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2024/4/30

良質な本に触れ、学びと仲間の交わる場に。 有志&クラファンで立ち上げた、人事の仕事をする人のための図書館

東京・人形町に『人事図書館』という新しいかたちの図書館が誕生しました。この場所は人事や働き方にまつわる書籍が約1500冊が収蔵された図書館であると同時に、人事の仕事をしている方たちが集い、学び合い、語り合うコミュニティスペースとしての顔も持っています。壁一面を埋め尽くす造作の本棚は圧巻。地名に“人”が入っていることからこの場所を選んだという館長・吉田洋介さんとヒトカラメディアの空間プランナーと共に、たくさんの人の声とアイデアを集積しながら進んでいった今回のプロジェクトを振り返ります。

1.人事を仕事にする人々が集い、学び合う場所

――まずはじめに、人事図書館について教えてください。人事の方のための交流の場所として図書館を作りたいというのは以前から構想としてお持ちだったのでしょうか。

人事図書館・吉田洋介 様(以下「吉田」):本当に図書館を作ろう!と真剣に考え始めたのは、実は去年の10月くらいなんです。理由は3つあり、1つは人事に関する先人たちの知見を広めたいと思ったことです。世の中には良い理論が沢山あるのにそれを使わずに失敗しているケースがとても多い、これはもったいない、と感じていました。2つ目に孤独に苦しんでいる人事の方と多く出会ってきたことです。人事の仕事は開示しづらい事も多く、すぐに周囲に相談できず困った時にリアルに相談できる場が必要なのではと思っていました。最後の理由は私の家の本棚がいっぱいになり、もうこれ以上入らないからどこか新しい場所をつくろう、と思ったことです。仲間が集いながらコミュニティを作っていくのも好きだったので、それらを掛け合わせたら交流できる図書館という発想に繋がっていきました。

▲人事図書館 館長 吉田 洋介 様

――ヒトカラメディアのことはどのように見つけてくださったんですか?

吉田:ホームページを拝見したのが最初です。でも実は、その前にいくつか別の会社に見積もりを依頼して図面やパースを出してもらっていました。でも、何というか「座席はいくつ必要なんですか?」「本棚は何冊くらい入るものが必要ですか?」みたいな会話から打ち合わせがスタートして、翌週にはもう図面とパースが出てくるみたいな・・・。それが間違っていたわけではないし、必要な機能としてはそうなんだけど、どこか違和感を感じてしまったんです。

人事の仕事をずっとやってきたなかで“これは何のためにやるのか”とか“何を大事にするのか”“何を実現したいのか”ということを大事にしていかないとちゃんと進められないと思っていたんですね。たとえば、施策として1 on 1をやりましょうとなって、ただ上司と部下が無理やり一緒にさせられても何も起こらないけど、お互いに目的や意義を共有できていたらものすごく良い反応が起こるみたいな。人事図書館という場所を作ろうってなった時に、ここで何が起こったら嬉しいのか、何を実現していきたいのかということに関心を払わない人と一緒にやるのは難しいと感じました。そんな時にヒトカラさんのWEBサイトを拝見して、この会社は良い意味で様子がおかしいぞ、と(笑)。

ヒトカラメディア・小島亮(以下「小島」):その時点ですでにバレてたんですね(笑)。

吉田:はい。そして、その予想を裏切りませんでした(笑)。

2.カラースキームをヒントに、心の火種を絶やさないゾーニングを構築

――プランニングを始めるにあたり、人事図書館を作るためキックオフイベントにも参加させていただきワークショップを開催させていただきましたね。

ヒトカラメディア・江川郁美(以下「江川」):はい。未来の利用者さんの生の声を聞いて、人事図書館がどんな場でありたいかをより具体的にイメージするチャンスだなと思って、ワークショップをご提案しました。パネルを用意して、付箋に「どんな人と」「どんなコトを」「どんな場を期待するか」などを書いていただいて、いろいろなアイデアや意見を集めていきました。

――ワークショップを受けてどのように空間のプランニングに落とし込んでいったんですか?


