在宅ワークと出社のハイブリッド型の働き方も定着した今、自宅の仕事環境を見直したいと考えている方も多いのではないでしょうか。 はじめはダイニングチェアで仕事をしていたけれど、長時間の作業では体が痛くなる。集中力も続かない。かといって、本格的なオフィスチェアは家のインテリアから浮いてしまう……。 そんな、椅子選びに悩んでいる方に向けて、オフィス作りのプロである私たちヒトカラメディアのメンバーが普段どんな椅子を使っているのかお見せします。 選んだ理由や本音の使い心地はもちろん、そのほかに注目している椅子や、仕事がはかどる環境づくりの工夫まで、たっぷりお届けします。あなたの在宅ワークがもっと快適になるヒントを、ぜひ見つけてみてください。
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー
1. オフィス作りのプロが選んだ、こだわりの愛用チェアをご紹介
半沢(空間プランナー)が選んだチェアは…Vitra「Meda Chair」
◉この一脚を選んだ理由は?
オフィス家具メーカーで働いていたこともあり、いつかはデザイナーズの椅子が欲しいと考えていました。大学の教授に「いいものを使っていないと、いいものはつくれない」と教わった影響も大きいですね。
「なぜこの製品は長く愛され、選ばれ続けるのか」ということを、まず自分自身が体感しないと、お客様に本当の良さは説明できません。ヴィトラの「メダチェア」は、海外製品なのに日本人の体型に合うサイズ感で、無駄のないシンプルなデザインがすごく気に入り、これに決めました。
◉実際の座り心地は?
めちゃくちゃいいですよ、やっぱり。背もたれのメッシュの反発力が結構しっかりしてるので、寄りかかると自然と背筋が伸びて、正しい姿勢を保てる感じがします。個人的には、国内製品のチェアより海外製品の方がメッシュの反発がしっかりしているように思います。ひじ掛けも、高さや角度を調整できるT字タイプを選んだので、自分の体格やデスクの高さにぴったり合わせられて機能的です。何よりデザインがシンプルなので、変に意識が散ることがなく、仕事に集中できます。
◉ほかに検討したチェアは?
ハーマンミラーのアーロンチェアにも憧れていましたが、実際に座ってみると僕にはサイズは大きすぎました(笑)。もともとアメリカ人向けのサイズ感なんですよね。デザインも、機能性を前面に押し出した「工業製品」みたいな感じで、僕が好きなシンプルさとはちょっと違うなと。
Wilkhahn(ウィルクハーン)の「Modus(モダス)」、「Stitz(スティッツ)」も気になります。「Modus(モダス)」は、20年以上前からあるのに全く古さを感じさせない、究極にシンプルなデザインが魅力です。見た目は華奢ですが、座り心地は抜群なんですよ「Stitz(スティッツ)」は座面がコルクや布張りでできていて、身体を少し預けるような姿勢で使う椅子です。スタンディングでの短い会議などに使うと、効率的に議論が進む効果があります。実はウィルクハーンの事務用チェアは、映画『スター・ウォーズ』にも登場していて、ヨーダも座っているんですよ。
三川(オフィスマネジメント事業部)が選んだチェアは…KOKUYO「ingLIFE」

