PROJECT
2023/2/28
シェアオフィスとコワーキングスペースのいいとこ取り。 六本木の複合施設『Kant.』から提案するco-officeという新しいスタイル
ワークラウンジ、オフィス、カフェ&ミュージックバーラウンジで構成される六本木の複合施設『Kant.』。ヒトカラメディアではその4階と5階で展開するワーキングスペース『Kant. co-office』の企画をし、運営も担っています。企業ごとの専有部のほかに140坪の共用部があり、ハイブリットワークを推進する企業のパフォーマンスを最大限引き出すよう企画/設計しています。シェアオフィスでもなくコワーキングスペースでもない、新しいスタイルのco-officeはどのようにして生まれたのか・・・。運営やリーシングを担当する2人のメンバーに話を訊きました。
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー
伊藤 陵
1.そもそもco-officeとは?

――まずはじめに、『Kant. co-office』において、おふたりがどんな役割を担当されているか教えてください。
伊藤 陵(以下「伊藤」):僕はコミュニティマネージャーとして、『Kant.』の入居者さん同士や企業間のコミュニケーションづくりを担っています。形としては“半常駐”のスタイルを取っていて、週の半分くらい『Kant. co-office』に常駐して、Slack等のコミュニケーションツールも使いながら、どんなコミュニケーションが生まれると入居者さんにとって良いのか、というのを常に考えながら日々アクションを続けています。
山下真一郎(以下「山下」):僕はリーシングを担当しています。開業前から、この場所にどんな企業さんを誘致しようか、そのためには何が必要なのか、という企画段階から関わって、実際にお客さんをご案内してフェーズアップし、契約に向けて調整するところまで担っています。
――そもそも『Kant. co-office』とはどんなワークプレイスなのでしょうか?
山下:シェアオフィスとコワーキングオフィスの違いを簡単に言うと、専有スペースの有無です。なので、『Kant. co-office』はシェアオフィスの形式のオフィスになります。ですが、従来のシェアオフィスって、共有部分が狭くて混雑していたり、会議室が有料で予約しにくいところが多いんですよね。シェアオフィスと言っておきながら、“シェア”できるものを十分に提供できていない。一方で、コワーキングスペースも利用時間に制限があったり、複数人の法人が働く場所としては専有個室も欲しいといったニーズがあります。
『Kant. co-office』を作る時、僕たちはシェアオフィスとコワーキングのメリット/デメリットを洗い出しながら、コロナ禍を経た今どんなワークプレイスが求められるのか? をリアルな肌感を基に話し合いました。その中から生まれたのが『Kant. co-office』なんです。シェアオフィスの“シェア”の部分を強化して、コワーキングスペースの良いところを採用した“いいとこ取り”のワーキングプレイスです。専有スペースとは別に約140坪の共有ラウンジがあり、貸し切ると大人数での会議や集まりに対応でき、会議室やフォンブースも無料で利用できます。ドロップインや他拠点利用がないので決められた同時利用数までは確実に共用部の席を確保しており、24時間自由に利用可能です。ただ、事業の観点からすると、共有部を狭くして占有部を極力広くした方が収益はあげやすいので、実は『Kant. co-office』はとても難しい商品設計ではあります(笑)。でも、このco-officeというスタイルに価値があると思っているので、日々収益性の確保と利用しやすさのバランスを考えながら今後も企画をしていきたいと思っているところです。
2.『Kant. co-office』で今、起こっていること

――ワーキングプレイスの在り方を徹底的に考え抜いて作られたんですね。その甲斐もあり、まだ開業から1年足らずですが素敵なコミュニケーションやコラボレーションが生まれているそうですね。
伊藤:やっと少しずつ生まれてきた感じですね。入居企業の総務を担当されている方同士がランチをご一緒されて情報交換されたり、オンラインカウンセリングサービスをされている『cotree』さんが入居者さん向けのサービスを開始されました。今年のお正月には地域の方も一緒に餅つきもしましたね。
山下:今日たまたま入居をご検討されている方を『Kant.』へ内見でご案内していたのですが、エレベーターで一緒になった入居者さんがそのお客さんに「ここ良いですよ!」と言ってくれたりするんですよね。1階のカフェ『common』をご案内した時も、運営会社が異なるにも関わらずスタッフの方が『Kant. co-office』のことを丁寧に話してくれて……。『Kant.』はちょっと特殊な複合施設で、ビルのフロアごとに業態も違えば入居されている企業の業種もぜんぜん違うし、運営も3社が共同で行っています。その一体感というのが絵に描いた餅じゃなく実感として湧いてきているところですね。一般的にリーシング担当者って、入居時の契約が終われば関係なくなり疎遠になりがちですが、会うと挨拶をしてくださる方がたくさんいるし、「Kant.って他にも拠点ないんですか?」と聞いてくださる方もいて、本当に嬉しいしありがたいことです。
3.これから求められるワークプレイスとは?起こっていること

――今後は、どのようなワーキングプレイスが求められると思いますか?
山下:『Kant.』の企画を始めたのが2021年の夏くらいだったと思うのですが、その時はちょうどコロナ禍で緊急事態宣言が出ているタイミングでした。このままテレワークが定着するのか、出社に戻るのか分からない。だけど、みんな一度は強制的にテレワークを経験したよね、という状況の中で、『Kant. co-office』はテレワークをベースとしながらも快適かつフレキシブルに働けるスペースを目指しました。でも、ここ数ヶ月で流れはまた変わってきているように思いますね。
――出社前提に戻ってきている?
山下:そうですね。そっちに揺り戻しが来ている感じがしますし、出社数を増やしたり推奨したりする企業が増えている印象です。でも、ワーカーは完全テレワークに一度振り切った経験しているので、簡単には戻れなくなっている。となると、求められるのは“出社率が上がるオフィス”なんじゃないかと思っています。仕事のためのオフィスというよりは、それ以外のものに価値や楽しみを見出すことが大事なポイントのひとつかもしれないです。
――なるほど。どこにいても働けることが分かってしまったので、オフィスは働くために行くのはもちろんですが、それ以外の要素がより大事になってくるということですね。
伊藤:僕もそう思います。たとえば20人がオフィスに出社して、そのまま20人だけで仕事していても以前と何も変わらないような気がします。そういう意味でも、『Kant. co-office』に入居されている方には“シェア”の部分を使い倒してもらいたいし、そこで生まれるコミュニティを楽しみきっていただきたいなと思っています。でも、コミュニティもビジネスマッチングもまずはそういった状況が生まれる土壌がないと育たないと思うので、入居者さんの声を聞きながら日々コツコツとこの場所を耕していきたいと思っています。

編集/ヒトカラメディア編集部
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プロジェクトメンバー
伊藤 陵





