豊かな食からスモールビジネス支援まで。徳島県美馬市の「これから」を創る新たな取り組み

フナトトのオーナー田村さん。高校時代を過ごした美馬市に移住し、フナトトに限らず多方面で新しい取り組みに関わっている

2016年3月よりサテライトオフィス体験施設『創〜so〜』が開設される徳島県美馬市。この取り組みも美馬市のこれからの盛り上がりを予感させる動きですが、美馬市にはそれ以外にも面白い取り組みや活動、人の集まりがあります。今回はそんな、美馬市の「これから」を感じさせる3つのお店や人物、取り組みを紹介します。

 

江戸時代、財を成した藍商人たちがこぞって“うだつ”を上げた町並みが残る徳島県美馬市の脇町

江戸時代、財を成した藍商人たちがこぞって“うだつ”を上げた町並みが残る徳島県美馬市の脇町

 

オーガニックへのこだわり。美馬市の豊かな食を楽しめる「くるわっか」

うだつの町並みで有名な美馬市ですが、この地で採れる農作物の豊かさも美馬市の自慢。たとえばりんご。長野や青森のイメージが強いりんごが徳島県の美馬市で生産されていると聞くと、ちょっとびっくりしませんか? りんごの話はほんの一例ですが、よくスーパーで見かける野菜などであっても、美馬市の農作物にはたびたび驚かされることがあります。その理由は、熱量があってこだわりの強い生産者の方々が多くいらっしゃるから。そんな美馬市の農作物を味わうには、脇町にある2016年1月にオープンした観光交流センター併設のカフェ「くるわっか」がまさにうってつけ。

 

2016年1月、脇町に新しくできた観光交流センター。今回紹介するくるわっかに加え、観光案内所、藍染め・和傘の製作体験ができる工房が備わる

2016年1月、脇町に新しくできた観光交流センター。今回紹介するくるわっかに加え、観光案内所、藍染め・和傘の製作体験ができる工房が備わる

「くるわっか」の魅力は何と言っても、美馬市をはじめ、近隣の生産者から直接仕入れる無農薬無化学肥料栽培の食材をふんだんに使ったオーガニックレシピ。時間帯に応じて、工夫を凝らした和と洋のカフェメニュー、ランチメニューが楽しめ、たとえば、にんじんひとつにしても、こんな味がするんだ!と驚くほど。食材そのものが持つ味の深さと強さを思う存分味わうことができます。

 

「くるわっか」の店内。座席数は決して多くないので、行く場合は電話予約をしておいたほうが確実だ

「くるわっか」の店内。座席数は決して多くないので、行く場合は電話予約をしておいたほうが確実だ

 

「くるわっか」には近隣で採れたこだわりの農作物が集まる。「この野菜ってこんな味するんだ!」と驚きの食材ばかり

「くるわっか」には近隣で採れたこだわりの農作物が集まる。「この野菜ってこんな味するんだ!」と驚きの食材ばかり

この「くるわっか」の食材の仕入れやレシピの考案、運営を行うのが、地域おこし協力隊として美馬市に移住してきた岩田さん。美馬市に来る前は、日本アンチエイジングフード協会認定のリーダーマイスターとして食と健康と環境をテーマに活動をしていた経歴を持ちます。

 

「美馬市の農作物は知れば知るほど豊か。生産者の皆さんも、本当に高い志を持って農業に向き合っていらっしゃる。食という領域では、美馬市は日本有数の先進エリアかもしれない。突拍子もなく聞こえるかもしれないけど、美馬市で作ったブドウでオーガニックワインを作ることも夢じゃない」岩田さんがそう語る通り、食という、生きるためには欠かせない領域の、まさに最先端とも言える土壌が、美馬市にはあるのです。

 

「くるわっか」を運営する岩田さん。彼女の明るい人柄も「くるわっか」の人気の理由のひとつ

「くるわっか」を運営する岩田さん。彼女の明るい人柄も「くるわっか」の人気の理由のひとつ

くるわっか:https://kuruwakka.localinfo.jp/

 

脇町で見つけた、居心地の良いワクワクする店「産直と道具と喫茶 フナトト」

脇町のうだつの町並みの東にある「産直と道具と喫茶 フナトト」の店内に一歩足を踏み入れると、居心地の良さとワクワクが共存する空間に出会えます。店内には、美馬市はもちろん、近隣の産直野菜やご当地食材、厳選された調味料、何気ない日常を彩る食器や生活雑貨、衣服の数々。

 