◉この一脚を選んだ理由は?
一番の決め手はデザインですね。会社のオフィスにあるコクヨの「ing」という椅子が、バランスボールみたいに揺れるのが心地よくていいなと以前から思ってたんです。でも、デザインがいかにもオフィスチェアという感じなので、自宅のフローリングには合わないなと。そんな時に「ingLIFE」を見つけました。これなら家のインテリアにも馴染むし、将来的にリビングで仕事をすることになっても大丈夫だなと思って。
◉ほかに検討したチェアは?
一番迷ったのは、会社のオフィスで使い慣れている、ハーマンミラーの「セイルチェア」です。機能と価格のバランスがすごくいいし、肘掛けの高さが調整できるのも魅力的でした。ただ、家と会社で同じ椅子だとスイッチも入れ替わらないかも?と思い「ingLIFE」にしました。
◉ワークチェアにこだわると”働く環境”が変わっていく
日々たくさんのオフィスを見ていますが、オフィスチェアを見るとその企業のメッセージやオフィスの捉え方が伝わってくることがあります。ヒトカラメディアが運営しているスタートアップ向けのセットアップオフィス『新宿ワープ』では、小規模オフィスではあるんですが、結構良いチェアを採用しているんですね。もちろん、安い椅子でも良いという人もいるし、それは否定しませんが、良い椅子に座って働いてみると、仕事の効率が上がるだけでなく、自分の”働く環境”にどんどん目が向くようになります。それはきっと在宅ワークでも同じなんじゃないかと思います。
日比野(組織開発室)が選んだチェアは…ITOKI「X FOCUS CHAIR」◉この一脚を選んだ理由は?
パソコンのモニターで映画やYouTubeを観ることもあるので、しっかりリクライニングできる椅子が欲しかったのが一番の理由です。いわゆるゲーミングチェアも考えたんですが、赤とか黄緑とか派手な色のものが多くて、部屋のインテリアに合わないなと思ってやめました。
そんな時に見つけたのがこのイトーキ「X FOCUS CHAIR」です。インテリアファブリックみたいな見た目と、部屋に馴染む落ち着いた色が決め手でしたね。見た目重視で選びました。
◉実際の座り心地は?
長時間座ってても腰が痛くなることはないですし、頭まで支えてくれるハイバックなので楽ですね。仕事が終わったら、背もたれを倒してベッドに足を乗せ、リラックスした姿勢で動画を観ています。
布製なので合皮みたいにひび割れたりしないし、2年半使っても座面がへたってないので、耐久性にも満足しています。
◉ほかに検討したチェアは?
実は、イトーキの「vertebra(バーテブラ)」が最初すごく欲しかったんです。デザインも素敵でいいなと思ったんですが、個人で買うにはちょっと勇気の要る値段ですよね。今は週1回の在宅ワークということもあり、予算を5万円以内に収めようと考えて「X FOCUS CHAIR」にしました。
2. 快適なだけじゃない。仕事の質を高める在宅ワーク術
家を、気分を上げる「快適空間」に!(日比野)自宅がカフェに!”一人シェアラウンジ”化計画
飲み物には結構こだわっていて、家が「一人シェアラウンジ」みたいになっています。オーツミルクやアーモンドミルクを箱買いして、コーヒーの濃縮液やキャラメルシロップも色々な種類を常備してるので、いつでもカフェみたいなドリンクが作れます。ドリンクバーのようにハーブティーも体調に合わせて選べるようにたくさん揃えていて、良い気分転換になっています。
オンとオフの切り替えは、猫とバルコニーで
集中力が切れた時は、まず猫を撫でて癒やされています(笑)。あとは、バルコニーにアウトドアチェアを置いてあるので、外の空気を吸いながら休憩することが多いですね。夏場はそこでスイカバーを食べたりしました。無理に外出しなくても、ちょっと場所を変えるだけで、うまくオンとオフを切り替えています。
オンライン繋ぎっぱなしで気軽に相談
部署のメンバーとは在宅勤務の日をなるべく合わせていて、その日の1時間だけGoogle Meetを繋ぎっぱなしにする、というのをやっています。人事なのでオフィスだと話しづらい話や、わざわざ会議するほどでもない相談事をその時間にまとめて話せるのですごく助かりますね。オフィスでの雑談みたいな感覚で、気軽にコミュニケーションが取れるのが良いです。

「オフィス完全再現」で妥協しない仕事環境を(半沢)僕の家には仕事専用の部屋があって、そこは「在宅ワークスペース」というより、ちゃんとした「オフィス」なんです。机も1400mm幅のしっかりしたものですし、プリンターも会社にあるような複合機を置いています。中途半端な環境だと、仕事もなあなあになってしまう気がして。自宅でもオフィスと変わらない環境を整えることで、質の高い仕事ができるように意識しています。

ツールと習慣で「集中力」をコントロールする(三川)オンライン会議の印象アップ! 顔を明るく見せる照明術
在宅ワークだと、クライアントとの打ち合わせも基本的にオンラインなので、照明には気を使っています。家の照明だけだとどうしても顔が暗く映ってしまいがちなので、デスクに専用の照明を置いて顔が明るく見えるようにしています。「家で仕事してるな」感が出すぎず、相手に与える印象が良くなるように、というのは結構大事なポイントだと思っています。
Apple Watchが相棒。意識的なリフレッシュタイム
長時間座りっぱなしにならないように、Apple Watchの「スタンドの時間です」という通知をリフレッシュの合図にしています。通知が来たら立ち上がって、家の中を少し歩いたり、窓から外の景色を眺めたり。娘がいる時は、その時間に少しだけ遊んだりもします。意識的に体を動かす時間を作ることで、集中力を維持するようにしています。
「作業デー」としての在宅活用術
オフィスにいると、良くも悪くも人に話しかけられて、集中していた作業が中断されがちです。なので、企画書や提案書など、誰にも邪魔されずに一気に集中して作り込みたい作業がある時は、あえて在宅の日を「作業デー」として活用しています。移動時間もかからない分、まとまった時間を確保できるので、効率的に仕事が進みますね。
3. 自分にとっての「ベストな一脚」を見つけよう
三者三様の椅子選びから見えてきたのは、機能や価格といったスペックだけでなく、「どんな空間で、どんな気分で働きたいか」を想像することの大切さなのかもしれませんね。
在宅ワークにおける椅子選びは、単なる家具選びではありません。一日の多くの時間を共にするパートナーとして、心身のコンディションを支え、仕事の質を左右する重要な要素です。そして、こだわりの一脚は、仕事モードへのスイッチを入れてくれる心強い相棒にもなります。
今回ご紹介した椅子やワーク術をヒントに、ぜひご自身の働き方や空間にフィットする「ベストな一脚」を見つけてみてくださいね。

取材・文/坂口 ナオ
ヒトカラメディア
プロジェクトメンバー





