頭金なしは危険?住宅ローンの借入額はどれくらい?「逆算」して決める本当の購入予算

マンションを買おうと思ったときに、まず悩むのが購入予算。「この物件、素敵!」と思っても、家は高い買い物なので、「こんなに高い物件を買って大丈夫かな……」と不安になるものです。よく、物件価格は「年収の5倍まで」と言われることもありますが、かなりざっくりとした数字。それに、夫婦共働きの場合、夫1人の収入にしておくのか、妻の収入も合算するのかも迷ってしまいます。

将来困らないためには、予算は「逆算」して求めるのが正解。住宅ローンの借入額と頭金、それぞれを求めて、本当の予算を知っておきましょう。

 

住宅ローンの「借りられる額」と「返せる額」は違う!

住宅ローンの審査が通れば「安心して返せる額」なのかというと、実はそうではありません。最近は、全体的に融資の基準が軟化。公務員であったり、大手の会社に正社員として勤めていたり、といった条件であれば、さらに審査は柔軟に。実際にはその人にとって返済が大変な額だったとしても、借りられることがあります。

また、同じ年収でも、月々の生活費は異なって当然。収入のうち、旅行や趣味に多くを費やす人もいるでしょう。「借りられる額」のギリギリまで借りてしまうと、そういった好きなことにお金を使えなくなるかもしれません。返済に追われて余裕のない生活をするよりも、余裕を持たせて、より楽しい生活を送りたいものです。

 

借入額は、現在「住宅」に充てている金額から逆算!

住宅ローンの借入額は、現在住宅に充てている費用をベースにして、毎月返済額から求めていけば、安心な額がわかります。

例えば、30代のA夫婦の場合で見ていきます。現在、住宅関係の費用は次の通りです。
・家賃 10万円
・管理費・共益費 3000円
・駐車場代 1万2000円
・住宅購入のための貯蓄 3万5000円
合計:15万円

住宅を購入するための貯蓄(財形住宅貯蓄など)も入れてOKです。Aさんの場合は合計15万円ですから、購入後の住宅関連費用もこの額の範囲内に収めれば、今と変わらない生活を送れます。もちろん、今の生活がギリギリと感じるのであれば、これより低く設定しても大丈夫。

ここから、マンションを購入した後、毎月返済額以外にかかる費用を引いていきます。購入した後にかかるのは、次のような費用。
・管理費、修繕積立金
・駐車場代
・固定資産税・都市計画税

管理費、修繕積立金、駐車場代は、広告をみればわかります。
固定資産税や都市計画税は、購入した後の翌年から毎年かかるものです。額は物件によって大きく異なりますが、不動産会社に確認すれば、大体の目安を教えてもらえるはず。新築マンションの場合は軽減措置もある(※)ので当初の負担は軽いですし、次第に額が減っていくことが多いですが、軽減措置終了後にその金額に驚く人もいるので、余裕をみておきましょう。
※中古マンションに軽減措置はありません。

Aさんの場合、希望する物件は、管理費・修繕積立金が2万円、駐車場代1万円、固定資産税・都市計画税が、月にならすと1万円だったとします。合計すると4万円。今、住宅に充てている費用からこの額を引けば、安心して返せる毎月返済額がわかります。

(現在住宅に充てている費用)15万円-(購入後にかかる費用)4万円=11万円

仮に返済期間35年、金利1.8%とするなら、ここで求めた毎月返済額を310倍すれば、大体の借入額が求められます。

(毎月返済額)11万円×300=3410万円 誤差を考慮して約3400万円

Aさんの場合は、借入額の目安は約3400万円、というわけです。もし返済期間や金利の設定などを変更したい場合は、銀行のサイトで住宅ローンのシミュレーションをできるところがたくさんあります。簡単ですので、ぜひ利用してみましょう。

なお、ここではボーナス返済は含めていません。ボーナス額は変動する可能性がありますので、ボーナスをアテにした返済はしないほうが安心。また、今は夫婦だけでも、今後子どもが生まれて教育費が必要になるかもしれませんし、10年、20年単位でリフォームをする必要が出てくることもあります。ボーナスはそういったときのための余剰として残しておくのがオススメです。

では、次に頭金を求めていきましょう。

 

「頭金なし」では危険!? 物件価格の2割が目安ってホント?

頭金は、よく「物件価格の2割が目安」と言われます。しかし、実際にはそれより少ない頭金で購入する人もいますし、頭金なしで買う人も存在します。リクルート住まいカンパニーの調査(※)によれば、新築マンションを購入した人の自己資金は、200万円未満が最も多く24.1%。平均額は1064万円ですが、少ない人と多い人が二極化している状態。物件価格の2割を超えられない人も多いようです。
※株式会社リクルート住まいカンパニー「2014年首都圏新築マンション契約者動向調査」

そもそも、なぜ頭金が「物件価格の2割」と言われるようになったかのでしょうか。いろいろな理由がありますが、1つはかつての住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)では物件価格の8割まで融資が受けられなかったことのなごり。

他にも、新築マンションの場合、広告宣伝費などが物件価格に上乗せされており、「購入後に2割程度価値が落ちる」と言われていることも影響しているようです。購入後に売却したい、となっても、ローンが返せなくて売却できなくなるリスクがあるのです。

実際には物件の価値はケースバイケースですし、価値が下がらないマンションもあります。中古マンションの場合なら、購入後の下落幅は少なくなる傾向にあると言われています。
また、現在は低金利。頭金をためているうちに金利が上昇する可能性もあることから、「2割なくてもいい」という意見も増えています。考え方次第ですが、要は、確実に払えるなら2割なくてもOKなのです。

でも、少しでも不安があるなら、破綻するリスクを避けるために、極力頭金を入れたほうがいいことは確か。不安な人は、安心するための目安としてやはり2割以上の頭金を目指せばいいでしょう。

 

頭金は、貯蓄額から余剰資金や諸費用を引いて逆算!

では、頭金を計算していきましょう。頭金は、手元にある貯蓄から、もしものときの余剰資金、諸費用、その他使いたいお金を引いて計算します。

もしものときの余剰資金というのは、リストラにあうなどして退職を余儀なくされた、病気・けがで働けなくなった、といったときのためのお金です。一般的には、3ヶ月~6ヶ月程度の生活費を残しておけばいいと言われています。自分たちが「安心」と思える期間にしましょう。「夫婦共働きだから3ヶ月分でいい」と思うかもしれませんし、「すぐにでも妊娠・出産を考えているから、念のため6ヶ月分」と考える人もいるかもしれません。

購入にかかる諸費用も、忘れてはいけません。一般的には、新築マンションの場合は物件価格の2.5~5%、中古マンションの場合は5~8%の諸費用がかかると言われています。ぎりぎりになってあわてないように、しっかり計算に入れておきましょう。

そのほか、旅行の予定がある、新居のために高級な家具を買いたい、といった場合も差し引いておきます。

では、またAさんの場合。以下の条件だとして考えてみましょう。
・手元にあるお金 1000万円
・余剰資金 生活費30万円×6ヶ月分=180万円
・諸費用 多めに見て物件価格の8%(中古マンションを購入希望)
・旅行の予定あり 予算20万円

さきほど出した借入額の目安を元に、購入予算と頭金を求めてみます。諸費用は物件価格から求めますので、借入額と住宅用に使う資金を足し、(1+0.08)で割ります。

{(借入額)3400万円+(貯蓄額)1000万円-(余剰資金&旅行費用)200万円}÷(諸費用8%)1.08=約3890万円

Aさんの購入予算は、約3890万円ということになります。
頭金は、約490万円です。

 

もし希望物件の価格に届かなかったら贈与も検討

いかがだったでしょうか。計算してみて、「意外と買えるな」と思った人もいれば、「希望している物件の価格に届かない」と思った人もいるかもしれません。もう少し予算をあげたい場合は、まずは頭金を増やすことを検討しましょう。

親や祖父母から贈与をお願いするのも手です。今なら特例があり、住宅購入の資金に充てる場合には、一般住宅なら1110万円まで、省エネ住宅なら1610万円まで贈与税がかかりません。

借入額をあげる場合は慎重に。FPに相談するのもいいでしょう。今、無理をしてしまうと後々長く大変な思いをすることになります。せっかく家を購入して楽しい未来を想像していたのに、カツカツな生活になっては残念です。笑顔で楽しく暮らせるように、安心な予算を組みましょう。

 

 

【参考】
日本経済新聞Web版2014年3月23日発行「怖いのは10年後 マイホーム購入焦る頭金ゼロ派」(2015年4月15日アクセス)
SUUMO「SUUMO住活マニュアル 『将来も安心な「購入予算」の決め方』」http://suumo.jp/article/jukatsu/money/yosan/1823/ (2015年4月16日アクセス)
All About 高田晶子「頭金はなぜ重要なの?」http://allabout.co.jp/gm/gc/10404/2/ (2015年4月16日アクセス)

ヒトカラメディア
ヒトカラメディア
株式会社ヒトカラメディアは『「都市」と「地方」の「働く」と「暮らす」をもっとオモシロくする』をミッションに、ベンチャー企業を対象としたオフィス移転、内装プランニング、働き方のコンサルティングを行う会社です。軽井沢と徳島県美波町で、サテライトオフィスを展開しています。