IDEA
2024/10/29
【メンバー座談会】 働く街としての渋谷を徹底分析! さらに”スタートアップファーストの街”を目指して
コロナがひと段落し、街に活気が戻ってきました。働き方もリモートワークから、ハイブリッドワークや週5日出社などオフィス回帰の流れになってきたようです。そうした中、オフィスを渋谷エリアに構える企業がスタートアップを中心に再び増えてきていることをご存じでしょうか。今回は、渋谷のオフィス事情に詳しいヒトカラメディアのメンバー4人が集結。「オフィス移転」「オフィスビル企画」「スタートアップエコシステム」という3つの視点から、現在の“働くまち”としての渋谷、スタートアップ企業にとっての渋谷を徹底的に掘り下げていただきました。
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー

1. スタートアップの聖地としての魅力が再燃?
――まず、現在の渋谷エリアのオフィス物件の状況をどのように捉えていますか。
上岡貴弓(以下「上岡」):コロナが収束し、オフィス回帰の流れになっている中、渋谷エリアに戻ってきた企業は多いです。データをみても、ファクトベースで空室率は下がってきていますし、現場でお客様に物件を紹介して行く中で「渋谷で紹介できるオフィスが減ったな」と肌感覚でも感じます。
――ほかの街ではなく「やっぱり渋谷」と思わせる理由は何でしょうか。
上岡:言わずもがな、高い利便性がまず理由として挙げられます。採用効果が期待できますし、営業観点の足回りも良い。また、渋谷にオフィスを構える企業はスタートアップやベンチャーが多いのですが、経営者同士で壁打ちしたり、お互いの事業について話し合ったりする際にやっぱり近くにいたいよね、という理由もあるようです。
また、2000年代初頭にオフィスを構えるサイバーエージェントやGMOなど有名なIT企業が数多く集積していたこともあり「スタートアップといえば渋谷だよね」という暗黙知もあるでしょうね。
前田勇輝(以下「前田」):それで言うと、ビットバレーと呼ばれていた当時はクリエイティブ系、デザイン、エンタメ企業が多かったのですが、現在はそれらの業種とコラボレーションしたいという企業も増えてきたなという印象があります。外資系企業も、日本法人を作るとなると、やはり渋谷は候補になりますし、人材確保の観点でも人気エリアだと思いますね。
――オフィス回帰の流れについてはどう見ていますか。
上岡:オフィス回帰の流れが生まれているひとつの理由になるかもしれませんが、スタートアップへ出資しているVCがスタートアップに対して「オフィスを構えてほしい」と要望を出すケースが増えているみたいです。出資している立場として、リアルなオフィスの雰囲気や活気、違和感が無いかを見たい、リアルコミュニケーションを重視してほしい、などの思惑があるのでしょう。一方で、そういった要望を受けたスタートアップ側も、リモートワークが中心になってしまうと社内でも「熱量が伝わりにくい」という課題も感じていたようです。また、エリアでいうと桜丘エリアは人気に火が付いたと思います。やっぱり『Shibuya Sakura Stage』が開業になったことが大きく、新南口の利便性は確実に高まりました。
前田:『Shibuya Sakura Stage』では外資系企業が多く入居されていますね。
上岡:国内スタートアップでいうと、Sansanさんのような人材系も多く入居しています。
――神南エリアはいかがでしょうか。
上岡:そうですね。アパレルショップが多く、オシャレな雑貨店やカフェが多い神南エリアですが、デザイン事務所やホテル業界などのオフィスが多いですね。
――渋谷エリアが人気になっていくと坪単価も気になります。
前田:トレンドとして、スタートアップにはセットアップオフィスが現在人気ですが、『Shibuya Sakura Stage』にあるセットアップオフィスは都内での過去最高値を更新しています。通常フロアも丸の内並みの坪単価になっていますね。
上岡:渋谷エリア全体で坪単価は今後もっと上がっていくと思います。個人的には、来年にもコロナ前の水準に戻るのではと予測しています。
2. 渋谷のワーカーがいま”働く場”に求めるものとは?
――ヒトカラメディアが商品企画やリーシング支援などを担う新築のオフィスビルも、近々神南エリアに竣工になりますね。
寺久保咲里(以下「寺久保」):はい。まだ詳細をお伝えできないところも多いのですが、地上10階建てのオフィスビルが建設中で、ヒトカラメディアでは商品企画やリーシングだけでなく、施設運営や一階飲食店の店舗リーシングも担います。
オフィスの在り方は、コロナ禍を経て、ますます多様化する働き方に対応することが求められていますが、このオフィスでは、専有部はもちろん、ラウンジや屋上、会議室、テレカンブースなどがある中で、その日の気分や業務内容によって適した場所で働いてもらえるようさまざまな仕掛けを施しています。
――たとえば、どんな工夫をされているのですか?
