ついに増税!親が60歳を過ぎたら考えたい相続税の仕組みと3つの節税法

2015年から相続税が増税となりました。これまで、相続税は「一部のお金持ちの人だけが心配すること」というイメージがあったかもしれません。これからは、相続税の対象になる人は大幅に増える見込みです。

相続税は、いざというときに「しまった!」と思っても取り返しがつきません。早めから対策をしているかどうかで、相続のスムーズさも相続税の額も大きく変わります。
ここで相続税の基本と代表的な相続税対策をおさえておきましょう。

 

基礎控除が4割カット!相続税アップで課税の対象になる人が増加

相続税増税の大きなポイントは基礎控除額の引き下げと、最高税率の引き上げの2です。順にみていきましょう。

 

1.基礎控除額が4割カット

相続税の計算をする前に、法定相続人の数により控除がされます。これまでは、財産がこの控除額の範囲内におさまるケースが多かったため、相続税は身近な問題ではありませんでした。でも、控除額の引き下げにより、課税の対象になる人が増加するのです。

【改正前の基礎控除額】
5000万円+1000万円×法定相続人の数

【改正後の基礎控除額】
3000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、両親どちらかが亡くなり、法定相続人は配偶者と子ども2人、という代表的なケース。改正前は基礎控除額が8000万円でしたが、改正後は4800万円になります。

 

2.最高税率が50%から55%に

相続税は「累進課税」。所得税と同様に、対象となる額が多ければ多いほど、税率が上がっていく仕組みです。税率は、これまで6段階に分かれていたものが、8段階により細かく分けられることに。最高税率も50%から55%に引き上げられました。

ただし、税率が上がるのは、基礎控除後の資産が2億円超のケースのみ。それ以下であれば税率に変更はありません。例えば、基礎控除後の資産が1000万円以下なら10%、1000万円超~3000万円以下であれば15%(控除額50万円)です。

 

相続対策は早めに

多くの人が気になるのは①の基礎控除額の引き下げです。基礎控除額の4800万円は、実家が都心部の一戸建てであれば、すぐに超える可能性があります。

「まだまだ親も元気だし!」と思っていても、相続対策は短期間でできるものではありません。また、親が認知症になるリスクもあります。意思能力がなくなってしまえば、もう相続対策はできなくなってしまいます。

節税法は数多くあり、それぞれの状況によってどうすべきかが異なりますが、今回は代表的なものを4つご紹介します。

 

【節税法①】年間1人110万円の生前贈与で財産を減らす

まずは、生前贈与で「財産を減らす」ことが最も簡単な節税法です。通常、贈与には贈与税がかかりますが、「暦年贈与」といって、1人年間110万円までであれば、非課税です。

1年の額は少ないですが、長い時間をかけることで財産を減らすことができます。例えば、子ども2人に対して5年間暦年贈与をすれば、合計1100万円になりますので、かなりの節税になります。

ただし、同じ時期に同じ額の贈与をしていると、「もともとまとまった額の現金を贈与するつもりだった」と判断され、追徴課税を課せられるケースも。時期や額を変える、贈与を受けた側が都度引き出して使う。もしくは、あえて少し110万円をオーバーして贈与し、堂々と少額の贈与税を払うという方法をとる人もいるようです。

なお、配偶者と子に対しての相続発生3年以内の贈与は、相続税の計算に持ち戻されてしまいます。10年贈与したとしても、7年分になってしまうことに注意が必要です。

暦年贈与以外に代表的な生前贈与もご紹介しましょう。

 

教育資金の一括贈与の非課税措置

こちらは、2015年12月31日までの非課税措置(延長の可能性あり)。教育資金に用途が限られますが、孫などに1500万円まで一括贈与しても贈与税がかかりません。ただし、30歳までに使い切らなければいけない、など条件があります。また、そもそも授業料などの教育資金を都度贈与しても課税されないので、そちらを利用してもOK。

 

住宅取得資金の贈与 非課税制度

住宅購入の資金に充てる場合、2015年の場合、最大1500万円まで贈与税が非課税になります。2016年10月以降は、消費税が増税されれば非課税枠が拡大、増税されなければ縮減します。こちらも、贈与を受ける人が20歳以上であること、住宅が自己の居住用で床面積50㎡以上など、条件がありますので注意が必要です。

生前贈与は、金額や使用用途によって、ベストと思える方法を選択しましょう。一括贈与の場合は後戻りが難しいので、贈与する側の手元資金が足りなくなってしまわないか、慎重な判断が必要です。

 

