PROJECT
2021/11/25
「ただの縮小移転で終わらせない」可能性を広げるためのチャレンジ。 - 株式会社ACRO様
今回は、オフィス移転プロジェクトに込めた想いについて、株式会社ACRO HR Div. ワークデザインチームの岩永様と山﨑様にお話を伺いました。
“とぎすまされた感性で、「時代の美」を創る。”を企業理念として掲げ、2008年の創業以来、化粧品ブランドの開発や製造販売を行っている株式会社ACRO様。「THREE」「Amplitude」「ITRIM」「FIVEISM × THREE」の4ブランドを展開し、時代の求める「美しさ」を一歩先から発信しています。
コロナ禍でリモートワークが浸透したことなどを理由に、オフィスを2拠点6フロアから、1拠点2フロアに縮小することを決定。約7割のスペースを削減し、現在(2021年11月)移転準備中です。
「単なるオフィスの引っ越しではなく、私たちはこの機会をチャンスだと捉えています」と語るワークデザインチームのお二人。常にブランド同士で切磋琢磨し合う化粧品業界の特色を踏まえつつ、ものづくり企業として挑戦する「新しい働き方」とは?
インタビューをオフィス移転前/後の2回に分けてお送りいたします。
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー
社内の潤滑油となり、前例のないオフィス空間づくりにチャレンジ
ーまず、今回のオフィスリニューアルプロジェクトの概要をご説明いただけますか?
山﨑恵さん(以下、山﨑):五反田にある、2拠点6フロアの弊社オフィスを、1拠点2フロアに縮小移転するためのプロジェクトです。これまでブランドごとにフロアを分けていたので、社員がブランドの垣根を越えて肩を並べるというのは、初めての試みですね。
完成イメージ。2021年12月末にリニューアル予定。
山﨑:そして、コロナをきっかけに定着しつつある「新しい働き方」に対応するために、オフィス空間に新たな機能を取り込みました。
コロナ禍になってWEB発信が増えたので、撮影用のスタジオをつくったり。リモートワークを主軸とした働き方になったので、オンライン会議や電話ができるソロブースを導入したり。フロアの中央部には、社員が気軽に雑談できるようなカウンタースペースを設けました。
岩永智史さん(以下、岩永):実は、いままで働き方にフォーカスした空間づくりができていなかったんです。
2018年に新ブランドを3つ同時に立ち上げた関係で、社員が急速に増えて。当時はスペースの確保が最優先だったので、人員数に合わせた空間づくりを余儀なくされていました。
山﨑:今回初めて、コンセプトのあるオフィス空間が生まれるんです。
ただ、移転後のフロア面積は限られていますし、ものづくりの会社なので、商品や試作品の収納スペースが多く必要で。
プロジェクトキックオフの前は、「現実的にフロアを縮小できるのだろうか」とか「理想とする働き方を実現できるのかな」という不安がありました。
機能性を重視した、新オフィスのレイアウト案。
ー約7割のスペース削減にあたり、どんな工夫をされたのでしょうか。
岩永:これまで、各ブランドごとに用意していた販売スタッフ用のトレーニングルームを、全ブランドで使う共用空間に変えました。また、出社した際に偶発的なコミュニケーションが起こることを期待して、ブランドで区切っていた執務室をフリーアドレスにしました。
前例のないことばかりですが、僕たちが社内の潤滑油になってチャレンジしていきたいです。
リモートワークが浸透するなかで再認識した、オフィスの存在意義
ーお問い合わせをいただいたのは、2021年1月でしたね。どの企業も「アフターコロナの働き方」を暗中模索していた頃ですが、ACROさんの社内の状況はいかがでしたか?
山﨑:正直なところ、焦っていましたね(笑)。
弊社は2つのビルを借りていたのですが、1つのビルが2022年2月までの定期借家契約で、コロナ前から「契約更新か終了か」を話し合っていたんです。
でも、オフィス計画を練っている最中にコロナで状況が大きく変わってしまったので、今後を見据えながらプロジェクトを再計画する必要がありました。

