PROJECT
2022/2/28
「カッコよく、働こう。」コミュニケーションエンジンとなり関心を生み出す - 株式会社ACRO様
今回は、化粧品ブランド「THREE」「Amplitude」「ITRIM」「FIVEISM × THREE」の開発や、製造販売を行う株式会社ACRO様のオフィスプロジェクトを振り返るインタビューをお届けします。
コロナ禍でリモートワークが浸透したことなどを理由に、オフィスを2拠点6フロアから、1拠点2フロアに縮小することを決定。約7割のスペースを削減し、2021年12月に移転が完了しました。
リニューアル後は、これまで拠点がバラバラだった各ブランドの社員が同じフロアで働くという新たな環境のなかでは気づきも生まれているよう。インタビュー後半では、「時代の美を創る」という理念の下で、「カッコよく働こう」と旗を振るメッセージの真意に迫ります。
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー
オフィス移転で、働き方改革を加速させる
ーオフィスが新しくなって1ヶ月経ちましたね。新オフィスで働いてみた感想はいかがでしょうか?
山﨑恵さん(以下、山﨑):「本当に実現できた!」というのが率直な感想です(笑)。というのも、正直なところ不安でいっぱいでした。
なにせ、商品や試作品の収納場所が多く必要になるにも関わらず、約7割のスペース削減だったので、フロア内に全てがおさまるのかどうか……と。
ACROでは、2021年から2023年にかけて「空間」「場所」「時間」「情報」「ロイヤリティ」の5つの視点で働き方改革を進めています。
働き方改革の初手となるオフィスリニューアルが実現できて嬉しいです。これでまた一歩前進です。
岩永智史さん(以下、岩永):個人的な感想になりますが、なんというか、誇らしい気持ちです。
これまで2つのビルを行き来していたオフィスが1つになり、ブランドごとに分かれていたフロアが統合もできました。これは本当に大きな変化です。


▲各ブランドの社員が肩を並べて働く、フリーアドレスの執務スペース。
岩永:そして、在宅と出社のハイブリット型ワークを前提に設計されているので使いやすいですね。
こもって集中作業のほかオンラインMTGにも使える「こもルーム」や、3~4名で適度な距離感でリラックスしてミーティングできる「つながルーム」、そして商品撮影やライブ配信ができる「スタジオ」など、すべての場所に意味があるオフィスになりました。

▲WEB発信用のスタジオ。様々な撮影シーンに対応するために白壁を採用。
今井司(以下、今井):お二人の想いを聞くことができて嬉しいです。
ー「この場所を、こんな風に使っていきたい」というイメージはありますか?

▲株式会社ACRO 岩永 智史 様
岩永:こうしてオフィスが一新されたので、社員がオフィスに来るきっかけをつくりたいですね。
いまはオフィスに来る理由が、会議や来客対応などの仕事軸になりがちなので。
ハイブリット型ワークを前提とするなら、オフィスを“みんなに会える拠点”として活用できるようにしたいと考えているんですよ。
たとえば、コロナ禍が落ち着いた頃には、販売スタッフ用のトレーニングルームを開放して、食べ物や飲み物を片手に集まれるような時間をつくってみるとか。
松原大藏(以下、松原):いいですね。
それぞれの部屋にトレーニングルームやスタジオという名前こそつけていますが、あくまでも一つの部屋にしかすぎない。なので、名前に縛られず、みなさんが意外な使い方をしてくれたら嬉しいです。

▲表情や全身の佇まいを確認できる、鏡張りのトレーニングルーム。
岩永:とにかく、リニューアルして「人を呼びたくなるオフィス」になりました。
ファミリーデーを設けるのもいいかもな、と考えたりもしています。
今井:ぜひご家族にも遊びにきていただきたいです。
最近のオフィスに求められているのって、「作業する場」というよりも「出会いや共創の場」だと思います。
ブランドのファン同士がつながれるようなコンテンツを企画してもいいかもしれませんね。
山﨑:店舗では、過去にインフルエンサー向けのイベントを開催したことがあったのですが、お客様をオフィスにお招きするのも面白そうですね。

