ見ていない段階からプランがたくさん浮かんでしまったし、最初のお打ち合わせでクライアントさんから出た「働き方から見直してみたい」という言葉に思いっきり応えたいな、と思っていたら4パターンも生まれてしまいました(笑)。

 

――30坪の小規模オフィスでも、ゾーニングも働き方もこんなにバリエーションが作れることにも驚きました。

 

江川:オフィスとしては30坪って小さい方かもしれないけど、やっぱり面白いなぁと今回改めて思いました。初めてオフィスを持ちます、という会社さんも多い規模感なので、すごく大事な役目を背負いますし、この先この会社がどうなっていきたいのかを一緒に考えながらしっかり反映させていく必要があります。

 

――この先、その会社のカルチャーや歴史が作られていく最初の一歩、という感じですよね。

 

江川:まさにそうです。プレッシャーは感じますが、初めてのオフィス作りに携われて楽しいですし、今回クライアントさんにも「オフィス作りが楽しかったです」と言っていただいたことがすごく嬉しかったですね。これからも30坪オフィスの可能性を探っていきたいと思っています。


編集/ヒトカラメディア編集部