▲株式会社ACRO 山﨑 恵 様
岩永:「ただの縮小移転で終わらせない」という気持ちはあったのですが、何から手を付けたらいいのか分からない状態でした。
とにかくプロジェクトを動かすために「オフィス」「空間」「内装」などのキーワードでWEB検索をかけたところ、ヒトカラメディアさんのサイトにたどり着きました。
オフィスの「見た目」だけではなくて、「働き方」や「人」にスポットを当てているところが印象的だったし、その姿勢が僕たちともマッチしていたように思います。
ーありがとうございます。当時、社員さんはどのようなワークスタイルでしたか?
山﨑:社員の7〜8割がリモートワークをしていました。
感染予防のために導入した制度なので、最初は仕事が回るのかどうか分かりませんでしたが、“結果的にできた”という感じでしょうか。社員にリモートワークに関するアンケートを取ったときも、ポジティブな意見が大半でした。
岩永:成果に結びついているかは別の話ですが、リモートワーク自体は上手くいっていましたね。
販売スタッフのトレーニングも、対面でしかできないと思い込んでいたのですが、オンラインでも工夫すればできるということが分かりました。ものづくりやデザインも、多少の不便はあっても自宅で作業できていたようです。

▲株式会社ACRO. 岩永 智史 様
ーコロナによって、「オフィスを縮小できる」という確信が芽生え始めたのですね。
岩永:ただ、リモートワークが成立している一方で、業務外のコミュニケーションが格段に減ってしまうという課題も見えてきました。
違う部署の人との接点が持てなくなるし、一緒に仕事をしていたとしても、雑談などの何気ないやり取りは最低限になってしまう。
会社への所属意識や、個人としての存在感が薄れてしまうような状況になって、「価値を生み出す働き方にドライブをかけるのは、唯一対面で集まれるオフィス空間なのかもしれない」と再確認しました。
何気なく足を運んでいた会社のビルにも、やはり意味はあったんですね。
単なる引っ越しで終わらせないために、「ワークデザインチーム」に改称
ー岩永さんと山﨑さんのチームは、今回のプロジェクト始動にあたりチーム名を「ワークデザインチーム」に改めたと聞きました
岩永:昨年4月の組織編成で、僕が所属するHR Div.(人事部)に山﨑さんのチームが加わったんです。
すると、彼女の言葉の端々から「単なる総務屋さんでありたくない」「積極的に社員のために動きたい」という姿勢が伝わってきて。
オフィス移転に合わせて、「働く」という文脈で社員にさまざまなことを仕掛けたいと思っていたので、僕が改称を提案したんです。「単なる引っ越しで終わらせずに、働き方をデザインしよう!」と(笑)。
山﨑:「THREE」の部署から異動してきたばかりだったので、自分の役割や存在意義に対して、言語化できないモヤモヤを抱えていたのかもしれません。
総務は業務の幅が広いぶん、ミッションが特に設定されていなくて。「社員が問題なく仕事に打ち込める環境を整えよう」とか「陰ながら応援していく」という雰囲気がありました。
「ワークデザインチーム」への改称とオフィス移転の業務内容がマッチしたおかげで、自分が目指すべきゴールが明確になった気がしています。

ー改称には、お二人も含めた社員の「働き方を変えよう」という意思が込められているのですね。
岩永:緊急事態宣言下で出社したとき、ほぼ誰も居ないオフィスを目の当たりにしました。そこで、まざまざと「今後の働き方や、オフィスの役割を考え直さなければ」と思ったんです。
従来のオフィス空間には「個を集める」機能があったわけですが、いまはPC一台あればどこでも働ける時代。
「個を解放する」ような働き方にシフトチェンジする必要があるのかなと。新しい働き方をデザインしながら、社員がより価値を発揮できるようなオフィス環境をつくっていきたいです。
クローズドとオープンの、相反する要素が引き起こす化学反応を期待
ー今回のリニューアルでは、拠点がバラバラだった各ブランドの社員が同じフロアで働くという、初めての試みならではの不安があると思います。「ワークデザインチーム」という名前なら、頼りやすそうですよね。
山﨑:「新体制をたのしみにしている」という声を聞く一方で、不安を覚えている社員もいると思います。
だからこそ、声をかけやすいと感じてもらえるようなチームでありたいですね。
岩永:実はこれまで、ブランド間のコミュニケーションって活発じゃなかったんです。というよりも、必要性が無い。
大前提として、ブランドビジネスは作り手がその世界観に没入して、陶酔できることが重要だと思っています。ブランドへの誇りと愛着が「ACROで働く意味」につながるし、自分が本気でいいと思えるブランドじゃないと、世の中に発信できない。
でも、担当ブランドに集中していると、いつの間にか他のブランドの社員に対して「同じ会社に居る別世界の人たち」と境界線を引いてしまいやすいんですよね。

