住むより前に「働く」を考える。サテライトオフィスが今、盛り上がるわけ

写真は徳島県美波町にある「戎邸」。循環型サテライトオフィス

地方の過疎化を食い止めるべく、各自治体では地方創生の取り組みが活発に行われていますね。その追い風もあり、ここ数年、移住やサテライトオフィスという言葉を聞くことが多くなりました。

実は、住む場所を別の土地に移す「移住」には課題があると言われています。その一つが「雇用の問題」です。地方や田舎の暮らしに憧れを持つ人がいても、現実には仕事がないことで断念してしまうことが多いようなのです。この土地に留まり次の世代を築いてもらうまでには、まず「暮らす」ことを続けてもらえる受け入れの体制を整えなければ、地方都市の過疎化の解決には結びつかないように思います。

一方、企業や団体を地方へ誘致し、働く環境を整える「サテライトオフィス」の取り組みは、その地域にも企業にも良い効果を生み出すと言われています。サテライトオフィスとは、企業や団体の本拠点とは別の場所に設置するオフィスのことで、今、盛り上がっている地域として徳島県の神山町や美波町などがあげられるかと思います。その取り組みを見る限り、「移住」の誘致だけでは実現することができなかった「暮らし続ける」ことに、働く環境が大きく影響していることがわかります。

 

企業は、何のために地方オフィスを開設するの?

では、企業が地方へオフィスを置く理由にはどのようなものがあるのでしょうか。

1.固定費の削減

オフィスの賃料や社員の交通費を削減することができます。空室率の向上により坪単価が上がってきている都心に比べ、圧倒的にオフィスを格安で構えることができますし、通勤の電車移動がない分、社員の交通費も抑えることができますよね。また、通勤時間が省かれることで時間を効率的に活用できることもプラス要因のようです。

2.採用の充実

オフィスを別の地域に置くことで、地方の人材や都市部で働くU・Iターン希望者を獲得することができます。現に、都心では得られなかった人員を地方で募ることができ、事業拡大に貢献したという企業例があります。

3.一極集中のリスク分散

東日本大震災などの震災をきっかけに、都市部だけに経営を集中させることをリスクと考える企業が増えたようです。経営機能のバックアップの一つとして地方展開に取り組む企業もあるようです。

4.CSRの取り組み

企業が行っている事業から、社会へ果たすべき責任やどのように社会と一緒に発展していくべきかを考え取り組む活動のことをCSRといいますが、この観点から、サテライトオフィスの進出を行う企業もいるようです。

5.リフレッシュ効果

サテライトオフィスの活用方法にも関係してくるのですが、例えば、通常は本社で行う経営会議や新規事業などの集中したい会議を、サテライトオフィスで行うといったことにも使われています。普段と別の環境に行くことでクリエイティブな発想を促したり、都心では味わえないような美味しい食べ物、大自然、人といった環境に触れることで、社員のモチベーション向上やリフレッシュ効果があると考えられています。

実はヒトカラメディアも長野県の軽井沢と徳島県の美波町にオフィスを持っているのですが、軽井沢ではいつも以上に集中できたましたし、美波町では「オフィスの前は海!」という環境が刺激的で、リフレッシュ効果は抜群でした。

 

「企業を集めること」=「働く環境を整えること」ではなさそう

これらの背景として忘れてはいけないのが、「地方でも仕事ができる条件や環境が整っていること」があります。サテライトオフィスの取り組み以前に、本社と離れていても仕事を円滑に進めることができることが大切ですね。

インターネットが繋がる環境

リモートで働くには、インターネット環境が必須です。都心では当たり前のことですが、地方に行くとWiFiや携帯の電波が入らないということ、多いのではないでしょうか。疲れ切った都会人が安らぐ旅として「圏外旅行」に需要があるように、決して悪いことだとは思いませんが、仕事となるとそれなりの環境がなければ始まりませんよね。徳島県がサテライトオフィスで盛り上がりを見せているのにも、実は、県をあげてインターネット環境に取り組んだ背景があるのです。

ITツールの発達

電話やメール以外にskypeやslackといったコミュニケーションツールが豊富になったことも、サテライトオフィスのようなリモートワークを可能にした要因としてあげられると思います。

ただ逆を言えば、サテライトオフィスのようにリモートで働くには職種が限られ、どの仕事でも成り立つわけではなさそうです。東京のお客様とskypeで商談……というのもできなくはありませんが、課題は多く残ります。現に、徳島県にはフリーで動いている人やIT系の企業、エンジニア、デザイナー、芸術家などが多く、上記で紹介したITツールなどを活用しているように思います。また企業の評価制度や給与体制、本社とのコニュミケーションをどう補うかなど、調整することは多そうです。

 

企業が地域へ与える影響は?

現時点で地方の過疎化問題にどれだけ寄与できるかはまだわかりませんが、徳島県を見ていると少なくとも人が地方へ動いているな…ということを実感することができます。また、人口を増やす目的以外にもその地域へ与える影響はありそうです。

刺激

地方出身者にとっては、地方にいながら都市部の企業の発展に関わることになるため、デジタルな環境や仕事の考え方が刺激になるのでしょう。ITの仕事をしたい地元の大学生や社会人にとっては有効な選択肢になります。

活性化

新しい人がその土地に暮らし仕事をすることは地域活性化に寄与します。人と人とのコミュニケーション活性化もありますが、お金の回りを活性化させることも大事なことです。徳島県の神山町をみて驚いたのですが、仕事を持った人を集めることで、小さな集落が確立され経済が回る仕組みが出来上がっていました。簡単に言うと、その土地で商品を生み出し、その土地で消化することができているのです。もちろん、その商品を求めて県外から人が集まり、観光分野へ寄与することも考えられますよね。

 

最後に

条件はありますが、企業にも地域にも良い影響が期待できるサテライトオフィスは今後、もっと多くの企業に導入されていくと思います。
モノを買って得られる満足度だけでなく、何かを体験したり、目に見えないモノへの満足感を抱くようになりつつある今、人の求める暮らしも多様化してきているのではないでしょうか。本文中にも記載しましたが、人の「暮らし」にとって働くことやその環境があることは必須条件なのです。そう考えると、今後の地域活性には企業側だけの取り組みだけではなく、地域側の受け入れる体制も重要になるのだと思います。

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ヒトカラメディア
ヒトカラメディア
株式会社ヒトカラメディアは『「都市」と「地方」の「働く」と「暮らす」をもっとオモシロくする』をミッションに、ベンチャー企業を対象としたオフィス移転、内装プランニング、働き方のコンサルティングを行う会社です。軽井沢と徳島県美波町で、サテライトオフィスを展開しています。