江川:吉田さんが、人事図書館の立ち上げ準備をされている過程で、そのコンセプトをカラースキーム(=色彩設計。色の持つ心理的・生理的な性質を利用してまとまりのある雰囲気を作る作業)に落とし込んでいらしたんですね。それとワークショップで集めた声やアイデアをもとにプランを作り上げていきました。色は5色ほど選ばれていたんですが、青色は“学び”だからじっくり本と向き合える空間に、黄色は“仲間”なのでソファに腰掛けてゆったりと、通りがかる人と視線が交わるように配置したり。人事の方がここに来ると、同じ悩みを抱える誰かと繋がることができて、一人ひとりの思いや種火をだんだんと燃やしていける場所になりたい・・・という皆さんの思いにすごく共感したので、それをゾーニングやデザインにも生かしていきました。

吉田:設計のプランは3案頂いたのですが、どれも意図がはっきりしていてとても有難かったですね。これを大事にしたらこのプランだし、この方向性を重視するならこっちです、という提案だったので、自分の意図も整理しながら相談することができました。今回はスペースがそこまで広くはないので、空間をあまり仕切らないで広がって見せたい、ひとつの空間の中でコミュニティを作っていきたいという思いがあり、今の空間に落ち着きました。

――造作の本棚は存在感がありますね。人事図書館の象徴になった気がします。

吉田:ここは図書館なので、やはり本棚にはこだわりたいなと思っていて、「本の森に囲まれているような感じにしたい」とご相談していました。予算の都合ですべてを造作には出来ませんでしたが、逆に本棚の位置や置き方を気軽に変えることができるようになったので、結果的に良かったと思います。本はどんどん増えていく予定なので、これから色々試してみたいなと思っているところです。

それと、ワゴンをみんなでDIYできたのもすごく良かったですね。企画展示をするための何かが欲しいです、というリクエストに対して「ワゴンをみんなでDIYしませんか?」とご提案いただいたんですよね。

江川:すべて造作で作ることは費用的な難しさもあり、今回はDIYワークショップを実施してみなさんと一緒に作らせてもらったんですが、参加してくださった方が「自分が作ったワゴン!と心の底から言えます」とおっしゃっていてすごく嬉しかったですね。空間を汚す、じゃないけど自分の手が加わることで特別な愛着が湧いたんじゃないかと思います。

3.デザインは2番目。まず”人が何を志し働いているか”から考える

――今回のようなコミュニティスペースと通常オフィス、空間デザインを行っていくにあたり、アプローチや考え方の違いはあったりするのでしょうか?

小島:ほぼ同じですね。ヒトカラメディアの空間プランニングって、機能性やデザインを考察するだけではなく、人が使う場所として「使う人がそこにどんな行動や意識を求めているのか」そして「それらをどう空間で誘発していくのか」「そこにいる人が何をしているのか」ということを考えます。この考え方はある種僕らの癖みたいになっていますね。

今回ももちろんそんなふうに考えていったわけですが、通常のオフィスと違ったことというと、人事図書館は一組織が使うオフィスではなく不特定多数、しかも1日24時間人の出入りが想定されていたので、セキュリティの面や機能的にちゃんと場が運営できるかという点でクリアしなければいけないことは多かったですね。でも、そのあたりはこれまで『SYCL by KEIO』『Kant.』などのワークプレイスを手掛けてきた経験や知見がいかせたと思います。


江川:通常のオフィスを作る際にも、できる限り実際に使われる方の声やアイデアを聞いて、会社ごとのカルチャーや大事にされていることが実現できるようにアウトプットしていますが、今回は吉田さんだけではなく、準備室やスタッフの方とたくさん会話する機会をいただけたことがありがたかったですね。

吉田:無茶なお願いばかりで大変でしたよね?

江川:いえいえ!人事図書館ならではの体験価値にこだわれて楽しかったです!どんな場所に育っていくのか、これからも楽しみにしています。今回はありがとうございました。


取材・文/ヒトカラ編集部