• HOME
  • navigate_next
  • ヒトマガ
  • navigate_next
  • 歴史あるフォントメーカーの挑戦を加速させる、創造的空間の作り方

  • PROJECT

access_time

2023/8/3

歴史あるフォントメーカーの挑戦を加速させる、創造的空間の作り方

東京・岩本町に本社を構える株式会社イワタは、創業から100年以上にわたり革新的かつ品位の高い書体を生み出してきた企業。社名は知らずとも、新聞で使用されている書体をはじめ、きっと誰もが目にしたことがあり、普段の生活の中で頻繁に接している数多くの文字がイワタによるものです。今回、そのイワタが東京本社を全面的リニューアルすることになり、その内装設計とプロジェクトマネージメントをヒトカラメディアが担当いたしました。 リニューアルを進めていくにあたって最大の障壁となったのは、空間とコミュニケーションを分断していた大きな本棚と、スペースを強力に圧迫していた膨大な紙資料。それを解決しながら、オフィス空間、そしてイワタの未来にどんな変化をもたらすことができたのでしょうか。

1.過去の挑戦があるからこその”今”を表現する

▲株式会社イワタ 代表取締役社長 水野 昭 様(右)

――まず、今回のリニューアル計画がどのような背景で持ち上がったのか、教えていただけますか。

イワタ・水野 昭 様(以下「水野」):改装の理由は大きく2つあって、1つは増員対策、もう1つは社員の働く環境をなんとか良くしたいという点です。リニューアル前の空間をご覧になっていただいているのでご存じかと思うのですが、以前はものすごい量の物が溢れていて、それがもう限界で耐られない状況になっていました。あと、フロアのど真ん中に大きな書棚があったのもご存じですよね? 天井近くまでの高さの書棚だったんですが、執務スペースの見通しも悪く、誰が出社しているのか分からなくて意思疎通の壁にもなっていました。単にリニューアルしてキレイにするだけではなく、風通しが良いコミュニケーションが生まれるような、そういった工夫のあるオフィスにしたいと思いプロジェクトを発足したのがちょうど1年前くらいでした。

 

――リニューアルにあたって、イワタさんが社内でアンケートを取られていたり、要件やポイントをまとめてくださっていたそうですが、ヒトカラメディアとしては、それを踏まえて課題をどのように整理したのでしょうか。

 

ヒトカラメディア・佐藤亮一(以下「佐藤」):最初に考えたのは、イワタさんから最初にいただいた資料にあった“伝統と挑戦”というキーワードについてです。創業から100年以上の歴史があるイワタさんですが、その中にはずっと挑戦してきた過去があると思ったんですね。過去のチャレンジや新しい試みがあるからこその“今”というか。なので、新しいオフィスにおいては、伝統と挑戦の両方をきちんと感じさせることが大事になってきそうだな、というふうに最初の頃から思っていました。 

ヒトカラメディア・辻村茉樹(以下「辻村」):そうですね。守るものは守り、新しい風を吹かせるためのレイアウト、デザインって何だろう? というのを最初にものすごく考えました。そこで最初に思いついたのがエントランスをショールームにするというプランでした。

イワタ・杉山陽介 様(以下「杉山」):もともとエントランスからすぐの場所に会議室を設けるイメージはなかったのですが、エントランスをショールームのようにするというアイデアもなかったので、最初にご提案いただいた時はびっくりしました。昔の母型や活字って、僕らからしたらいつも当たり前のように触れてきたもので、何だったらこのリニューアルをきっかけに「この際、何もかも捨てちゃおう!」とさえ思っていたんです(笑)。

▲株式会社イワタ 第二営業部 主任 杉山陽介 様(左)

佐藤:会議室の在り方を考えても、ショールームは絶対にあった方がいいと思いました。僕らはプランを考える時に、よく勝手にシミュレーションするのですが、今回で言うと「まずお客さんがエレベーターで上がってくるよね?」「そうそう、それから内線でイワタさんの担当者を呼んで・・・」「そのあと、担当者が出てくるまで暇だったりするよね?」とか、みんなで話しながらこの空間の使われ方やシーンのイメージを広げていくんですね。

ここにショーケースがあって活字や活版が飾ってあれば、お客さんと対面した時に会話のフックというか、打ち合わせや商談のアイスブレイクになるかもしれないし、コミュニケーションを取りながらそのまま会議室へ入っていくことができる。過去の歴史に触れながら未来の話をしていくっていう流れがここで作れるんじゃないかなって思ったんです。

ヒトカラメディア・小島 亮(以下「小島」):僕らはそうやって「この空間の中で皆さんがどういう状況で、どんな時間を過ごしていると、会社のビジョンやバリューを体現できたり、表現できたりするかな?」っていうのを考える癖があるんですね。それと同時に、第三者だからこそ分かることや見えることもあると思っていて。それが今回でいうショールームのところかなと思うんですが、その両方を大切にしていきたいし強みにできたらといつも思いますね。

 

水野:今回、リニューアルをお願いするにあたって何社かに相談したのですが、ヒトカラさんの提案が他社と違っていたのは、まさにその部分でしたね。

 

杉山:そうですね。要件を満たすだけのプランではなく、思想やコンセプトを語ってくれたところが一番の決め手でした。


イワタ・小澤 裕 様:ヒトカラさんの提案は「私たちはこういうふうに思うんですけど」というのが明確で、私たちと同じ立場に立ってどんなオフィスになると次に繋がるのか、というのを一緒に考えて下さった気がします。

         

2.向き合っていても集中できる「ブーメランデスク」とは? 