▲株式会社ACRO 山﨑 恵 様
コミュニケーションエンジンとなり、無関心な人に歩み寄る
ー新オフィスのデザインで、思い入れのある場所はありますか?
山﨑:エントランスですね。いままで入口を締め切っていたのですが、開放感を出すために一面ガラス張りにしました。
お客様がいらしたときに、ブランドイメージを感じていただけるように、商品を飾ったりコンセプトムービーを流したりしています。
誰がつくっていて、どんな空気が生まれているのかを、この場所で感じてもらえるのではと思っています。

岩永:エントランススペースに敷き詰めた砂利もいいですよね。
遊び心感が強い分、社内の賛否は分かれましたが、こうやって声が生まれたこと自体が良かったと捉えています。「良い」とか「悪い」と反応せざるを得ない状況をつくれてよかったです。
オフィスに対して無関心にならずに、それぞれの解釈を持ってもらえたような気がします。

ー賛否の内容ではなく、反応がある状況に価値を見出すとは。とても新鮮な意見ですね。
岩永:サイバーエージェントの曽山哲人さんが、よく「人事はコミュニケーションエンジン」とおっしゃっていますが、僕たちもそういう存在になれたらいいのかなと。
リモートワークが浸透してから、個人的に「みんなやせ我慢しているんじゃないかな?」と思うときがあるんですよね。人と会っていないと、寂しくなるし話したくなるじゃないですか。「自宅で一人でがんばらずに、仕事以外の理由でもオフィスに来ていいんだよ」というアナウンスもできたらいいなと……もしかしたら誰も来ないかもしれないですけど(笑)。
山﨑:(笑)
オフィスにいるときは、できるだけ社員に話しかけるようにしているのですが、一定数は交流を求めているなと感じます。
会話を交わすだけで表情が変わりますし、「在宅だと社員とのコミュニケーションが少なくなって孤独を感じる」とか「普段仕事で関わらない人と話すと息抜きになる」いう話をよく聞くので。
世の中の情勢がもう少し落ち着いたら、みんなで集まれる機会を増やしたいですね。
岩永:社内をかき混ぜるような取り組みをしても、正直大きな成果は出ないかもしれないけど、反応がいい人、悪い人、無関心な人をはっきりさせたいです。
恐れずにやってみて、反応を起こして、無関心な人に歩み寄っていきたい。
僕自身はネガティブな反応が悪いとは思っていなくて、それよりも無関心を減らすことが大切だと考えています。
社員の意見を吸い上げながら、拠り所をつくる
ー実際に、多くの社員を巻き込みながらオフィス移転プロジェクトを進めたと聞きました。
岩永:企業理念として掲げている、“とぎすまされた感性で、「時代の美」を創る。”を空間に落とし込むために、ヒトカラメディアさんと一緒にワークショップやレイアウト検討会を実施しました。
ゾーニングのキーワードはここから抽出していただいているので、オフィスに反映されている実感があります。
岩永:いろんな意見が出ましたよね。
例えば、スタジオにはカメラマンやモデルを呼ぶので「外部の人たちが機材を置けるように、入口付近に大きな棚を置こうよ」とか。
トレーニングルームと倉庫の導線も、社員の意見を聞いて何度も考え直しました。
いまでも忘れられないのは、収納の近くにPR作業用のデスクが必要だったのに、一度スペースの都合で削ってしまったことがあって。図面を見た社員から指摘を受けて、松原さんと一緒に「ここからどう修正しよう……」と2〜3分ほど沈黙しました(笑)。
松原:振り返るといろんなことがありましたね(笑)。

今井:実は、周りの意見を聞かずに進めた方が、プロジェクトをスムーズに進めることができるんですよね。それが良いかどうかはさておき。
その点、今回は岩永さんや山﨑さんが、社員の方々と対話を重ねている姿が印象に残っています。
上る山が多いプロジェクトだったからこそ、第一声が「実現できた!」なのかもしれませんね。

ー執務スペースに掲示板を設置したんですね。
松原:「関心」というキーワードがありましたよね。
オフィスでしかできないことを仕掛けたかったので、誰でも使えるパンチングボードとラックを設置しました。仕事のことだけじゃなくて、プライベートな告知もこっそり貼り出してほしいなと(笑)。
自由に使い倒していただきたいて、他部署や他のブランドに対する関心を持ってもらうきっかけとなるいいなと。「あそこに行けば何かあるかも」と思ってもらえる空間になったら嬉しいです。

