IDEA
2025/3/21
近年さらに需要が高まる「セットアップオフィス」をオフィス物件のプロが徹底解説!物件選定のコツも紹介
近年、急速にニーズが高まっているセットアップオフィス。デザイン性の高い内装と什器もすでに導入されていることから、初期費用の削減とスピーディーな移転を実現できると、ベンチャー/スタートアップに特に人気を博しています。今回は、そんなセットアップオフィスの種類、メリット、選ぶ際のポイントまで、最新のオフィス事情に詳しい企画営業部の上岡にインタビューを行いました。これからオフィス移転を検討している経営者/担当者の方は参考にしてみてください。
ヒトカラメディア
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1. セットアップオフィスの需要が高まっている3つの理由
――近年、セットアップオフィスに注目が高まっていることについて、どういった理由が考えられるのでしょうか。コロナも影響していますか。
上岡貴弓(以下「上岡」):セットアップオフィスのニーズはコロナとはあまり関連性がなく、2016-18年頃から徐々に増えてきた印象があります。その中で、需要が高まっている理由は3つです。
まず1つ目は、初期費用と移転プロジェクトのリソースを大幅に削減できる点です。セットアップオフィスは、受付や会議室の造作が施されており、デスク・チェアなどの什器も用意されているため、通常の賃貸オフィスに入居するよりも圧倒的なコストメリットを享受できます。また、内装設計に関するやりとりも減るため移転プロジェクトの人的リソースも削減できます。
2つ目は、デザイン性の高い内装が多いため、 ブランディング/PR効果が期待できたり、対面の採用面談で印象がUPする事や、日常で働く上でのエンゲージメント向上に期待できる点です。
3つ目は、リモートワーク・ハイブリッドワークの普及も背景にあります。物件によってはフォンブースが設置されていたり、建物内に共有ラウンジがありますので、ストレスなくオンライン商談ができる環境や、出社が多い日はラウンジで対応できるなどの機能面の良さもセットアップオフィスの魅力の1つでしょう。
2. ベンチャー/スタートアップから特に人気
――セットアップオフィスと一口に言っても、どのような種類があるのでしょうか。
上岡:大きく分けるとハーフセットアップとフルセットアップが存在します。ハーフセットアップは、一部の内装・什器だけが用意されているセットアップオフィスのことです。会議室、フォンブース、ラウンジなどの共有部の内装や家具は備えられていますが、執務席のレイアウトやデスク・チェアなどは入居企業が用意する必要があります。
一方、フルセットアップオフィスは執務席を含めすべての内装・什器・家具が設置されているオフィスです。執務席のデスクやチェア、什器も全て揃っているため、入居後すぐに業務を開始できるのが特徴ですね。最近ですと、原状回復や敷金が不要なものが増えてきていて、より魅力的な選択肢になってきました。フォンブースを設置しているセットアップオフィスの人気も高いですね。共有ラウンジに力を入れているセットアップオフィスも増えており、出社人数が日によってバラつきのある企業にとって、人数を吸収してくれる機能的なラウンジはとても有り難いですよね。
メリット | デメリット | |
[フルセットアップオフィス] 内装、家具、什器が”すべて揃っている | ●入居後すぐに業務を開始できる ●統一感のあるデザイン | ●旧オフィスで使っていた家具が使えない |
[ハーフセットアップオフィス] ”一部の空間”に内装、家具、什器が設えてある | ●エンジニアが多いからチェアには拘りたい等、自社のニーズに合わせてアレンジできる。●旧オフィスで使っていた家具や什器がそのまま使える | ●内装や家具を自社で用意する手間とコストがかかる |
――どのような企業から、セットアップオフィスのニーズは高いのでしょう。
上岡:ベンチャー/スタートアップ企業からの引き合いが非常に強いです。“ヒト・モノ・カネ”が不足している状態が当たり前なので、これらをいかに圧縮するかが事業成長していくためにも非常に重要な点です。かつ、リソースをプロダクト開発に極力集中させる必要もあります。セットアップオフィスは通常オフィスに移転することに比べ、本業で忙しい移転担当者の工数(ヒト)・執務に必要な家具什器(モノ)・内装構築にかかる大きな初期費用(カネ)を大幅に削減でき、採用効果も期待できますので、ベンチャー/スタートアップから特に選ばれていると考えます。