――リニューアルプランをご提案した際、フロアの真ん中に配置しているブーメランデスクがあったこともポイントだったと聞いているのですが、これはどういった什器になるのでしょうか?

 

辻村:向かい合って座る広いテーブルなのですが、角度がついているので対面の人と近いんだけど目線が合い過ぎることもなく自分の仕事に集中できて、必要な時には気軽に話しかけやすい距離感のあるというものです。

イワタさんの以前のオフィスは固定席で、しかも高い本棚に囲まれていたので、個々が集中しやすい環境ではあったと思うんですね。なので、リニューアル後も集中できる空間やそのための工夫がないとせっかくの席が使われなくなったり、フリーアドレスの良さが出なくなったりするかもしれないと思っていました。

 

イワタ・本多育実 様(以下「本多」):そうなんですよね。急に裸にされたみたいになって、集中できるかな・・・という心配はリニューアル前から持っていました。実はリニューアルのプロジェクトが立ち上がった当初、私たちデザイン部は個別のブースや壁が欲しいとリクエストしていたんです。でも、完成してみたら全然違和感がなく、隣の席が遠いわけでも近いわけでもなくて、高い本棚がなくなったことでオフィス全体が明るくなったので、デザインをする上でも実際の色味や見え方を検討しやすくなり助かっています。パーテーションがなくても十分に集中もできますし、作業が伸び伸びできるようになりました。

3.”変えていける”という確信に満ちた空間

▲株式会社イワタ デザイン部 主任 本多 育実 様(左)

――リニューアルが完了して約2ヶ月ほど経ちましたが、今はどんな変化を感じていらっしゃいますか?

 

イワタ・畑中良太 様:私は中途採用で入社して2年目なのですが、コロナ禍で出社が制限されている中で入社したので、他のメンバーと対面で会話する機会がほとんどありませんでした。チャットはあったんですが、チャットで話すのと実際に話すのとは入り方がけっこう違いますよね。今回リニューアルされたことで、誰にでも話しかけに行けて、サクッと質問できるのは私にとってかなり嬉しいし、大きな変化です。

 

杉山:良い意味での無駄話が増えましたよね。そのへんで雑談をしている場面を見ることが増えたし、そこに「ですよね!」って途中からでも入っていけるような雰囲気になりました。

 

本多:コミュニケーションは確実に増えていますし、取りやすくなってますね。営業さん同士ってこれまでも会話が多かったと思うんですが、デザイン部とエンジニアってどうしても会話のきっかけを持ちづらい感じがあったんですね。それが今は劇的に減った気がします。

 

杉山:営業部も、実は何だかんだ両サイドの人としか話していなかったんですよ(笑)。高い本棚や仕切りを超えてわざわざ話しかけにいくって、同じ部署でさえ躊躇してしまったり億劫に感じてしまう時があります。でも、今は部署を超えた“ごちゃまぜ感”が少しずつ出ていて、それがこれからどんどん増えると、組織としてもっと面白いものになるのかな〜とは思っているところです。

――わざわざ報告したり共有したりしなくても、何となく「あの人、今ああいう仕事しているんだな」とか他部署の空気が垣間見える感じはすごく大事ですよね。

 

杉山:その通りですね。そんな空間に感化されたのか、私は以前はずっとスーツで出社していたのですが、今は必要な時以外は着なくなりました(笑)。以前の環境のまま、もしくは、こちらの要件をただはめ込んだだけの空間になっていたら、ひょっとするとまだスーツを着ていたかもしれないですが、空間がこのように変わったことで、会社としてこれからますます挑戦しながら“変わっていい”し、“変えていける”という雰囲気には確実になっていて、それに引っ張られている感じがすごくします。

 

小島:それは嬉しい限りですね。リニューアルしてまだ2ヶ月なのに、今日は、皆さんがご自身の言葉で僕らを余裕で越える熱量でオフィスを語ってらっしゃって、すでに自分たちのものにされていらっしゃるのがすごく伝わってきて熱くなりました。ありがとうございました。

 

杉山:こちらこそありがとうございました。本当にお世話になりました。 

【リニューアルしたオフィスの全貌はこちらから】


編集/ヒトカラメディア編集部