【節税法②】一人500万円までの保険の非課税枠を利用する

保険は、種類もさまざま、組み方もバリエーションも豊富なので、具体的には保険の専門家に相続のことを踏まえて相談するのがいいでしょう。今回は、相続対策としては一般的な終身保険を使った場合のメリットを紹介します。

契約者と被保険者のどちらも被相続人にする場合、保険も相続財産とみなされます。しかし、保険金の場合は、相続税の基礎控除とは別に、相続人一人当たり500万円の非課税枠が設けられているので、節税効果が高いです。

また、預貯金の場合は、被相続人の死亡後、引き出すのに複雑な手続きが必要になり、それに苦労する人も多いようです。保険であればすぐに資金が手に入るので、葬儀費用や相続税の支払い(基本的に現金で一括)が必要になっても、困りません。また、葬儀を手配してほしい人に多めの保険金がいくように設定するなど、自由に配分できるのも嬉しいところです。

 

【節税法③】現金を不動産に変えて賃貸にまわすと評価額が5割に

現金で相続する場合、その額面に対して課税されますが、不動産の場合は市場価値よりも低くなる傾向にあります。また、賃貸にまわしていると、さらに評価額が下がるので、節税効果がアップ。

現金をマンションなどの不動産に変えると、相続税評価額は4割程度が目安(物件により異なります)。これを賃貸に回せば、さらに5割ほど下がるようです。全体で見れば2.5割程度の評価額で済むということに。

また、次の節税法でも紹介する「小規模宅地の特例」を利用すると、賃貸事業用の土地の場合は、200㎡までは5割評価額が下がります。特例も最大限利用しましょう。

ただし、こちらは相続する資産額が大きい場合のみオススメの方法です。資産額が小さい場合は、不動産の購入にかかる諸費用よりも、結果的に相続税のほうが少なかった、という事態になりかねません。賃貸に回しても、空き家になるリスクも。

不動産はどうしても価値の下落リスクをともないます。購入するかどうかの判断や不動産の選び方は、専門家によく相談したほうがいいでしょう。

 

【節税法④】二世帯住宅で土地の評価額が8割減

増税によって困る人に向けての救済措置として、「小規模宅地等の特例」は適用が拡大されました。実家の土地の評価額が高くて悩んでいる人に嬉しい特例です。

小規模宅地の特例とは、一定の範囲内の敷地であれば、相続税評価額を減らしていい、というもの。居住用であれば8割も減額されます。例えば、実際の評価額が5000万円でも、1000万円の評価にしてくれるのです。

改正前は240㎡までの敷地に適用されていましたが、今回の改正で330㎡までOKになりました。なお、330㎡を超えると全く特例が使えない、というわけではなく、350㎡なら、330㎡の範囲は8割減、残りの20㎡については通常通りの評価額になる、という仕組みです。

この特例を使うためには、複雑な条件がありますので、個別のケースでよく検討が必要ですが、取得者が配偶者や同居の親族である場合は利用することができます(※)。

また、二世帯住宅を検討している人には嬉しい条件緩和も。改正前は、玄関を別にした二世帯住宅は「別居」とみなされて特例の適用ができないケースが多くありました。しかし、改正によって構造上区分のある二世帯住宅でも、特例が認められることに。

経済不安や介護問題で二世帯住宅への注目が集まっていますが、お互いの居住スペースを分けたいという要望も多いもの。この条件の緩和によって、二世帯住宅のメリットが大きくなったと言えるでしょう。

※配偶者も同居の親族もいない場合、一定の条件を満たせば別居の親族も利用することができます。また、同居の親族の場合でも、申告期限までに住居・保有していなければいけないなどの条件があります。

 

相続対策は、「無理なく」「仲良く」

相続税の改正ポイントと相続税対策をお伝えしました。相続の対策は早ければ早いだけいいでしょう。ただし、相続に関して両親、兄弟やその他相続人と争い事が起きやすいのも事実。

両親に突然相続の話をして「縁起でもない」と機嫌を損ねられるケースもあるといいます。兄弟などで遺産の取り分についてもめると、10ヶ月の申告期限に間に合わず、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の特例」が使えないという最悪の事態にまで。相続に関係する人たちと仲良くすることが一番の相続対策でもあるということを意識することが大切です。

また、節税にこだわりすぎて無理のある対策をしてしまうと、追徴課税の対象になることがあります。相続に詳しい専門家にも相談しながら、無理のない範囲ですすめましょう。

ヒトカラメディア
ヒトカラメディア
株式会社ヒトカラメディアは『「都市」と「地方」の「働く」と「暮らす」をもっとオモシロくする』をミッションに、ベンチャー企業を対象としたオフィス移転、内装プランニング、働き方のコンサルティングを行う会社です。軽井沢と徳島県美波町で、サテライトオフィスを展開しています。