寺久保:本ビルは主にフレキシブルオフィスで構成されるのですが、専有部は1〜19名までの多様な大きさを用意しています。入居者専用のラウンジも、人数ごとにA、B、Cとカーテンで仕切ることができるので利便性も高く、必要に応じて一部または全エリアを貸し切りにすることもできます。また、テレカンブース18室、会議室6室を用意しており、それぞれ制限なく無料で利用できるなどの特徴もあります。
あとはやはり、ビルの目の前にある公園との融合ですね。建物の中は、中心部を吹き抜けにすることで、建物にいながら外を感じられるような設計にしているのですが、さまざまな場面で公園との一体感を感じていただけるのではないかと思っています。一階の店舗リーシングもヒトカラが行っていますが、サンドイッチカフェを誘致して街に開かれた場所になるようデザインにしました。
上岡:このオフィスでは家具が備え付けですし、テレフォンブースと会議室、ラウンジも無料というのが良いですよね。他のシェアオフィスやフレキシブルオフィスで、テレフォンブースが埋まっていて使えなかったり、会議室も従量課金制だったりするので、不便さを感じたり、毎月のコストが余計にかかってしまうなどの課題が生じることがあります。これから入居されるお客様には、十二分にコストメリットを感じていただけるんじゃないですかね。家具も有名メーカ―さんのものが備え付けられているため、例えば、オフィスチェアも座り心地がいいものを使っていますし、居心地がいいオフィス環境になっていると思いますよ。
3. スタートアップの成長をバックアップする機会と場を提供する
――同じく渋谷で、スタートアップ企業を支援する施設もちょうど立ち上がりましたね。
白石優美(以下「白石」):はい、渋谷にスタートアップ向けのコミュニティスペースを準備中で、いまプレオープンを迎えたところです。ヒトカラメディアは構想の段階から企画を行い、実際にコミュニティマネージャーを配置して施設運営やコミュニティ醸成までも行なっているのですが、私たちはこのプロジェクトで”スタートアップに本当に必要な支援とは何か?”を徹底的に考え、それを実践していける場にしていこうと考えています。
――このプロジェクトの立ち上がりに際しては、スタートアップやベンチャーキャピタルへのリサーチを相当行ったと聞きました。
白石:そうですね、課題の本質を探るためにヒアリングはたくさん行いました。そこから見えてきたことは、スタートアップの課題はやはり「ヒト・モノ・カネ」に集約されていく、ということでした。「モノ(オフィスやアセット)」という文脈に対しては、低価格でのスペースの貸し出しやアセットの提供、「カネ」という面では連携VCとの支援も行なっていきつつ、その上で、今回のこのコミュニティスペースでは「ヒト」に最も着目して、人材の流動性を上げることを意識した場にしようと考えています。スタートアップ同士のタテ・ヨコのつながりはもちろん、事業会社、VCとも密に連携できる後押しをしていければと思っています。
――具体的にはどのようなコンテンツ・イベントなどを企画していますか。
白石:基本的には、メンバーシップに参加してくださるVCや事業会社、行政・協会などとも連携してコンテンツを提供していきます。内容はまだ企画段階のものばかりですが、例えば、少し先を行く先輩スタートアップたちとのクローズドなトークセッション、CxO人材に特化した採用イベント、スタートアップと連携したい事業会社のリバースピッチなど、「タテ・ヨコ・ナナメ」のつながりを生みだすイベントやプログラムによって”スタートアップファースト”になるような場を目指していきたいと考えています。
渋谷はもともと”シブヤ・ビットバレー”などと呼ばれ、ITの聖地とされてきましたが、現在は100年に一度と呼ばれる大型再開発の真っ只中です。そのおかげで大規模オフィスの供給数は増えました。その一方で、新産業の担い手であるスタートアップの活動拠点が減っていってるという課題もあります。このプロジェクトの計画当初から念頭に置いていたのは、渋谷全体のスタートアップエコシステムにどうやって寄与するか、ということでした。このスペースだけでなく、さまざまな場所やステークホルダーと連携しながらスタートアップの成長をバックアップしていく座組を構築して、再び、スタートアップが輝ける街・渋谷になればいいなと思っています。
取材・文/太田祐一
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー





