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2025/1/27

NTT都市開発の新オフィスブランド『owns』がついに開業。コロナ禍で抱いた危機感からたどり着いた”集まりたくなる場所”としてのオフィス

Photo by Kenta Hasegawa

1. コロナ禍で抱いた危機感から、新しいマーケットの開拓へ

――まず、NTT都市開発が新しいオフィスブランドとして『owns』を立ち上げることになった経緯から教えてください。

NTT都市開発・佐々木 智司 様(以下、「佐々木」):プロジェクトが立ち上がったのは2021年くらいで、ちょうどコロナ禍によるリモートワークが主流になった頃です。新しい働き方へドラスティックに変わっていく中で、オフィスビル事業を主力で手掛けていた私たちは、大きな危機感を抱いていました。オフィス縮小が進み、テナントの解約も続きました。そこで、これまでと同じようなことをしていては駄目だという想いを抱え、新しいオフィスブランドとして『owns』を企画したんです。

▲NTT都市開発 佐々木 智司 様

――どのような点がNTT都市開発さんにとって、新しい試みになったのでしょう。

佐々木:この規模のオフィスシリーズを手掛けること自体が初めての試みで、私たちにとってはチャレンジでした。これまで弊社では大企業向けの何十万㎡というオフィスを多く手掛けてきたので、企画した当初は不安もありました。ただ、今後のためにも勢いのあるベンチャーやスタートアップといった新しいマーケットを開拓したかったんです。そこで、ベンチャー・スタートアップに詳しいヒトカラメディアさんに初期段階から相談したのですが、最初は手厳しいことを言われてしまいました(笑)。

ヒトカラメディア・三川 慧(以下、「三川」):そうでしたね(笑)。佐々木さんから最初にご相談をいただいた際、「今からブランドを立ち上げても後発になりますし、上手くいかないと思いますよ」とお伝えした記憶があります。

佐々木:そうそう(笑)。でも、それまでは当たり障りのないご意見が多かったので、三川さんの意見は非常に印象に残りました。本当のマーケット状況を知りたいと思っていたので、三川さんにそう言っていただいたことで「後発組はやっぱり厳しいんだ」ということが分かりましたし、逆に覚悟が決まりましたね(笑)。
じゃあどうしていけばいいのか、というところで、スタートアップの声・ニーズなどを拾いながらヒトカラさんと一緒に企画・リーシングを詰めていくことになりました。

三川:中規模ハイグレードオフィスってすでにさまざまなディベロッパーが手掛けていましたし、2021年当時はコロナ禍ということで確実に需要が減っていました。そういった意味で「正直、厳しいと思います」とお答えしました。ただ、企画の骨子を拝見すると、佐々木さんや川﨑さんの中で、ただのオフィスではなく、“付加価値”の部分もすごく大切にされていることが分かりましたし、この骨子をもとに、ターゲットのニーズなどを踏まえてブラッシュアップしていけばいいものができそうだなと感じました。

 Photo by Kenta Hasegawa

2. リアルなニーズ/ターゲット調査で、企画の足元を固めていく

――初期段階のニーズ/ターゲット調査や商品企画はヒトカラメディアとどのように進めていきましたか。

佐々木:私たちの調査では、今後、小規模のフレキシブルオフィスは需要が増えるんじゃないかという仮説を立てていました。いくらリモートワークが増えたとはいえ、ちいさな子供がいたり自宅にリモート環境を整えられない場合、または業種によっては在宅勤務を継続しにくいだろうなと。ただ、コロナ収束後もオフィスへの出社が完全に戻るとも考えにくい。となると、今後オフィスは一括で集まる場所ではなく、必要な時に集まる場へと変わるのでは?と考えたんです。しかし、想定していたターゲットであるスタートアップやベンチャーとの接点は今までほとんどなかったので、そうしたターゲットやニーズの調査についてはヒトカラメディアさんと連携させていただきました。

ヒトカラメディア・伊藤 陵(以下、「伊藤」):私たちは、佐々木さんたちが作られていた初期の企画骨子が本当にターゲットに刺さるのかについて、実際にさまざまなベンチャー・スタートアップ企業などにヒアリングをして、そのポイントを整理していきました。具体的には50~100坪のオフィスに入居されているさまざまなフェーズのスタートアップを対象としました。
実際にヒアリングした内容は、「どれぐらい出社されるのか」「どのようなオフィス環境を求めているのか」「採用観点で重視するオフィス環境は?」などです。ヒアリングしたポイントを整理し、専有部と共用部に必要な機能を当てはめていきました。皆さんがよく利用する機能は共用部に、全社会議やイベント時に使うようなスペースは共用部でいいよね、という感じです。

佐々木:ヒトカラメディアさんがまとめたヒアリングに関するレポートは非常に役立ちました。スタートアップのフェーズや会社規模によってこんなに課題が異なるんだ!? と驚きました。

三川:そうなんですよね。スタートアップと言っても、アーリー、ミドル、レイターで求めるオフィス環境は異なりますし、意思決定者も変わってきます。

▲NTT都市開発 川﨑 玲央奈 様

NTT都市開発・川﨑 玲央奈 様(以下、「川﨑」):私たちが当初持っていた仮説はあくまで仮説ですので、そこにターゲットの生の情報、ヒアリングポイントなどを加えていくことで、企画の足元が固まっていくような感覚を覚えました。
特に印象的だったのは、意思決定者と従業員でニーズが異なるという部分です。例えば、カウンターキッチンが欲しいと従業員が言っても、経営者は「それ本当に必要?」「それよりも作業できるスペースをもっと確保した方が良いのでは?」となる。また、経営者からは将来的にレイアウトを変更することも視野に入れ、什器やオフィス家具の可変性を重視していることもリアルな調査から分かりました。

 

3. わたしたちは今、何をしにオフィスへ来るのか? 