山﨑:「きれいに使おう」とばかり思っていましたけど、自分たちのものとして使い込めたら素敵ですね。
まだ移転して1ヶ月くらいなので、これから各スペースがどんな風に使われるのか楽しみです。

▲人が行き交う場所には、交流用のカウンターを設置。
岩永:関心を生み出すという点では、オフィス移転に合わせてACROの社内ポータル「ACROSS」をローンチしました。
勤怠システムや経理システム、人事のルールなど、働く上で必要な情報をまとめています。
また業務連絡だけでなく、社長メッセージや各部門のリーダーからのメッセージ、ブランド事業を知るためのコンテンツなども更新しているんですよ。僕らが勝手に「ACROSS編集部」と名乗って、企画を立てて取材をして、記事をつくっているんです。
オフィスにいても、家にいても「ACROが分かる」ような情報プラットフォームにしていきたいです。

▲ACRO社の社内ポータルサイト「ACROSS」では、業務ルール以外にも社員に向けたメッセージや社内インタビューなどの記事が展開されている
カッコよく働くことで、カッコいい会社になる
ー社内外に向けて発信したいメッセージはありますか?
岩永:社員に対しては「カッコよく、働こう。」というワークデザインビジョンを伝えたいです。
「個人と会社が相互に責任を果たし、共に新しい働き方をデザインする」というポリシーのもとで、仕事で成果を上げ続けること、豊かな生活を送ること、心身をポジティブに保つことを大切にしてもらえたらなと。

▲年初、全社に向けて発表された「ワークデザインビジョン」資料の一部。
岩永:「カッコよく働く」ということを一人でも多くの社員が実現できれば、ブランドが魅力的になって、結果的にACROもカッコよくなりますよね。
仕事を面白がりながら、プライベートもたのしみつつ、全ての土台である健康を大事にしてほしい。私たちはワークデザインチームとしてその環境を整えていきます。
そういえば、先日マーケティング部の部門長が「みなさんワクワクしていますか?」と会議で投げかけていて。
「ワクワクしながら働いている人が、ワクワクするような商品やサービスを生み出せる」「僕は仕事のたのしさを取り戻せるようなリーダーでありたい」という文脈だったのですが、すごく腑に落ちました。
一人ひとりが自分の内側を見つめて、本質的なところに目を向けられるようになるといいですよね。
ー「ワクワクしながら働く」って、ワークデザインチームのみなさまが体現されていることですよね。
岩永:はい、このオフィス移転プロジェクトは本当にたのしいんですよ(笑)。

松原:よかったです。ワクワクと、ACROさんのなかで脈々と受け継がれている「半歩先の未来をつくる」という考え方って、ちょっと似ているんじゃないかなと思いました。どうなるか分からないけど、ワクワクしながら踏み出してみる姿勢というか。
今回、岩永さんと山﨑さんがたのしそうに打ち合わせに参加してくださったことで、デザイン提案の幅が広がりました。
今井:お二人とも、僕たちをプロとして見てくださって、こちらの意図も汲み取りながら前に進んでくださったので助かりました。
ー会社の垣根を超えて、チームとして動いていた感じが伝わってきます。
岩永:ACROは、今回のようなプロジェクトも含めて、企業理念やブランドが目指すビジョンの実現につながることであれば、何でもできる会社だと思います。
働く場所も自由になって、社員個々人の裁量が大きくなりました。
個人の責任をきちんと果たした上で、ACROで取り組みたいことがある方がいらっしゃれば、ぜひ一緒に働きたいです。
山﨑:ACROには地産地消の考え方が根づいていて、プロダクトに地物を使っていたり、農作物をつくっている方のことを大切にしていたりするんです。モノづくりに集中していると、そうした根本的な部分が見えづらくなってしまうのですが、個人的にはもっと広がりを持たせられたらいいなと考えています。
化粧品ブランドを展開しながら、人々の生活に寄り添って、社会に還元できるような会社でありたい。そのために、これからも社員がチャレンジしやすい環境をつくっていきます。
ーありがとうございました。

取材協力/株式会社ACRO様
取材・文/馬場澄礼
編集/ヒトカラメディア編集部
ヒトカラメディア
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