山﨑:特に弊社は、物理的にオフィスが離れていたこともあって、「会社全体」ではなく「ブランド単体」として捉える機会が多くなっていました。
「別のフロアに一度も足を踏み入れたことがない」という社員もいます。用事がないとわざわざ行かないので、これは構造上の問題でもありますが。
ーそういう背景があったのですね。
岩永:ただ、弊社には“とぎすまされた感性で、「時代の美」を創る。”という志に共鳴した社員が集まっているので、これからは新しい形でブランドビジネスを展開できたらいいですね。
ブランドビジネスである以上、情報管理をはじめとするクローズドな要素は残しつつ、これからは別フロアではなく同じフロアに身を置くというオープンな環境になります。
社員間で、いままでにない化学反応が起こり、より魅力的なブランドづくりにつながることを期待しています。
ーこれまでの過程で、何か気づきや発見はありましたか?
岩永:先日、共用のトレーニングルームの利用希望日をヒアリングした際に、4ブランドの日程が見事に被ってしまったんです。
そこで、トレーナーを集めて合同の調整会を実施したら、話し合いで時期をずらすことができて。これは小さな手応えかもしれないけど、「制約のなかで工夫が生まれた瞬間だ」と感じましたね。
他の職種間でも、同じようにコミュニケーションや調整を重ねることで、新たな一歩を踏み出せるんじゃないでしょうか。
「やったことがないからできない」じゃなくて「やったらできた、可能性が広がった」という経験を増やしていく。これは時代に取り残されないために必要なことだし、不便さを解消するために絞った知恵が、個人のクリエイティビティを高めてくれると思います。
ACROに必要なオフィス環境は何なのか。あらためて社内で考える機会を持てたプロジェクト。
ーこのプロジェクトも工事フェーズとなり、大詰めです。これまでのプロジェクトを振り返ってみていかがでしたか?
山﨑:今回のプロジェクトでは、ワークショップやレイアウト検討会など、社内を巻き込んでどんなオフィスにするか検討を重ねていきました。
このようなプロジェクトの進め方がはじめてだったのでドキドキしていたのですが、これらのプログラムを通して「ACROにとって必要なオフィス環境とは何なのか」ということを、社内で考える機会を持てたのはすごくよかったです。
ヒトカラメディアさんが、社員一人ひとりが感じている課題や意見をデザインに反映してくださったので、目的のあるオフィス空間を形にできたと思っています。

ワークショップは数回に分け実施。
岩永:社員の反応は、緊急事態宣言下だったこともありさまざまでした。
自分たちの意見を汲んだオフィスづくりに期待をよせる人もいれば、コロナ禍での対面のワークショップを実施すること自体に疑問を抱く人もいて。
でも「ACROらしさ」や「個人を軸にした働き方」にフォーカスした空間づくりが重要だと感じていたので、ヒトカラメディアさんはパートナーとして最高でした。
ー ありがとうございます! つぎは完成したオフィスで実際に空間を体験しながら、これからどんな働き方を実現していくのか、デザイナーやプロジェクトマネージャーを含めてお話させてください。
岩永:ぜひ。引き続きよろしくお願いいたします。

後編は、2022年2月ごろの掲載を予定しています。
取材協力/株式会社ACRO様
取材・文/馬場澄礼
編集/ヒトカラメディア編集部
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー





