引き上げになってどれくらいおトク?今さら聞けない「住宅ローン控除」の仕組み

家を買うとき、おトクな制度としてよく耳にする「住宅ローン控除」。2014年4月に消費税が8%に増税になったことを機に、住宅ローン控除の額も増額になりました。でも、「おトクなことはわかるけれど、仕組みがよくわからない」という人も多いはず。住宅ローン控除は、その仕組みや条件をしっかり理解しておかないと、「あれ、もっと戻ると思ったのに……」という誤解や、「知っていれば借入額を調整したのに!」といった後悔を招いてしまいます。家を買う前に、ぜひ住宅ローン控除のことを知っておきましょう。

 

住宅ローン控除は「貰う」のではなく「戻ってくる」もの

住宅ローン控除は、年末時点での住宅ローンの借入残高の1%が、その年の所得税から控除される仕組み。期間は10年間で、所得税で控除しきれなかった分は、翌年の住民税から一定額まで差し引くこともできます。

住宅ローン控除は「貰えるお金」だと思っている人も多いのですが、支払う税金分から「戻ってくる」ものであることに注意しましょう。

また、下記のうちの最も小さい額までしか返ってこないということも重要です。

・借入残高の1%
・所得税+住民税(ただし、上限は13万6500万円)
・1年間の住宅ローン最大控除額

必ずしも最大控除額まで戻るわけではないことを認識しておきましょう。

 

消費税増税で今後の住宅ローン控除はどうなる?

住宅ローン控除は、住宅を購入する年によって1年間の最大控除額、期間などが変わります。たとえ、購入後に控除額が引き上げられようと引き下げられようと、期間終了までは「入居した年」のルールが採用されるのです。

入居年別の住宅ローン控除の額については、詳細は国税庁のHP(※)に載っていますが、近年の制度は次のようになっています。
※国税庁 住宅借入金等特別控除 https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1213.htm

 

入居した年 控除期間 控除限度額 認定住宅(※)の場合の控除限度額 最大控除総額(認定住宅の場合の最大控除総額)
平成25年1月~平成26年3月末 10年 20万円 30万円 200万円
(300万円)
平成26年4月~平成31年6月末 10年 40万円 50万円 400万円
(500万円)

※認定住宅とは、認定長期優良住宅、または認定低酸素住宅のこと。
※住宅の取得等にかかる消費税が8%または10%の場合に限る。
※2015年5月現在、国税庁のHPでは、住宅ローン控除の入居年が平成26年4月~平成29年末までとなっていますが、平成31年6月までの延長が決まっています。

 

平成26年(2014年)4月からは消費税が8%にアップしたので、控除額が倍にもアップしました。また、住民税から差し引ける額も、それまでの9万7500円から13万6500円にまでアップしています。

消費税が10%にアップする予定が平成29年4月に延期されたことを受けて、平成31年6月まではこちらの控除額が採用されますが、その後は未定です。平成21年~平成22年をピークにして近年は控除額が縮小傾向にあったため、ぜひ制度を有効活用したいものです。

 

現在の制度だと、いくら戻ってくる?

では、実際にどれくらいの額が戻ってくるのか、モデルケースを見ていきましょう。なお、所得税については、国税庁 「所得税の税率」から目安を出すことができます。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm
算出するに当たっては、額面の年収ではなく、「課税所得額」が用いられますが、源泉徴収票を見て、

「給与所得控除後の金額」-「所得控除の額の合計額」

を計算すると求めることができます。額面や手取りの年収より大幅に少ないケースもあるので、ご注意を。

▶課税所得300万円/年度末 住宅ローン残高3000万円/一般住宅 のケース

・借入残高×1%:30万円
・所得税額:20万2500円(目安)
※住民税から最大13万6500円まで差し引くことができますので、合計33万9000円

このケースは一般住宅なので、年間最大控除額は40万円まで。しかし、借入残高の影響を受けて、30万円(借入額×1%分)が戻るという計算になります。なお、10年間のうちに返済が進むにつれて借入残高が減るので、戻る額も減っていきます。

▶課税所得500万円/年度末 住宅ローン残高5000万円/長期優良住宅 のケース

・借入残高×1%:50万円
・所得税額:57万2500円(目安)

このケースでは、長期優良住宅なので年間最大控除額は50万円。借入残高×1%が50万円で、所得税額もそれを上回っているので、最大控除額の50万円戻ってきます。ただし、前の例同様、返済が進むにつれて戻る額は減ります。

借入額や収入によって、大きく戻る額が変わることがお分かりいただけたと思います。

 

繰り上げ返済しすぎに注意!控除を受けられる条件とは

さて、住宅ローン控除を受けるに当たっては、いくつかの条件があります。主なものは以下の通りです。※その他、細かい条件については国税庁HPをご参照ください。

【新築マンションの場合】
・合計所得金額が3000万円以下
・住宅ローン借入期間が10年以上
・登記簿上の専有面積が50㎡以上
・専有面積の2分の1以上が居住用である(事業用などではない)

【中古マンションの場合】
新築マンションでの条件に加えて、
・築25年以内
・贈与や生計を一つにする親族からの購入である

特に注意しなければいけないのは、住宅ローンの借入期間と、面積です。住宅ローンの借入期間は、通常はできるだけ短く組もうとするものですが、10年を切ってしまうと住宅ローン控除を受けることができません。これは、途中で繰り上げ返済(返済期間短縮型)をした場合も同様です。特に低金利で借りている場合は、繰り上げ返済をするより住宅ローン控除を受けたほうが得なケースも多いため、注意が必要です。

また、専有面積(住戸内部の面積)は、広告上の面積と登記簿上の面積が違うことに要注意。登記簿上の面積のほうが狭くなるため、50㎡ギリギリの住戸を購入する場合、住宅ローン控除を受けられないケースがあります。不動産会社によく確認してから購入するようにしましょう。

いかがでしたか? とってもおトクな制度だけど、勘違いをすると「想定していた額より戻ってこなかった」「住宅ローン控除を受けられると思っていたのに受けられなかった」ということにもなりかねません。正しく理解して、最大限制度を活用しましょう。

 

 

【参考】
国土交通省「すまい給付金」 http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/index.html
(2015年5月7日アクセス)
国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1213.htm
(2015年5月7日アクセス)
SUUMOジャーナル http://suumo.jp/journal/2015/02/26/78579/
(2015年5月7日アクセス)

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