「産直と道具と喫茶」と冠する通り、奥行きのある店内の奥にはカフェスペースがあり、香ばしいカフェラテと、自家製ビスケットに素材らしさをしっかり残した甘酸っぱいジャム、そして自由に閲覧できる田村さんこだわりの選書を楽めます。

 

美馬市内、徳島県内はもちろん、日本全国からこだわりの商品が集まる

美馬市内、徳島県内はもちろん、日本全国からこだわりの商品が集まる

 

どれもこれもストーリーのある品物ばかり。人気の商品は入荷してもすぐ売り切れることも

どれもこれもストーリーのある品物ばかり。人気の商品は入荷してもすぐ売り切れることも

 

店の奥はカフェスペース。柔らかい日差しが心地よく、随所にこだわりを感じながらも肩肘を張らない、豊かな時間を過ごせる空間だ

店の奥はカフェスペース。柔らかい日差しが心地よく、随所にこだわりを感じながらも肩肘を張らない、豊かな時間を過ごせる空間だ

フナトトのオーナーの田村さんは、美馬市の隣の東みよし町出身。関西でのアパレルショップ勤務を経て、高校時代を過ごした縁の地である美馬市に移住。馴染みの深いこの町を、自分が楽しめる町にしたいという想いから、若い人を含めたいろんな世代が集まれる場所として、フナトトを2013年にオープンしました。店内の商品はもちろん田村さんが目利きをして直接買い付けたもの。どの商品も田村さんに聞けばいろんな「こだわり」を聞くことができます。中には、知り合いの作家さんの作品も。フナトトのFacebookページを見れば、店内で感じる雰囲気を感じられるはずです。

 

フナトトのオーナー田村さん。高校時代を過ごした美馬市に移住し、フナトトに限らず多方面で新しい取り組みに関わっている

フナトトのオーナー田村さん。高校時代を過ごした美馬市に移住し、フナトトに限らず多方面で新しい取り組みに関わっている

フナトト:https://www.facebook.com/funatoto

 

美馬市に蒔かれる、新しい事業の種「スモールビジネス開発室」

そんな田村さんにはもうひとつの顔があります。徳島大学と徳島新聞社の連携事業「まちしごとファクトリー」による企業プログラム「スモールビジネス開発室」のコーディネーターとして、地域のスモールビジネスの支援活動を行っています。スモールビジネス開発室は、脇町で行われる単発のワークショップの「研究室」、お隣三好市の池田町で開催される「合宿」の二部構成。3回の研究室、3回の合宿を通して、地域のスモールビジネス「まちしごと」を興す人材の育成を目指します。

 

一時は取り壊しの話も持ち上がった脇町劇場オデオン座。いまでも現役の施設として芝居やライブの公演が行われている

一時は取り壊しの話も持ち上がった脇町劇場オデオン座。いまでも現役の施設として芝居やライブの公演が行われている

 

オデオン座の内観。スモールビジネスを支援する取り組み、「スモールビジネス開発室」のワークショップなどもここで行われている

オデオン座の内観。スモールビジネスを支援する取り組み、「スモールビジネス開発室」のワークショップなどもここで行われている

「研究室」の開催場所は1934年に建設という古い歴史を持つ脇町劇場オデオン座。実はこの取り組みのルーツを辿っていくと、田村さんがフナトトの店内で開催していたワークショップに遡ります。「ビジネス的に考えると、田舎は市場は小さいので向かいない印象も強い。でもその分コストは低いから、失敗してもリスクはあまり大きくならないので実は都会よりもチャレンジはしやすい。うまくいけば横展開でスケールもできますしね。」とは田村さんの言葉。田村さんのようなスモールビジネスの実践者がスモールビジネス支援に関わりながら、美馬市という場に新しい事業の種を蒔く取り組みが行われているのです。

スモールビジネス開発室:http://www.tokushima-u.ac.jp/cr/seibu/project/machi_shigoto/

 

今回ご紹介したのは、美馬市で現在進行形で起きている活動の一端。ですが、どれもこれも、これからの地方での暮らし方・働き方、その魅力に大きく関わる興味深い取り組みばかり。サテライトオフィス体験施設『創〜so〜』の開設で、よりいっそう市内外の交流が盛んになることを考えると、ますます面白いエリアになっていきそうです。

 

 

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ヒトカラメディア
ヒトカラメディア
株式会社ヒトカラメディアは『「都市」と「地方」の「働く」と「暮らす」をもっとオモシロくする』をミッションに、ベンチャー企業を対象としたオフィス移転、内装プランニング、働き方のコンサルティングを行う会社です。軽井沢と徳島県美波町で、サテライトオフィスを展開しています。