3. 自社従業員の職種バランスを考えて選ぶと良い
『owns平河町』/Kenta Hasegawa
――セットアップオフィスのニーズが高まる中、どんな物件に入居すればいいのか悩んでいる経営者や移転担当者も多いことと思います。セットアップオフィスの物件を選ぶ際のポイントがあれば、教えてください。
上岡:職種のバランスを考慮すると良いと思います。例えば、エンジニア中心の企業であれば、デスクとチェアは自分たちの使い勝手が良いものを導入した方が良いです。そうするとハーフセットアップオフィスの方が向いている。
一方で、営業が中心の会社であれば、日中外出が多いでしょうからそこまでデスクとチェアにこだわる必要はない。そうすると、フルセットアップオフィスの方を選んで、移転時にできるだけ業務をストップさせない方を選ぶといいかもしれません。このように、自社に在籍する従業員の職種を考慮して選ぶと良いでしょう。
――反対に注意しておいた方が良い点はありますか。
上岡:ランニングコストが高くなる点には注意が必要です。内装工事などが必要ないので、初期費用は抑えられますが、毎月の賃料に内装費用がインクルードされていますので、通常オフィスよりも割り増しになります。そのため、入居期間が長くなればなるほどコストが膨らみますので、入居想定期間中の総支払額をシミュレーションする事が必要です。2〜3年の入居の場合はセットアップオフィスがお得になるケースが多いので成長スピードが早いスタートアップ/ベンチャーとの相性が良いのでしょうね。
また、内装デザインやレイアウトに自由度があまりない点にも注意が必要です。オフィスに強いオリジナリティを求める企業には不向きといえるでしょう。
『SHIBUYA WayP』※今春開業
――これまでヒトカラメディアでも、セットアップオフィスの企画や施設運営を手掛けてきました。上岡さんは、他社も含めたくさんのセットアップオフィスを見てきたかと思うのですが、ヒトカラメディアのセットアップオフィスにはどんな特徴があると思いますか。
上岡:ヒトカラメディアの不動産仲介はスタートアップ経営者と接する機会が非常に多いです。そういった中で、スタートアップ特有の事情や、成長フェーズごとの課題感など、リアルな声に日々触れています。
セットアップオフィスの企画も、そういった一次情報を大切にしながら構築しているので、オフィストレンドやニーズに正確にマッチしたものが作れる、というのが一番の特徴であり強みですね。内装デザインチームも内部にいるので、企画のコンセプトや狙いを空間の細部にわたって落とし込める、というのもヒトカラメディアならではかと思います。
――具体的な特徴を教えてください。
上岡:NTT都市開発様の新オフィスブランド『owns平河町』では、ターゲット調査や商品企画にかなりの時間を割きました。“わざわざ集まりたくなるオフィス”というコンセプトのもと、1フロア1テナントで全フロアに専用テラスを設けました。フルセットアップオフィス区画、ハーフセットアップ区画などのご用意があり、規模やタイミングに合わせて柔軟に入居できるだけでなく、新規プロジェクトの立ち上げや、一時的な増員などの増床ニーズにも対応することができます。
渋谷・神宮前にまもなく開業する新築オフィスビル『SHIBUYA WayP』は、目の前に公園があるのですが、建物の中心部を吹き抜けにすることで、建物にいながら外を感じられるような設計にしています。セットアップオフィスは1名用からあり、共有ラウンジは貸切利用ができたりと、このエリアで自由に、自分らしく働きたい人に選ばれるオフィスが出来たのではと思っています。どちらも新築のオフィスビルですが、1階にはカフェや飲食店を誘致して、会議室だけではないコミュニケーションの機会や、街との共存を促すオフィスになっていると思います。
――最後に、今後セットアップオフィスの市場はどうなっていくと考えますか。
上岡:今後、セットアップオフィスの数はさらに増えていくと思いますが、反対にいえば差別化できてないものは埋もれていくと考えています。ただ単に内装や家具、什器を揃えただけの無難なセットアップオフィスを作ればいいのではなくて、エリアの特性やそこで求められる顧客のニーズを詳細に掴めているかどうかがカギになると思います。
取材・文/太田 祐一
ヒトカラメディア
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