――綿密なリサーチや調査をもとに策定した『owns』のコンセプトについて教えてください。

佐々木:コンセプトは“わざわざ集まりたくなるオフィス”としました。デスク業務はどこでもできますので、じゃあ何をしにオフィスに来るんだ?ということを考えると、やっぱり社内外のディスカッションや交流のためだよね、と。大事にしたのは、集まることを強制するのではなく、利用者が自主的に“集まりたくなる場所”かどうかです。そうした居心地のいい場所であれば、従業員のモチベーション向上だけでなく、求職者に対しても良い印象を与えられると思いました。
機能面で特徴的なのは、全室に専用テラスを設けたことです。オン・オフの気分転換に活用したり、天気がいい日はランチにも使えます。これほど大きなテラス席は街にもインパクトを与え、『owns』の存在感を引き立たせる役割も果たしてくれます。天然芝を敷いた屋上も自慢です。貸切利用もできるので、イベントなどを開催し親睦も深めていただければ。入居者の方には、仕事をしているのか遊んでいるのか分からないような、楽しく働ける空間になったらいいですね。

Photo by Kenta Hasegawa

三川:2階の共用部に貸し切りできる会議室をたくさん設置したため、当初はテナントの専有部には会議室は設置しない方針でしたが、そこは私たちから専有部にも設置するよう進言させてもらいました。専有部であっても、銀行との商談や採用面接などクローズドな会話ができる会議室が実はこの規模のセットアップオフィスを利用するスタートアップやベンチャーには必要だったりするんですよね。
それ以外の機能やゾーニングについても、まずターゲットを選定し、必要な機能は何か?を考えてから企画を詰めていきました。現状課題になっていることを洗い出し、機能に落とし込んでいく。大事なところは、家具や什器から考えるのはご法度ということ。そこで働く人の課題・ニーズを見極めてからレイアウトを決めていくのが鉄則です。 

photo by 田野英知

――1階にカフェが入っているのも特徴的ですね。

 

佐々木:今回は、1階の店舗リーシングもヒトカラメディアさんにお願いしました。オフィスビルってクールな印象のエントランスが多いと思いますが、コミュニケーションを取りに来社するのだから、あえてカジュアルな雰囲気にしました。通常、飲食店とオフィス入り口は別になっていると思いますが、あえて同じ入り口にしました。カフェの店員さんが、出迎えてくれるようなイメージです。
出社した際に「おはようございます」と声をかけてもらい、日中降りてきたときは「お昼ですか?」と会話が生まれる。また、来客されたお客様に対しても、ペットボトルのお茶ではなく、1階で熱々のコーヒーを買ってきてお出しするだけでも、体験価値を高められるのではと感じます。

 

4. 環境に配慮したオフィス設定。天井や床材をあえて現しに

佐々木:環境に配慮したビルであるのも特徴です。ZEB Readyも取得済みで、これは今後竣工される『owns』ブランドにおいても取得予定です。また、入退室のセキュリティには、プラスチックカードを廃止してスマホと顔認証を採用しています。ペットボトルもあまり出したくないので、あえて自動販売機も置いていません。2階の室名サインには再生布を使用するなど、アップサイクル素材も取り入れています。
また、従前建物の解体時も環境に配慮した工事を実施しており、従前建物躯体の一部を再利用しています。さらに、廃棄物抑制の観点から、一般的なオフィス入退去工事によくみられる”天井材や床材を剥がして廃棄する”ことを回避するため、天井・床を現し(あらわし)とするとともに、内装仕上材を最小限としています。

三川:天井・床を現しとしたことで、廃棄物削減とともに原状回復工事を最小限にできるので、テナントのコストメリットにかなり繋がっているのもポイントですよね。

 Photo by Kenta Hasegawa

――最後に、今後の『owns』ブランドの展望を教えてください。

佐々木:『owns』は2024年12月に新橋、2025年2月に日本橋、2025年7月に八丁堀の竣工を予定しています。八丁堀の『owns』はこの平河町よりも少し規模が大きく、ワンフロア100坪ほどあります。その後も、毎年コンスタントに増やしていけたらと考えています。先ほどお話させていただいたカフェとの共存についてもそうですが、脱炭素の取り組みに関しても感度の高い方々が反応を示してくれています。こうした環境に配慮したオフィスは働く場を考える上でこれからもっと大切になっていくと思いますし、これが1つの基準になっていくといいなと思っています。

 

川﨑:『owns』の強みのひとつは多様な共用スペースです。例えば、取引先の方が来訪された際、会議室で話すだけでなく、1階のカフェで打ち合わせの延長戦をしたり、仕事以外の話をちょっと出来たりもします。そういうリラックスした空間や何気ない会話から仕事の信頼関係は高められると思いますし、『owns』という存在がそういった関係性を築くためのアシストをこれからもっとしていきたいと思っています。

Photo by Kenta Hasegawa

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    om@hitokara.co.jp


取材・文/太田祐一